いくつ羊を数えるよりも、あなたの言葉を確かめて
[回想]黒田家・リビング(昼)
哲「何してるの?」
紡「え、うーんとね、マンガ読んでる」
哲「俺見て」
紡「何?」
哲「…」
紡「この漫画面白くて」
哲「そうなんだ!」
紡「いいなあ」
哲「なんで?」
紡「テストあるじゃん」
哲「どこがいいの?」
紡「空想科学読本もあるし」
哲「分かった、貸してあげる」
紡「この前ごめんね、借りっぱなしで集会で名前呼ばれて」
哲「いいよ」
紡「カメラ見ちゃった」
哲「それ先生の」
紡「え!」
哲「なんか生物撮ってこいって借りた」
紡「カメ撮る?」
哲「いい?」
紡「いいよ、掃除するし、ついでに」
哲「いいの?」
紡「歯ブラシあるかな、待ってて」
哲「うん、歯ブラシ?噛む?」
紡「甲羅の溝を磨くの」
哲「かわいい」
紡「かわいい」
哲「紡ちゃんが」
紡「え!!ありがとう」
哲「会いたくて」
紡「うん」
哲「会いたかった」
紡「分かった、離して」
哲「亀、午後からにしない?」
紡「お昼だっけ」
哲「かわいい」
紡「カルボナーラにしよう、置いてったから」
哲「どこに行ったの?」
紡「剣道の見学」
哲「そうなんだ、俺来ること知ってる?」
紡「知ってる、大盛り用意していったよ」
哲「やったー!」
紡「亀、今撮っていいよ」
哲「何?」
紡「座りたい」
哲「そうだね」
紡「先生元気?」
哲「なんか先生変わってさ~」
紡「どんなの?」
哲「言いたくない、体育の教師」
紡「そっか~」
哲「亀は?」
紡「最初カルボナーラでしょ、はい」
哲のアパート・中(夜)
哲「よほ~」
紡「なにそれ初めて聞いた」
哲「やほにしようかな」
紡「はろって変?」
哲「いつも言うよね」
紡「ハイ!にしてたらださくて」
哲「だっさ」
紡「やっぱはろだわ」
哲「はろはろって分かる?」
紡「あ、黄桃の」
哲「去年そんなだったっけ」
紡「白いのだったかも」
哲「白桃?」
紡「うん」
哲「調べよう、これ食べたな」
紡「前カノと?」
哲「あぁ、食べる予定で」
紡「黄桃か白桃で喧嘩したとか?」
哲「そんな感じ」
紡「いいね」
哲「朝日ともそんな感じ?」
紡「え、たしかヌガーとミルクで喧嘩したかな」
哲「そっか、いいなあ俺も」
紡「じゃあ、今度」
哲「やったー」
紡「私ははろって言い続けるね」
哲「ちょっと待ってどういうこと?」
紡「はろ~はろ~」
哲「熊井好きだったような」
紡「2だけ見たって言ったから、3見たの」
哲「いつ?」
紡「最後に1見たんだけど、順番ばらばらだねって」
哲「ごめん、話入ってこなかったわ」
紡「じゃあ、また会って話そう」
哲「え、やだ。熊井って好きなのそれ」
紡「嫌いだけど見ようって」
哲「なんで?」
紡「俺は21世紀の少年だってなって帰っていった」
哲「本命としか見ないんだよ」
紡「今でも見てる?」
哲「いや、あれは朝日が…」
紡「おっと、まじか」
哲「違う、みんな紡が好きだ」
紡「そうだね」
哲「えっと、好き!」
紡「私も好き~みんな!」
哲「大好き~」
紡「え」
哲「みんな好きだ、俺も」
紡「真似する感じで?」
哲「今は紡だけだから、これから」
紡「がんばって」
哲「お前、この野郎」
紡「あ」
哲「切る必要はない」
紡「じゃ、友達で」
哲「頭が良いね」
紡「親友で」
哲「あの、さよなら」
紡「荷物、朝日に預けるわ」
哲「やっぱ付き合う」
紡「じゃあ、そういうことで」
