便利で最新流行の膨張剤
ベーキングパウダー。今は一般的なものですが、
昔は「最新科学の産物」だったようです。

ケーキの画像
筆者の家には、シャーロック・ホームズが生きていた時代の料理レシピの本があります。
アガサ・クリスティーが生きていた時代の料理レシピの本もあります。
それを読んでいて不思議に思ったのですが、ホームズが生きていた時代のレシピ本のお菓子には、ベーキングパウダーを使ったものが多く、アガサ・クリスティーが生きていた20世紀初頭のお菓子レシピには、イーストを使ったものが多いのです。
どちらかというと、ホームズの時代にはイースト菓子が多く、20世紀初頭からベーキングパウダーを使った菓子が多く作られているのではないかと考えていたので、少し驚きました。
膨張剤の歴史
そこで、菓子の膨張剤についての歴史的背景を調べてみると、
ベーキングパウダーは19世紀に発明され、特許が取得されたものという事がわかりました。当時の最新トレンドの膨張剤だった模様です。
それ以前は、イーストの炭酸ガスでケーキを膨らませるか、卵白や練ったバターに含まれた気泡の膨張によってケーキを膨らませる方法がとられていました。
しかし、ベーキングパウダーと違って、寝かせる時間が必要だったり、泡立てる手間がかかったりするものだったので、「粉を混ぜるだけで見栄え良くケーキが膨らむ」ベーキングパウダーは、ホームズのような下宿人の賄いをしているハドソン夫人のような人たちにとって、とても重宝なお品だったようです。
発明されたばかりの科学の産物という事もあり、ベーキングパウダーはスタイリッシュでトレンディなものととらえられていたようです。
時代によって変わる膨張剤の立ち位置
しかし、アガサ・クリスティーが生きていた時代には、ベーキングパウダーはすっかり一般的なものになっていて、日常に溶けこんでいました。
その時代の上流階級の女性たちの間では、「丁寧な暮らし」の象徴として、イースト発酵やメレンゲやバターでふくらませたお菓子を料理人に作らせて、一家団らんの時や、お客様のおもてなしに活躍していたという事のようです。
ちなみに、シャーロック・ホームズの「出身階級」は地方地主で、アガサ・クリスティーは同じレベルくらいの階級ですが、ビジネスマンの家庭だったそうです。
同じような家庭でも、時代によって食卓が変わる事もあるのかと、興味深く参考になった調べものでした。
ベーキングパウダーの歴史
