いくつ羊を数えるよりも、あなたの言葉を確かめて
[回想]黒田家・リビング
哲「こんにちは」
紡「こんにちは」
哲「どうしたの?」
哲、自分のパーカーを触る。
紡「この格好?運動会の練習してて」
哲「今日、俺の家の近く寒いよ」
紡「そうなんだ、暑くて」
哲「そっか」
紡、手で仰ぐ。
紡「今日ソーラン節でさあ」
哲「やらなくていいんじゃない?」
紡「7月から先輩に混ざって練習してて」
哲「え!すごいね!ごめんさっき」
紡「いいよ全然、休めるなら休みたい」
哲「(心に思ってなさそうな顔で)楽しそう~」
紡「ぜっんぜん!ぜっっんぜん!」
哲「(そっけなく)そう?」
紡「しゃがむ振りがあるんだけど」
哲「やって!」
紡「待って、麦茶飲んでから」
哲「どこにある?注ぐよ!」
紡「大丈夫、冷蔵庫にあるから、ピンクと緑のコップと青とオレンジのコップ取って」
哲「どこ?」
紡「白いふきんの下」
哲「は~い、これ?」
紡、冷蔵庫から麦茶を取り出して、コップを貰って注ぐ。
紡「はい!って、え?」
哲、既に麦茶を飲んでいる。
紡「すごい喉乾いてたんだね」
哲「っああ~~」
紡「美味しそ~」
哲「のみなよ!」
紡「うん」
自分で注いで飲む。
哲のコップの横にボトルを置く。
哲「あれやって」
紡「ああ、うん。エアコンつけようかな」
哲「…」
紡「窓開けよう~」
窓を開けると強い風。
哲「うわ」
紡「すご」
哲「じゃあ」
紡「分かった、じゃあ最初から」
紡、ソーラン節を最後まで踊る。
紡「(最後まで踊りきって)ヤー!!」
哲「いまいちだな…」
紡「アイス食べよ~」
紡、冷蔵庫を開けてイラついて1人でアイスを食べる。
哲「俺のは?」
紡「ないよ、最後の1個だったもん」
哲「じゃあ買ってくる」
紡「え、うん」
哲「行ってきます」
紡「…」
哲「…」
ドアを開けて出て行く。
20分後、哲が帰ってくる。
哲「ただいま」
紡「アイス食べてる~」
哲「はい、紡の」
哲、紡にアイスを渡す。
紡「ありがとう、おなかいっぱいだから後で食べる!」
哲「さっき食べてたもんね」
紡「時間かかったね、道迷った?」
哲「どんなのが好きか分からなかったから」
紡「え!選んでくれ…!?」
哲「新商品にした」
紡「ありがとう、お風呂上りにでも食べようかな」
哲「なんでだよ!」
紡「え!?」
哲「(大きい声で)後で!食べて!」
紡「(押されて)う、うん」
哲「よし、アイスうま~」
紡「(かっこいいと思いながら)…」
哲「さ、寝よっか」
紡「え!?」
哲「お昼寝しよ」
紡「最近してないな」
哲「そうなの?」
紡「友達と遊んでる」
哲「今日は?」
紡「哲来るからキャンセル」
哲「そうなんだ…!え、来てよかった?」
紡「2、3日前に連絡貰えると嬉しいかな」
哲「分かった、昨日でごめん」
紡「いいよ!」
[回想]黒田家・紡の部屋
哲「こっち来て」
紡、哲の横に行く。
哲「これ何?」
紡「委員会の冊子」
哲「なんでここに?」
紡「ごめんね、片付けるから」
哲「や、別に謝んなくても」
紡「別に…(エリカ様風)」
哲「え、なにそれ」
紡「この前、ドラマの後のニュースでやってて!」
哲「知らない」
紡「その場で録ったんだけど見る?」
哲「見る」
紡「こっち!」
[回想]黒田家・リビング
紡「これ、見て!!!」
TVにエリカ様のニュースが流れる。