哲「黄桃食べに行こうね」
紡「いいよ!夏までね」
哲「そのあとは?」
紡「えっとお、本命がいて」
哲「分かった、それはそれで」
紡「分かった」
哲「じゃあね」
ぴんぽ~ん
哲が部屋の前にいる。
紡「なんで!?部屋にいたじゃん」
哲「あぁ、これ背景選べるの」
紡「…へぇ…」
哲「誰かいる?こえー」
紡「いないです」
哲「あげて?」
紡「これから宮本来るよ」
哲「なんで~?」
紡「結婚式の打合せ」
哲「結婚するの?」
紡「うん、3月に」
哲「そっか~幸せになると良いな」
紡「ありがとう」
哲「え…」
紡「あ、来た」
哲「俺は?」
紡「招待するね、宮本側で」
哲「愛してた、朝日に言う」
紡「そうだね」
朝日「よお」
宮本「やあマイハニー」
紡「朝日どうしたの?」
朝日「会いたくて」
哲「結婚するってこの2人」
宮本「言ったの?」
紡「ばれた」
哲「かけられた?」
宮本「そんなわけないだろ」
朝日「最悪だな」
哲「AEDくれ」
宮本「それで死んだからやめろ」
朝日「誰?」
宮本「こだか」
朝日「誰だ~」
哲「あいつと同じは嫌だ」
紡「ミスったかも」
朝日「なんかあった?」
紡「目白と同じグループにいた人でしょ」
哲「目白知ってんの?」
紡「元カレ」
哲「なぜ、一体、俺に声を…」
朝日「どういうことかというと3つの派閥があるわけ」
宮本「こいつ女取られたんだよ」
朝日「かわいかったな、セレナ」
宮本「ドンマイすぎる」
朝日「海に行ったのが悪かったな」
宮本「何で別れたの?」
紡「価値観の違い?」
哲「あいつ馬鹿だろ」
紡「なんか、変なんだよね」
哲「例えばなんだよ、直すから」
紡「しりとりで、すりばちを持ってきたりとか」
宮本「大きいの?」
朝日「あの、お似合い」
紡「あとは、じゃがいも」
宮本「どんな流れ?」
紡「好き、キスでキスして、スマホで見せて写真撮って」
宮本「そこまではいいな」
哲「ユーモアの履き違えだ」
紡「えっと、あとは車で画像検索して、まあいろいろ」
朝日「え、そんな子」
紡「で、すから始めようってなって、すりばちを持ってきたの」
宮本「いいな」
朝日「今度だろ」
哲「(笑いながら)なんですりばち?」
紡「その後も付き合ってたんだけど」
宮本「なんかあったのか」
朝日「(笑いが止まらない)」
宮本「聞けよ」
紡「すみません、で終わったり」
宮本「(肩を震わせながら)それで?」
紡「スルーしないでとか、す責めをされて」
哲「笑ったの?」
紡「笑わなかったんだけど」
宮本「笑えよ」
紡「睡蓮で終わらせろって言われて終わらせたら喧嘩になって」
哲「あたまわりいな」
宮本「あほだな、こんなにかわいいのに」
紡「じゃあ、ってなんで笑ってるの?」
朝日「それで?」
紡「なんか振った」
哲「なんか言われたんか」
紡「暴言を吐かれて、どっきり大成功~って言われたり」
宮本「(息をついて)なるほど」
哲「俺でいい」
朝日「他あるだろ」
紡「ニキビを食べようとしたり」
朝日「いや~合わなそ~」
紡「あとは、バナナを腰に下げてたり」
哲「なんで?」
紡「ターザンになりたかった時の真似をしてって言ったの」
哲「モノマネじゃないんだ」
朝日「モノボケだろ」
紡「さあ、忘れよう」
宮本「もっと言え」
紡「切手に絵を書いたりとか」
宮本「なんで?」
紡「毎日3通届くんだけど、123って」
哲「こわ」
紡「人の顔で表されてる」
宮本「いやー」
