「しまった!」作文

 あの郷土料理

 私は、これまで生きてきて、沢山「しまった!」と思ったことがあります。今日は小学校の思い出を書きたいと思います。

 栃木県の郷土料理に「しもつかれ」という料理があります。ここで、「しまった!」事件が発生しました。「しまった!」事件の始まりは、今考えると、給食のプリントが配られてきた時からでした。

 「なに?この、しもつかれって」そう言うと、周りの空気が一変しました。クラスが静まり返り、「いやだ!」「最悪だ!」と口々に言いだし、「ゲロだよ」と言いながら、泣き出した人もいました。みんな去年の「しもつかれ」を思い出していたのです。

 「その日休もうかな…」誰かが言うと、みんなその人を睨みました。よく聞くと「黄色くて、オレンジで、白で、不味い」それだけをみんな繰り返していました。異様な空気でした。帰りの会で先生が「しもつかれ」の話をしました。みんなランドセルに突っ伏しました。帰りの会が終わると「聞いてるだけで気持ち悪くなる」とみんな小さい声で言いました。私は、その日が来るのが怖くなりました。

 家に帰って、お母さんに「しもつかれって知ってる?」と聞きました。「大人だね~」と言いました。「今度給食に出るんだって」と言ったら、信じられないと言った顔で「そお…」と言いました。なぜか、怖さが増しました。

 次の日から、「しもつかれ」の話が禁止になりました。なぜなら、気持ちが悪くなるとみんなが先生に言ったからです。「しもつ…」まで言った人は、先生の元に連れていかれました。

 私は、怖くなったのでその日、お母さんに詳細を聞きました。「どの材料が使われているの?黄色って卵?」そうすると、「調べてみるね!」と言われました。

 次の日、家に帰るとテーブルの上にお皿が置いてありました。「しもつかれ」でした。「しまった!」私はそう思いました。お母さんが作ってくれたのです。私は、何も言えませんでした。お母さんが、お箸を用意してきました。「おやつ?」と聞きました。お母さんは何も言わず、お箸を差し出してきました。「手洗ってくるね!」と、洗面台に行きました。手を洗いながら、食べるか食べないかを考えていました。手を洗った後、この間の出来事を話して、食べるか食べないかを相談しました。「ひとくち食べてみたら?家だし」お母さんは言いました。「お母さんから食べて」と言いました。「ゆり子ちゃん食べて」と言われました。「味見で食べたし」そう言ったお母さんを信じられませんでした。「一回食べて」と言いました。一口お母さんが食べました。「どう?」と聞きました。リアクションを見ませんでした。私は、勢いでテーブルの上の「しもつかれ」を食べました。ゲロは吐きませんでした。これなら、少しなら食べられるかなと思いました。おかずとして出るのか、おわんとして出るのかが問題だなと思いました。

 夕食にも出ましたが、誰も手はつけませんでした。

 何日か経ち、「しもつかれ」が給食に出る日が来ました。みんな、何事もなかったかのように授業を受けていました。4時間目が終わり、給食の時間になると、「しもつかれ」を配る人のじゃんけんが行われていました。給食のワゴンが来た瞬間、みんな鼻声になりました。私は、1回家で食べていたので、気持ちに余裕はありました。みんなは顔が青ざめていて「美味しいって言いながら食べたら美味しく感じるかな」と言っていました。廊下では、端の方に逃げている人もいました。いつもより早く給食が配り終わり、いつもより遅い「いただきます」でした。先生が声を掛けました。「みんな、交互に食べたり…」いつも静かに先生の話を聞いてるみんなが「一気に牛乳で流し込んだ方が良い」と言いました。みんな、その方法で食べようと決めた顔をして、食べ始めました。牛乳をみんな持ちました。みんな食べ終わったと思ったのか、何人かが「美味しいー」と言いました。クラスが静まり返りました。何事もなかったかのように、給食の時間が始まりました。

 これが「しまった!しもつかれ事件!」の全貌です。私は、あの出来事を忘れることが出来ません。これからも覚えていると思います。「しまった!」と思う出来事は、「あの郷土料理」を巡るみんなの戦いでした。「美味しい」と言った人たちは、帰りの会で立たされ、「食べ終わってなかった」という人、「みんなが食べ終わったと思って言った」という人たちが言い合いをしていました。みんな「あの郷土料理」をいまだに覚えていると思います。

 私は、「しまった!」と学校で思わなくて良かったなと思いました。「しまった!」対策は、大人になってから出来るようになりました。あの頃は大変だったなあと懐かしく思います。この作文を書くまで忘れていましたが、何か起こる前に説明することは大切だなと思いました。これからも、リスクマネジメントの勉強を続けていきたいと思います。

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ゆり子

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