ボクは長い間、知的障害者施設で支援員をしていました。
利用者の中には発達障害を抱えている方も多くおり、ボクが勤務していた当時は「自閉症」や「自閉的傾向」という言葉が使われていました。
ボク自身も自閉症や自閉的傾向の人と同様に「こだわり」が強く、そんな仕事の特性上、自分も「アスペルガー症候群」なんだろうなぁ…と、ふんわり思っていました。
かつての「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などの用語は現在、「自閉症スペクトラム症(ASD)」という名称に統合されています。
そんなボクが自分の発達障害を強く意識し始めたのが2015年ごろです。
発達障害と思われる特性により徐々に仕事に支障をきたすようになり、最終的には退職することになってしまいました。
その結果、精神的に不安定になり、精神科を受診したりしたのですが、このような状況に陥った根本に「発達障害」が絡んでいるのではないか…と考えたのです。
そこから長い長いボクの「発達障害の診断をもらうための闘い」が始まりました。
自分の苦しみの原因は何なのか、発達障害が原因ではないのか…その一心でいくつもの病院を受診し、心理検査も何度も受けましたが、なかなか思うような結果は出ませんでした。
「発達障害っぽい傾向」「発達障害に近い要素」はあるけれども、「あなたは発達障害です」と断定できるほどの決定的なものがなかった、いわゆる「グレーゾーン」だったのです。
発達障害のグレーゾーンとは、ASD(自閉症スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などの特性がみられるものの、診断基準を満たさず「障害」と確定診断されない状態です。
しかし、曖昧なことが苦手なASDの特性もあり、ボクははっきりとした「ASD」という診断を求めていたのです。
最終的にボクが発達障害(ASDおよびADHD)の診断をもらったのは2023年11月のことでした。
自分が発達障害かも…と思い始めてから、診断をもらうまでに9年近くの歳月を要しました。
振り返ってみると、幼少期から「生きづらさ」がありましたし、もし発達障害の診断があって必要な支援を受けられていたら、もっと生きやすい人生だったろうな…と思います。
ただ、ボクが幼いころは「発達障害」という概念がアメリカから入ってきたばかりで、日本ではまだ深く浸透していませんでした。
今ボクが思うのは、発達障害を抱えている人はもちろん、生きづらさを抱えているけれどその原因がわからずにいるグレーゾーンの人も含めた方たちのために、自分の経験を活かして何かできないか、そしてさまざまな障害を抱える方が少しでも生きやすい世の中になってほしい…ということです。