紡「ありえないよね」
宮本「そのくらいにしておけ」
哲、泣いてる。
紡「ごめん」
朝日「最低、紡」
宮本「(笑いが止まらない中)結婚嘘」
紡「しりとりの最後が絶対ンジャメナなのもきもかったな」
哲「うんうん」
紡「続いてるじゃんね」
哲「それが良かったんだと思うよ」
紡「え、んを探すこっちの身になって」
哲「たしかに」
紡「よく頑張った」
哲「何日?」
紡「半年くらい、メッセージも合わせて」
哲「終わってんな」
紡「最後、1日何通来てたと思う?」
哲「腹痛いわ」
紡「55通」
哲「書くことある?」
紡「暇なんだって、60通に増えたけどキモイから55にしてって返したらなった」
哲「切れ」
紡「まだいる」
哲「いんの?どこ!?」
紡「あれは…!!!」
宮本「いや~!!!」
朝日「寒気がした」
哲「手紙あったら回収するわ」
紡「全部燃やした~」
朝日「手紙の内容は」
紡「好き、愛してる、とか、○○なとこ愛してる2枚とか」
哲「きっも」
紡「しりとりについて思ったことをなぞらえて書いてたり」
朝日「じゃ~ね~」
紡「ま、いいや。みんな入って!!!」
黒田家・リビング(日替わり)
哲「亀は?」
紡「もうちょっとしたらにしよう」
哲「ほら亀もいまやろうって言ってるよ」
紡「えー」
哲「やってやってー」
紡「歯ブラシ持ってきて、あとバケツ半分水、あと砂利出して」
哲「いいよ」
哲、用意をする。
紡「早ーい」
哲「さあ、…亀って噛む?」
紡「噛むよ!!!」
哲「こわ、俺ネコに噛まれて」
紡「うちんちの亀はお利巧なので、甘噛みです」
哲「そうなんだ、噛まれてもいいんだ」
紡「…、最初噛ませる?」
哲「いいです、大丈夫です」
紡「じゃあ、まずは砂利を水につけて」
哲「カルキ抜きは?」
紡「それ、あっちのバケツ」
哲「綺麗」
紡「サクラソウと、朝顔かな」
哲「亀だよ、柄が綺麗」
紡「鼻の穴大きいよ」
哲「最悪」
紡「亀の話」
哲「ないじゃん」
紡「歯ブラシ貸して、これをこうして擦るとほら!」
哲「鼻だ」
紡「鼻かわいいでしょ、意外と走るのも早くて」
紡、地面に亀を置く。
哲「え、早い逃げちゃう!!!」
紡「大丈夫だよ~」
哲「隣の家に行っちゃう!!!捕まらない!!!」
紡「はい、これは1回叩いて頭をしまわせて横の甲羅を持つと噛まない」
哲「すごい、天才」
紡「じゃあ、甲羅を端の方まで磨いてね」
哲「はい、出来た」
紡「ここの手、コケついてるからここも」
哲「え、怖い」
紡「じゃあ、私やる」
哲「かわいいね亀」
紡「かわいいね亀、写真撮る?」
哲「(ポケットからカメラを取り出し)うん」
紡「正面?右からと左からならおすすめは向かって右の方かな」
哲「写真家みたいだね」
紡「ほんと!?私カメラ好きで!!」
哲「やめた方がいいと思う」
紡「こっちから撮ると目が大きく見えて…」
哲、1枚写真を撮る。
紡「え?」
哲「撮った」
紡「はや~」
哲「写しといた」
紡「どこ!?」
哲「サンダル」
紡「それならビーサンが…」
哲「えー」
紡「なんで!?」
哲「おじさんに見られて欲しい」
紡「そうなんだ」
哲「いとこのおじさんって書こう」
紡「いるの?」
哲「いない、アカシッピミミガメとか書こう」
紡「ふざけんな、ゼニガメちゃんを」
哲「ピラニアみたいだな」
紡「ひっどい、さあ、お昼寝しよう」
哲「疲れた?」
紡「漫画読んで~」
哲「読み聞かせしてあげよう」
紡「わ~い」
