suddenly⑭

いくつ羊を数えるよりも、あなたの言葉を確かめて

紡のアパート近くの交差点

二人、歩きながら英語で話をする。

紡モノローグ「もうちょっと、上手に話せるようになったら聞くね」

紡、ぎこちない英語で、

紡「教室行って、英語勉強してる」

哲、頷いて、

哲「発音記号、分かる?」

紡「(何度も頷いて)発音記号ね!覚えた!全部覚えた!」

哲「これは…む」

紡「む!」

哲「(笑い出す)」

紡「ねぇ、遊んでるよね?」

じゃれるように笑いあう二人。

分かれ道に来て、

紡「私の家、こっち」

と、アパートの方を指さす。

哲、頷いて、別の道を「こっち」と指さす。

二人、なんとなく別れにくく、見つめ合う。

紡のスマホに着信。

哲から。出るか躊躇う紡。

哲、電話だとわかって、「どうぞ」と。

紡、申し訳なさそうに電話に出る。

紡「もしもし」

哲「あ、つむ、今家?」

紡「もうすぐ着くとこ」

哲「夜暇してる?今ちょうど近くでさ」

紡「…ん?なに?」

哲から返答がない。

紡「哲?聞こえてる?」

紡、何気なく哲に目をやると、紡の後ろを見つめている。

視線の先が気になって振り返ると、少し先にスマホを耳に当てた?がいる。

紡「…」

哲と?、目が合って、

哲「つむが好き」

?「つむが欲しいです…なんでこんなこと言ったんだろう…」

哲モノローグ「愛していなかった。そう思っていた。分からなかった。何かを分かり始めた」

[回想]山形学園高校・体育館

壇上で作文を読む哲。

哲を見つめる紡。

紡を見つめる哲。

哲モノローグ「あんま興味なかったけど、黒田が好きっていうから見た映画。人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった、って、なんだそれって思ったけど」

哲、視線を紡から?へ。

哲モノローグ「そっか。これか。こういう感じか」

[回想]山形学園高校・校庭

哲、?の後ろ姿を見つけて、声をかけようと近付く。

?、紡を見つけて微笑む。

紡と?、哲に気付かず、合流して歩いていく。

どこか少し、まだ距離のある初々しい二人。

哲、二人を見て、?に声をかけるのをやめる。

哲モノローグ「すごく仲の良い友達と、すごく好きな人だったから、嬉しかった。すごく切なくて、ちょっとだけ嬉しかった」

[回想]藤沢家・哲の部屋

スマホにLINEの通知。

見ると紡から。【振られた】と。

哲モノローグ「ちょっとだけ嬉しかった。そんな自分が許せなかった」

?「なーんちゃって、だろ」

[回想]居酒屋・外(夜)

哲モノローグ「なんとなく連絡を取るのも気が引けて、そのあと会ったのは、大学を出てから、高校の同窓会だった」

高校の同窓会、哲の姿はない。

店から出てくる同窓会の参加者たち。

朝日「はーい。二次会行く人ー?」

巡「カラオケにしよ」

快「哲、二次会だって(と手招き)」

哲「あ、うん…」

と答えつつ、紡を気にする。

紡、渋い顔でスマホを見ている。

マイ「つむぐぅ、行くよ~」

と、手招きするが、

紡「マイごめん、私帰る。みんなまたね!また誘って!ごめんね!」

と、輪から抜ける。

哲「(心配そうに紡を見て)…」

[回想]サイゼ・店内(夜)

窓際の席に一人。机の上にパソコンを広げて仕事をしている。

窓を叩く音に振り向くと、哲が外にいて、こっちを見ている。

紡「え、藤沢くん…」

哲、口パクで「どうしたの?」と。

紡「(伝わらず)ん?」

哲、口パクで「そっち行っていい?」と。

紡「(やっぱり伝わらず)ん?え?」

哲、口パクで「行くね」と言って、店内へ。

紡「…」

哲、紡の向かいの席に座る。

?と??、哲と紡の真似をして向かいの席に座る。

思い出話に花を咲かせる二人。

?「にんげんっていいな」

??「懐かしいね」

?「お前のために本当に死んだんだよ」

??「AED持ってて良かった」

実は、テンパって「消火器しかない」と言っていた??であった。

良かったね、村上サディウスより。

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ゆり子

SnowManのファンです。よろしくお願いします。

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