いくつ羊を数えるよりも、あなたの言葉を確かめて
[回想]紡の実家近くの公園
哲「久しぶり、郊子ちゃん?」
紡「いたの?」
郊子「こんにちは」
紡「学校ぶり」
郊子「(紡を睨みつける)…」
紡「今、ウォークマン聞いてるんだけど」
郊子「それ私の」
紡「あと2日!」
哲「(1人で音楽を聞いてる)…」
郊子「今返して」
紡「やだよ」
郊子「(ウォークマンに手を伸ばしながら)返して~」
哲「待って待って」
紡「いいじゃん」
郊子「じゃあ、みんなで聞こう」
紡「巡今日いないの?」
郊子「あ、忘れてた」
紡「そっか」
哲「(紡を見てる)…」
郊子「みんなで小学校の校庭行かない?」
紡「とりあえず音楽聞こうよ」
哲「小学校になんかあるの?」
郊子「のぼり棒とか」
紡「郊子ちゃんのぼれたっけ」
郊子「のぼれるようになった、練習したの」
紡「(郊子を見る)…」
哲「(ウォークマンを聞いてる)…」
郊子「紡ちゃん行こ」
郊子、紡の手を引っ張って公園を出る。
紡「いたいいたいいたい」
郊子「あの人危ないって」
紡「そんなことないって」
郊子「いや、郊子の音楽取ったもん」
紡「(おどけて)私も取られたって?」
郊子「はあ?私は巡が!!!」
哲「聞いてたけど、巡と別れたら?」
紡「え?」
哲「ちょっとあっち行ってて、フェンスのとこ」
紡「(むくれて)分かった」
哲と郊子が口喧嘩する声が聞こえる。
郊子「紡ちゃん!!!紡!!!」
哲「まだ来んな!!」
紡「分かった~!!!」
哲、近くまで来て手招きをする。
紡、郊子のところに行く。
郊子、下を向いている。
後ろを振り返ると、哲が泣いている。
哲のポケットからウォークマンのイヤホンが垂れている。
郊子「ごめんね!!!私、巡と付き合ってて。巡のこと好きだったよね」
紡「あぁ、うん」
郊子「気にしないで!これからも友達だから!!」
郊子「うん…」
哲、近付いてくる。
哲「こいつ、俺に告ったよ」
郊子「いつ!?」
紡「ウォークマン貰おうっと」
郊子「いいよ、そのかわり巡と音楽は私の」
紡「えぇ!?」
哲「えぇ?って…」
郊子「こいつはやる」
紡「巡いるじゃん」
郊子「そうだけど」
紡「(笑いながら)なんかあったの?」
哲「(呼びかけながら)聞いてるんだけど!!!」
紡「静かにしてて!!」
郊子「最近喧嘩して」
紡「うん」
郊子「私が可愛すぎるんだって」
紡「へ~」
哲、遠くで吹き出す。
郊子「今、校庭で待ってるんだけど!」
紡「へ~」
郊子「哲が好き」
紡「え?」
哲、イヤホンを片耳にさしてくる。
郊子「郊子は哲が好き」
紡「うん」
郊子「音楽も哲が好き」
紡「うん」
郊子「郊子も音楽も哲が好き」
紡「うん」
郊子「おばあちゃんちによく帰ってるよね」
紡「うん、用事で」
郊子「何の用事か知らないけど、来ないで欲しい」
紡「…」
郊子「私の巡を取らないで!!!」
紡「全然意味が分からない」
哲「イミフとか言えよ」
紡「イミフ」
郊子「(泣き出す)」
紡「(遠くに巡を見つける)」
巡「郊子ちゃん!!!」
紡「(泣き出す)」
哲、音楽のボリュームを上げる
紡「(泣くのをやめる)」
郊子「何泣いてんだよ!!!」
紡「泣いてない!!!」
郊子「巡!!!」
紡「(巡に向かって)呼んでるよ~!!!」
郊子、紡の足を踏む。
哲「あいつに用事ある!!」
郊子の足を思いっきり踏みながら哲が横切る。
紡、郊子を見る。
郊子、顔を真っ赤にしている。
巡が来る。
巡「探したよ!」
郊子「あ、うん、ありがとう。突然だけど」
巡「何?告白?ケーキとか?」
郊子「えっと、嬉しい話だから聞いて?」
巡「なに?楽しみだなぁ~」
紡、遠くで何度も横切る哲を見てる。
郊子「さっき、この子たちに音楽をあげたんだ」
巡「うん、どんな曲?巡も音楽好きで」
郊子「(大声で)別れる!!!!」
紡「(そっとその場を離れようとする)…」
郊子「私は巡が好き!!!」
