我はハムの子白黒の
一
我はハム。名前はマロニー。飼い主につけてもらった。
どこで生まれたかというと、岩手県。なんでも2024年の10月ごろに泣きながら生まれてきた。実は記憶していない。我は、毎日ぐうたらな人間を見ている。しかもあとで聞くと人間の中で天才の部類であり丁寧な暮らしをしているという体を守る種族であったそうだ。この天才というのは時々我を捕まえて餌を与えていくという話である。しかしその当時は何という考えもなかったから、やったーと思っていた。ただ彼女の手のひらに乗せられてふわふわしていただけである。手のひらに包まれて顔を覗き込まれたのが天才の見始めだろう。(ゆり子なんだけど…)この時の絶妙な違和感が今でも残っている。顔に毛はあり、我に似ている。その後魚にもだいぶ逢ったがこんな奴なかなかいない。のみならず顔の真ん中どころか体の真ん中が突起している。そうして時々フンッと鼻で笑う。どうもむせかえる匂いもして実に弱った。これが人間の飲む見栄のかたまりというものである事はようやくこの頃知った。
この天才の掌の上でしばらくはいい気持ちでうんこをしておったが、しばらくすると郵便屋さんが来て天才は玄関へ向かった。天才が食べているのか、我が食べているのか分からないがやたら目が回る。貧血なのか腹が苦しくなる。もう食べられないと思っていると、どさりと音がして餌が置かれた。それまでは記憶しているがあとは何のことやら考えられず分からない。
ふと気が付いてみると天才はいない。沢山あったポテチが1枚も見えぬ。肝心のカフェラテさえ姿を消してしまった。そのうえ今までのところとは違って無駄に明るい。家に入ってしまうくらいだ。はてななんでも様子がおかしいと、のそのそ這い出して見ると非常に痛々しい。我はそっと回し車の上に乗るのである。
ようやくの思いで回し車を降りると向こうに大きな天才がいる。我は餌の前に座ってどうしたら全部食べられるだろうと考えてみた。別に何にも思い浮かばない。しばらくして鳴いてみたら天才がまたこっちを見てくれるかと考えついた。面倒になって水飲み場を噛んでみたが誰も来ない。そのうちカーテンがさらさらと揺れエアコンの風が吹き日が暮れかかる。腹が非常に減ってきた。鳴きたくても声が出ない。我はハムだから仕方がない、何でもいいから食い物をくれと言いたいところだがいつでも食い物はある。餌の周りを左に回り始めた。どうも小回りが非常に苦しい。
続
