suddenly⑯

いくつ羊を数えるよりも、あなたの言葉を確かめて

紡のアパート近くの交差点

哲モノローグ「紡は」

哲、歩きながら紡に電話をかける。

哲「紡、今家?」

紡「もうすぐ着くとこ」

哲「夜暇?今ちょうど近くで。ミラノ風ドリア食べよ?」

哲、紡を見て、言葉に詰まる。

紡「サイゼ?」

哲「…」

紡「哲?聞こえてる?」

紡、振り返り、哲に気付く。

紡「…」

哲、目が合って、

哲「…」

紡「…」

紡と哲、電話越しに、

紡「…哲」

哲「…紡が好きそうなお店、先輩が教えてくれて」

紡「そっか」

哲「今日じゃなくて」

紡「え、」

哲、察して、紡の肩を叩く。

紡「(哲に振り向いて)ん?」

哲「行くね」と行き先を指さして、「じゃあね」と軽く手を振る。

紡「…うん」

哲、一瞬紡を見て、目が合ってすぐそらす。

二人に背を向けて歩いていく。

哲、電話を切って紡の元に歩いてきて、

紡の背中に、

哲「…紡」

気付かずに歩いていく紡。

哲「つむ」

紡「ねぇ…」

哲「つむ!」

紡「…」

哲が見えなくなり、

紡「時間も伝えとけばよかった。突然会ったらびっくりするよね」

哲「…」

紡「サイゼいこ!食べいこ!」

哲「今日じゃなくていい?」

紡「え…」

と、哲の手を取る。

哲「(イラっとして)また今度、空いてる日ある?」

と、手を振り払う。

紡「(驚いて)…」

哲「また連絡するね」

と、去っていく。

紡「…」




suddenly


通り

紡、少し離れたところで誰か見つける。バッグのチャックを開けて、走り出す。歩いている哲、後ろから誰かがぶつかり、驚いて振り返る。

紡が笑っている。

二人、英語で

哲「何してるの?」

紡「哲くん見つけて、ダッシュしたの」

哲「それは分かってる」

と、紡のバッグのチャックを閉める。

紡「デートは?」

哲「dateFM?」

紡「振られたんですか」

哲「そうなんですよ」

紡「(冗談交じりに)慰めてあげるよ。カラオケ行く?」

哲「(笑って)これから用事があって」

紡「こっち」と手招きし、それについていく哲。

哲「落ち着く」

紡「(嬉しそうに)…私?」

哲「(頷く)」

哲と紡、照れ笑い。

紡のアパート・中(夕)

紡、帰宅。

紡「ただいま」

通話をつなげる。

ネットの松、服のボタンを付けている。

紡を見ずに、

ネットの松「窓あけっぱだった、虫入った」

紡、心ここにあらずで、

紡「んー」

ネットの松「お腹減った」

紡「お腹減らないなぁ」

ネットの松、手を止めて紡を見る。

紡「あ、ほら、危ないよ」

ネットの松、手を止めて

ネットの松「なんかあったの?」

紡「なんもないけど」

ネットの松「お腹減らないわけないでしょ」

紡「イライラしてる」

ネットの松「え?」

紡「うん」

ネットの松「喜怒哀楽分かりやすいよね」

紡「今の松って、喜か楽ですよね」

ネットの松「…(じっと紡を見る)」

紡「…(目をそらす)」

ネットの松「なんで名前リスさんなの?」

紡「今?」

ネットの松「(小さく溜め息)…いろいろあるみたいだけどさ、リスさん。俺に何も言うことないんか」

紡「…(思わずネットの松を見て)」

ネットの松「知らないけど」

と、再びボタンをつけ始める。

紡「…」

同・紡の寝室(夕)

紡、哲とのLINEのトーク画面を見つめる。

紡「…」

悩んで何も送れず。

哲のアパート・中(夕)

哲、帰宅しすぐソファに横になる。

哲「…」

スマホで誰かに電話をかける。

スタバ・店内(夕)

向かい合って座る哲と紡。

以下二人、英語で

紡「お腹減ったねぇ…あ、光ってるよ」

と、哲のスマホが目に入り、着信を知らせる。

哲、スマホ画面を見て固まる。

紡「電話?誰から?」

哲「同級生」

紡「うちらのこと知らないの?」

哲「知ってる」

紡「(顔を歪めて)…嫌がらせだ。性格悪すぎ。ブロックしなよ」

電話が切れる。

紡、「ねぇねぇ」と身体を乗り出して、

紡「女の子、英語できるの?」

哲「少し」

紡「なんで?」

哲「英語の教室行ってるんだって」

哲、スマホを操作して「ここだって」と見せる。

紡、「ふーん」と教室のホームページをスクロールして見る。

店員がパスタを運んできて、

店員「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ」

紡、店員に笑顔で頭を下げる。

食べようとして、フォークがないことに気付く。

紡「フォークない」

店員はすでに席を離れている。

呼び鈴もない。

哲、立ち上がり、店員を追いかけて肩を叩く。

店員「(振り返り)はい…」

?「意識飛んでたわ」

??「ちょっといい?(手首を触りながら)脈弱いね…ちょっと休んでて」

バッグから出したポーチを枕に?はその場に横になったのであった。

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ゆり子

SnowManのファンです。よろしくお願いします。

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