suddenly⑰

いくつ羊を数えるよりも、あなたの言葉を確かめて

英語教室「VIVA!」・外(日替わり)

英語のレッスンにやってきた紡。入口の前で立ち止まり、中に入るのを躊躇う。

小村、昼休みから戻ってきて、紡に気付き、

小村「黒田さん?」

紡、振り返って、

紡「あ…こんにちは」

小村「こんにちは。どうしました?どうぞ」

と、扉を開けて紡を中へ入るよう促す。

紡「あ、どうも…」

同・中

紡と小村、教室に入り、

小村「どうでした?話せました?約束した彼」

紡「習ったことは、ちゃんとできたんですけど」

小村「(笑って)」

紡「普通に会話するのはやっぱ難しいですね。全然ペラペラじゃないです」

と、本気で落ち込んでいる。

小村、その様子が面白くて笑いを堪えつつ、

小村「その彼と話してれば自然と話せるようになりますよ。こうやって授業で習うより、実践の方がずっと上達しますから」

紡、ふと気になって、

紡「…そういえば」

小村「そういえば?」

紡「小村さんは、いつから英語始めたんですか?」

小村、一瞬言葉に迷って、

小村「大学の時」

紡「あ、そうなんですね」

小村「怠惰な学生で、就活始めなきゃってときになって、アピールできるものがないって気付いて、ボランティアを…」

紡「(反応に困って)…いやいや」

小村、英語のテキストをパラパラと見ながら、

小村「知ってます?結婚してるんですよ、曽山」

紡「へぇ」

小村「幸せってことですかね」

紡「…」

哲の会社・外(夕)

哲、スマホを気にしながら、会社のあるビルから出てくる。

紡が待っているのに気付いて、

哲「つむ?どうしたの?」

紡「おこ?」

哲「ん?」

紡「藤沢くん、おこ?」

哲「何が?」

紡「藤沢くん」

哲「あぁ…紡になんか聞いたの?」

紡「代わりとか思ってない」

哲「…」

紡「好きな人いなくなったから、いる人好きになったんじゃない。絶対ない。身内が保証する」

哲「…うん」

紡「俺わかるから、ほんとに。俺のへその緒、姉ちゃんが切ってるから。だからそういうのわかるから」

哲「(微笑んで)そっか」

紡「うん…ごめん、それだけ。じゃ、バイトあるから。稼いで姉ちゃんに諸々返さなきゃだから」

哲「うん。車、気を付けてね」

紡「(笑って)いつまでそれ言うの」

哲「(笑って)ごめん」

哲、去っていく紡の姿を見送って、スマホで電話をかける。

哲「…もしもし、紡?」

歩き出して、

哲「(笑って)そうなの?俺も。なんとなく電話してみた」

藤沢家・サキの部屋

サキ、ベッドでごろごろしていると紡から着信。

サキ「(電話に出て)はーい」

紡「あ、どうも」

サキ「どうも」

サキ「もしかしてお兄ちゃんと会ってる?」

紡「会ってる」

サキ「まじかー。え、会ってる?」

紡「…あのさ」

サキ「何?」

紡「(不機嫌に)どういうつもりなの?」

サキ「(驚いて)…え、ごめん。私そんな、わざとじゃなくて、間違って教えちゃって…そもそもそこが付き合ってんの知らなかったし……」

紡「違う。藤沢さんじゃなくて、藤沢くん」

サキ「…ん?」

紡「藤沢哲くん。どういうつもりなの?」

サキ「…」

通り

歩きながらサキと電話する紡。

紡「姉ちゃんたちの邪魔しないでって、言っといて。」

藤沢家・サキの部屋

紡に電話を切られたサキ。

サキ「なにそれ…」

扉をノックする音。

サキ、返事をしないでいると、扉が開いて、

はつね「え?サキ?いるよね?」

と、茜が顔を出す。

サキ「いるけど」

はつね「(不安そうに)…ノック、聞こえなかった?」

と、軽く扉を叩く。

サキ「(小さく溜め息)聞こえた。返事しなくてごめん」

はつね「いいよ」

サキ「何?」

はつね「(一万円札を差し出して)交通費持ってきた」

サキ「(受け取って)なにこれ」

はつね「お兄ちゃんのとこに行くんでしょ」

サキ「行かないよ」

はつね「会いたがってるよ、行ってきなー」

サキ「嫌だ」

はつね「残りお小遣いにしていいから」

サキ「やった。新幹線使わないで行こ」

部屋を出ようとするはつねに、

サキ「知ってる?」

はつね「(振り返って)ん?」

サキ「お兄ちゃん、最近紡ちゃんと会ってるらしいよ。英語勉強してくれてんだって。健気ってやつ?」

はつね「…」

サキ「ありがたいけどさ…でも、なんかちょっと、イラっとするよね」

はつね「…サキ(そういうこと言わないで)」

サキ「気分良いのかな。これまで何があったかも知らないでさ。久しぶりに再会して、あなたのために一生懸命英語覚えます、って?自分はその間、哲くんと楽しく吞気にヘラヘラ生きてたのに」

はつね「サキ!」

サキ「…」

はつね、サキから一万円札を取り上げて、

サキ「え、渋沢?」

はつね「やっぱ行かなくていい。哲に余計なこと言いそうだから」

サキ「(小声で)お兄ちゃんのこと、そんなに心配?」

はつね「…」

英語教室に通っているのは哲のため?それとも紡自身のため?

英語教室に何のために通っているの?

?「先生と話してたら、哲どっか行っちゃうよ~?」

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ゆり子

SnowManのファンです。よろしくお願いします。

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