紡、(どうせ聞かせたいんだろうな~)と思いながらイヤホンをとる。
郊子「大好きだから!!!」
紡「水戸納豆!!!(と言って逃げる)」
巡「俺は宮城好き~~~」
紡、走って哲のところに行く。
2人歩きながら話す。
哲「おせえよ」
紡「ごめん」
哲「…なんか言われた?」
紡「郊子の足踏んだの面白かった」
哲「あとで謝んなきゃ」
紡「巡どうしよ、って付き合ってるのか、いや…(考え込む)」
哲「聞いてたけど、別れない。好きだよ紡ちゃん」
紡「理想と違う」
哲「ドロドロ」
紡「今日どうする?電話」
哲「疲れてなかったら一応」
紡「なんで履歴見られるんだろう」
哲「…」
紡「…」
[回想]黒田家・リビング
哲「さっきの話だけど」
紡「今日の電話やめない?」
哲「なんで?疲れた?」
紡「もう、おばあちゃんち帰りたい」
哲「一緒に学校に行こう」
紡「いやだ」
哲「楽しい人もいるじゃん」
紡「…」
哲「マイとか快とか」
紡「たしかに…だけどみんな郊子のこと好きだし」
哲「先生は?」
紡「私が好き」
哲「じゃあ、先生と仲良くなろう」
紡「(哲のこと)好きだよ!ほんとやだあの子!!!」
哲「まだあの子俺のこと好きなのかな」
紡「いや、普段は野球部の男子が好きそう」
哲「…(巡は?)」
ゾマ=リフィ「郊子って小5から中3まで片想いしてたって聞いたけど」
グザノヴァ「へえ」
ゾマ=リフィ「中1の時に彼女がいる男子に告って嫌われて胃腸炎になったとか」
グザノヴァ「…」
ゾマ=リフィ「そんな情報もある」
[回想]藤沢家・哲の部屋
哲「もしもし紡ちゃん?」
紡「はい」
哲「哲です」
紡「はい」
哲「眠い?」
紡「うん」
哲「じゃあ簡単に」
紡「うん」
哲「今日何してた?」
紡「…」
哲「俺は亀の世話をして、掃除をして、部屋の片づけをして」
紡「(引いて)すごいね」
哲「中学生だからね」
紡「この会話みんなに聞いて欲しいな」
哲「(少し構えて)何?」
紡「私好きな人できた」
哲「台本書いた?」
紡「書いてない、なんとなくで話してる」
哲「じゃあ、話して」
紡「好きな人っていうのは哲のこと」
哲「切ろうかな」
紡「もう、ぐちゃぐちゃになるの」
哲「そっか…ぐちゃぐちゃかあ」
紡「さよならだね」
哲「前の男とより戻すの?」
紡「仲良くなったら」
哲「それだけはやめろ」
紡「なんで?」
哲「今度会った時に話す」
紡「分かった、もう一生会わなくなりたいな」
哲「その願いだけ伝えておく…わ!」
紡「うん」
哲「じゃあね」
紡「じゃあね」
紡、布団に入ってすぐ寝る。
[回想]紡の実家近くの公園
巡の姿が見える。
紡「(なんで?と思いながら歩く)…」
巡「朝の運動は良いなあ」
紡「おはようございます」
巡「今日の朝、哲は?」
紡「いないけど」
巡「そっか、俺郊子の家」
紡「そうなんだ、私ケータイ」
巡「俺持ってないや」
紡「私のじゃないよ」
巡「哲の?」
紡「それもある」
巡「そうなんだ」
紡「あの人、金持ちで」
巡「たかってんの?」
紡「お小遣いとかも高くて」
巡「そうなんだ、紡は?」
紡「毎月500円」
巡「へえ、かわいいね」
紡「じゃあ、郊子によろしく」
巡「へ~い」
[回想]黒田家・リビング
哲、朝日、渡部が遊びに来る。
哲「…こんにちは」
朝日「ども」
渡部「はじめまして!電話でお話したことがある渡部です!」
紡「はじめまして」
哲「おい」
朝日「なんだよ~」
紡「こんにちは!」
哲「…ケータイ」
紡「はい、こっちピンクの」
哲「まだ持ってて」
紡「え?あ、うん」
渡部「もしかして付き合ってる?やめときなよ」
朝日「お似合いなんじゃないの?」
哲「朝のハトの」
渡部「あぁ、あの子?」
哲「はとぽっぽはカモが」
渡部「ああああ!なんか聞こえたな~!!!」
朝日「え、なんか聞こえたな~!!お外かな~!!!」
紡「外見てくるね」
3人、紡を見送る。
