① はじまり 二つの村
むかしむかし、白いうさぎのすむ『しろの村』と、黄色いきつねのすむ『きいろの村』がありました。
どちらの村も、一本の川の水でくらしていました。
けれどある年、長く雨がふらない日がつづきました。
川の水がへっていくと、「だれかが川をよごしたのだ」と、どちらの村の大人たちも言いはじめました。
本当は、だれのせいでもありませんでした。ただ雨が降らなかっただけだったのです。
けれどその日から、ふたつの村のあいだには、大きな“関”ができました。
それから長い年月がたちました。
どちらの村も、【おたがいの色を口にしてはいけない】
そんな決まりをつくりました。
② 出会い こおりのたま
春のすこし前。
しろの村のうさぎの子は、お役目で“関”を見にいくことになりました。
小さな真っ白の手には、小さな『こおりのたま』。
それは冬の終わりに神さまへ奉納する、「けがれのないしろ」をあらわすものでした。
でも道の途中、こおりのたまが転がっていってしまいます。
ころころ、ころころ。
そしてそれを拾ったのが──
きいろの村の、きつねの子でした。

③ ふたり はじめての会話
「これ、きみの?」
きつねの子がこおりを差し出します。
うさぎの子は、こわごわうなずきました。
話してみると、ふたりはすぐに打ちとけました。
きつねの子は、たんぽぽの花を見せてくれました。
「これ、黄色のむらでは“春のしるし”なんだ」
うさぎの子は、そっと微笑みました。
「……きれいね」
でも、すぐに顔をふせました。
「“たんぽぽの色”は言っちゃいけないの」
④ ひとつのことば
何日かたって、ふたりがまた関のそばで会っていると、大人たちが見つけてしまいました。
「そんな子と遊んではいけない!」
「お前たちのせいで、春が遠のくのだ!」
うさぎの子は、涙をこらえて言いました。
「わたしは黄色い花も、おひさまも好き。
栗の実も、みかんだってとっても美味しい。
きれいだって、おいしいって思う心にも、色がなくちゃいけないの?」

その言葉は、春の風のように、
ふたつの村の大人たちの胸を通りぬけました。
⑤ おわり 色を取り戻す春
雪がとけ、『こおりのたま』もすっかり消えました。
川の水はまた流れはじめ、村の人たちは白と黄色の花を並べて飾りました。
うさぎの子は言いました。
「春って、いろんな色があるね」
きつねの子はうなずきました。
「うん。どの色も、あたたかいね」
その日から、ふたつの村のあいだには“関”のかわりに、花畑がひろがりました。
初めての童話作成
ひー…初めて童話なんかを書いてみました。難しい!ふわっと頭に浮かんでから形にするまで、すごく大変でした。伝わるかなーって今も思ってますが、誰か一人でも読んでくれたら私は嬉しいです!
