自由の限界

日本国憲法第三章 国民の権利及び義務の第九条及び第二十一条には以下のように書いてある。
・第九条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」
・第二十一条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」
つまり、国民が何を考えどのように行動したとしてもそれを保障するということだ。
この二つにおいてよく問題にされることが第二十一条、所謂「表現の自由」である。
度々問題にされる理由はどこまでを許容するのかという話であり「公共の福祉」という視点も必要である。

まず公共の福祉とは何かを説明しなければいけないだろう。
公共の福祉とは「人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理」であり、公共の福祉は憲法の第十二条、第十三条、第二十二条、第二十九条に登場する。すべて個人の権利に関わることだが、表現の自由を考える上でもっとも重要なのは第十二条で条文は以下の通りである。
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」
注目してほしいところは「濫用してはならない」という部分であり、自由や権利を盾にしても何でもありになるわけではないということだ。

これに関連し最近話題になったことといえば、東京大学で開催された五月祭である。この行事は5月16日から17日の二日にかけて行われるものだったが16日の午後から中止になってしまった。理由は様々あると思うが五月祭常任委員会は爆破予告が来たためと公式サイトで公表している。X(旧Twitter)やYouTube上ではプラカードを掲げる者や座り込みを行う者の写真が拡散されていたが、ここで考えてほしいことがこれら抗議行動を表現の自由として認めていいのかということだ。今回の騒動の発端となったのが東京大学の保守系サークル「右合の衆」が参政党代表の神谷宗幣氏を講演に呼んだことであり、これに反対する者たちが現地に集まり抗議行動をとった。各々の思想については上に記した通り第九条で保障されているため自由だがその表現の仕方には一定の秩序と配慮、つまり公共の福祉が必要である。

こうした行動は突如として現れたわけではなく神谷宗幣氏の過去の街頭演説を見るとこうした行動がよく見られる。種類は様々あるが永田町で特に取り上げられたことが「日本国国章損壊罪」である。2025年7月の参議院選挙にて日本国旗にバツをつけて振る者が街頭演説の場に現れ、それが問題として国会に持ち込まれたことがこの議論の始まりである。参政党は法案を国会に提出し、自民党は現在議論中とのことだがその争点となっているのが表現の自由である。高市総理をはじめとした所謂”保守派”と呼ばれる人たちが進める一方、党内の所謂”リベラル”と呼ばれる人たちが表現の自由を理由に消極的になっているのが現状である。日本は外国国章損壊罪はあるが日本国国章損壊罪はないというのが現状であり、他国と比較すると異例であることがわかる。私は法律を作る議論に表現の自由を持ち込むとすべての行為が表現の自由の名のもとに肯定されてしまう恐れがあるため非常にナンセンスであると考える。

表現の自由に限らず個人の権利ばかりを主張する社会は健全とは言えないが、公共の福祉ばかりが主張される社会もまた不健全である。例を挙げると「公園でボール遊びをさせるな」や「うるさいから保育園(幼稚園)を作るな」などがある。その結果子供が外で遊べず自宅でスマホやゲームばかりで遊ぶようになってしまい健やかな成長ができなくなってしまうだろう。

個人の最適を求めた結果全体最悪になってしまってもいけないし、全体最高を追い求めた結果個人の権利が侵害されることもあってはならない。大事なのはどちらの方が重要かではなく、そのバランスにあると私は考える。

参照:衆議院 国会関係法規-日本国憲法
   関東弁護士会連合会「公共の福祉」:法教育
   第99回五月祭公式ウェブサイト
   参院選2025 参政党 ラスト街宣LIVE @東京 芝公園
   日本の国旗損壊罪の歪みと当該制度の国際比較

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みき

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