私の実家では、正月の3が日の最終日にすき焼きを食べるという文化がある。これは代々続いたしきたりではない。私の祖父が年始に酒好きも下戸もそろって皆で集まってわいわいと新年を過ごしたい、という祖父の要望が毎年恒例行事となったのが理由だ。そのため正月になったらスーパーにてすき焼きの具材を探すのだが、同じくすき焼きの具材を探しに来たであろう買い物客が私の他にもいることに気づく。そういえば、年末のチラシにもすき焼きの具材が大きく載ることがある。もしかすると私の知らない地域ですき焼きを食べる文化があるのかもしれないと思い調べることにした。
東海地方の文化「ひきずり」
調べてみると東海地方で年の暮れや大晦日には、年越しそばよりもすき焼きを食べる文化があることが分かった。名古屋などの尾張地方で「ひきずり」という、すき焼きの具材の牛肉を名古屋コーチン鶏肉にした鍋が、祭りや祝いの席などに古くから食べられている。ひきずりを食べる意味には「来年に厄を引きずらず、いい新年を迎えられる」という意味があるのだそう。そのため自然と年の暮れ、大晦日でも食べられるようになったようだ。今までは鶏肉だったが、牛肉が一般的に手に入りやすくなったころから、だんだんと東海地方でも鶏肉を使ったひきずりに代わって、牛肉をつかったすき焼きを食べる家庭が増えてきて、今ではすき焼きの具材が年の暮れに売れる定番商品になったらしい。
おめでたい時には食べたい
またひきずりは関係なく、すき焼きは単純に調理に手間がかからずにできる豪華な鍋料理であるので、おめでたい時に食べる方が多いのだそう。そのため年末年始にすき焼きの具材をチラシに載せておけば見た人も「新年でおめでたい日だしすき焼きでも食べようか。」なんて思ってスーパーに足を運んでくれるようになる。年末にも載せるのは、この店にはすき焼きの具材が1店舗で揃えられると客に認識してもらうためもある。
さいごに
毎年1月24日は、明治5年1月24日に明治天皇が初めて牛肉を食した日にちなんで「すき焼きの日」が制定されている。すき焼きの日に合わせてチラシもすき焼きコーナーをまた作るのかもしれない。すき焼き文化についてちょっとばかり学んだら、今後皆で鍋を囲って和気あいあいとできるおめでたい日にすき焼きをできる機会があったら楽しみかもしれないなとそう思った。