紡「(モノマネをしながら)別に…」
哲、大爆笑して頭をぶつけて、ひっくり返って笑っている。
哲「ぎゃははははは」
紡「大丈夫?」
哲「ぎゃはははははは」
哲、笑うトーンが高くなり、止まらなくなっている。
紡「死ぬんじゃないかな」
哲「もっかい!もっかい!」
紡「別に…」
哲、笑いすぎて声が出なくなっている。
紡、TVをつけて再生している。
哲、横に来る。
紡、TVを消す。
哲、横になっている。
紡「ちょっとあっち行ってようっと」
哲、起き上がって紡のところに来る。
[回想]黒田家・紡の部屋
哲「さっきごめんね」
紡「え。別に」
哲「じゃなくて、やっぱごめん、ぎゃはははははは」
紡「(内心ガッツポーズで笑う)わははは」
哲「明日からネタにする、エリカ様教えて」
紡「えっと、まず手を…肘たてて、そうそう」
哲、紡のポーズを真似する。
哲「そしてどうするんだっけ」
紡「で、斜め下を向いて、真顔でぼそっと別に…って」
哲「別に…。こう!?」
紡「ああ、上手上手」
哲「明日からやろ~。んじゃ帰る!」
紡「じゃあね!」
哲「アイス食べて!」
紡「分かった!」
哲「帰りたくなくなった」
紡「え」
哲「今日泊まってこうかな」
紡「(窓の外を見て)そういや…。暗!!!」
哲「電話貸して」
紡「いいよ」
[回想]黒田家・リビング
哲「楽しかった」
紡「お風呂入っていい?」
哲「え?」
紡「明日学校なんだよね~」
哲「そっか~、え?」
紡「今日、お風呂遅い方で」
哲「一緒に入る?」
紡「え…」
哲「うそうそ」
紡「お母さん帰ってこないかな」
哲「どこ?パート?」
紡「パート、やめたはずだけど…」
哲「どこ行ったんだろう、探しに外出ちゃだめだからね」
紡「なんで!?みんなで探したりとかするよ」
哲「とりあえずそこにいろ」
紡「うん」
哲「トイレ~」
哲、トイレに行く。
哲「(紡を見て)何やってんの?」
紡「…」
魔界・廃墟前
サタン「時間が経つのは早いですね」
チュール「ケケケケ」
サタン「この家も取り壊しです」
チュール「ケケケケ」
サタン「これから新しい建物の設計図を書こうと思っています」
チュール「あの2人にですか?」
サタン「それはどうかな…」
噂をしていると、2人が通りがかる。
グザノヴァ「最近、俺らの小さい頃に飛んでるじゃん」
ゾマ=リフィ「小さい頃、楽しかったね」
グザノヴァ「そうだね、良かったなあの頃」
ゾマ=リフィ「分かる、まあ私はゾマ=リフィになったわけだけど」
グザノヴァ「何か問題あった?」
ゾマ=リフィ「うーん。ある。大いにある」
グザノヴァ「例えば?」
ゾマ=リフィ「もっと子どもらしいことをしたかったとか」
グザノヴァ「そっかあ」
ゾマ=リフィ「あとは、やっぱり…後悔しかないなあ」
グザノヴァ「そうなんだ、俺は隣にいれて嬉しいよ」
ゾマ=リフィ「結局、私は使われてた」
グザノヴァ「女だし、しょうがない」
ゾマ=リフィ「もっと良い人がいいって思った結果なんだと思う」
グザノヴァ「運命に逆らって生きようぜ」
ゾマ=リフィ「死んでるよ!!!」
ゾマ=リフィの歩いてきたところだけに足跡が残っている。
チュールが見つけ、一瞬で消す。
サタン「(ゾマ=リフィを見ながら)可愛い子…」
サタン、呟いて見る。
グザノヴァ、何かを考えながらサタンを見ている。
