昭和歌謡に魅せられて・平成特別編 音楽はタイムマシン〜「ズルい女」と「LOVEマシーン」。〜

それは、カーラジオか、カーステレオだったかもしれない。パチンコ屋か、ガソリンスタンドか、居酒屋か。街角のどこかから流れてきたのかもしれない。とにかく、ある時期はもう、その曲だけがやたらと流れていた気がする。

………という、そういった類の楽曲=ヒット曲、だった最後の《季節》が、平成の早い時期だったのかもしれない。

平成の後半、そして令和に入ると曲の聴かれ方も変わって行き、もっぱら「個」の単位の集合体=それがヒット曲、となり、その状態が続いている(だから「今年のヒット曲を、家族揃って」といった意味合いでの『紅白歌合戦』も、基本的にはもはや成り立っていない)、そんな感じだろうか。

その最後の《季節》、小室サウンド、ZARDなどのビーイング系など、さまざまなタイプのヒット曲たちがひしめき合う中で、何かひとつ独自の色合いを持って目立っていたのが、もともとバンド=シャ乱Qのフロントマンであり、その後プロデューサーとしても一世を風靡した、つんく(現・つんく♂)だろう。

そのシャ乱Q、まるでコミックバンドか何かのような現われ方で、実際「ラーメン大好き小池さんの唄」など、コミックソングのような楽曲も少なくなかったのだが(この楽曲自体、『オバケのQ太郎』などに登場する名物キャラで、いつもラーメンを食べている「小池さん」のことを、『ひみつのアッコちゃん』最初のTVアニメのエンディング曲「すきすきソング」ほぼそのまんまのメロディーで歌うという、きわめてパク……否、オマージュ……もとい、トリッキーな「トキワ荘リスペクト」的楽曲ではあった)、「上京物語」「恋をするだけ無駄なんて」と、徐々に売れはじめ、やがて「シングルベッド」、そして「気持ちいいこともそう/真珠もそう/アンタのため」という意味シンな歌詞をサラッと歌ってしまうという“快挙”?を成し遂げた「ズルい女」……といったメガヒットを放つに至ったのだった。

その一方でつんくはアイドルのプロデュース業にも手を伸ばし、今もその名は残って引き続き新しいメンバーで活動中のモーニング娘。を手はじめに、松浦亜弥(元祖あやや)、太陽とシスコムーンなど、数多くのアイドル(ソロ及びユニット)をデビューさせ、成功へと導いた。

モーニング娘。の「LOVEマシーン」がその中の代表的な1曲(というか、そこに留まらない1曲)であることは、もはや疑う余地もない。

いま思えば、シャ乱Qの「ズルい女」も、モーニング娘。の「LOVEマシーン」も、もはや25〜30年以上前のナンバーだということに驚きを隠せないけれど、どちらも平成という時代を象徴する楽曲であることは間違いないだろう。

追記:その後も数多くの楽曲をプロデュースし、メガヒットさせ、一時代を築いたつんく♂は病を得て声を失ったものの、第一線から退くどころか、その創作意欲は、若干のシフトチェンジを伴いつつも、ますます旺盛のようである。

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しんのすけ1965

昭和歌謡などの音楽以外にも、さまざまに興味を持っています。そういったあたりも、どしどし出していけたらいいなぁ………なんて、思っております。

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