北方領土(ほっぽうりょうど)とは、北海道の北東沖に位置する択捉島(えとろふとう)、国後島(くなしりとう)、色丹島(しこたんとう)、歯舞群島(はぼまいぐんとう)の北方四島を指します。日本固有の領土ですが、1945年の第二次世界大戦末期にソ連(現ロシア)に占領されて以降、現在もロシアによる実効支配が続いています

歴史
第二次世界大戦終結時の1945年8月当時、北方領土には1万7,291人の日本人が生活を営み、漁業や水産加工業、畜産業などで生計を立てていました。しかし終戦直後のソ連軍侵攻・占領により家や財産を残したまま抑留され、1947年から1949年にかけて全員が日本本土へ強制的に引き揚げさせられました。
現状
現在、ロシアの実効支配下にある北方領土には、優遇政策等により移住した約1万8,400人が暮らしています。住民はロシア人のほかウクライナ人など多様な民族で構成され、豊富な水産資源を生かした漁業や水産加工業、建設業、公務員(医師・教員など)に従事しています。
島ごとの状況を見ると、国後島と択捉島にはそれぞれ数千人が居住し、学校や病院などのインフラ開発が進んでいます。色丹島には約3,000人が暮らす一方、歯舞群島に一般の民間人はおらず、ロシアの国境警備隊のみが駐留しています。
教育
ロシアの学校教育では、北方領土(ロシア名:南クリール諸島)を「第二次世界大戦の結果、ソ連軍が血を流して合法的かつ正当に獲得したロシアの領土」と教えています。教科書には日本の降伏文書調印の写真を掲載するなどし、大戦によって国境が確定したことを強調しています。
一方で、1855年の日露通好条約による平和的な国境画定や、戦前まで多くの日本人が暮らしていた歴史的経緯には触れません。日本の「日本固有の領土」という主張は「プロパガンダ」とされ、子供たちには日本が不当に要求しているという認識が植え付けられています。
近年は、ロシア政府が択捉島などの学校へ最新機材を導入するなど教育インフラの整備に注力し、愛国心教育を強化しています。このようにロシア国内では、領土問題の存在そのものを否定し、自国領であるという前提の教育が徹底されています。
最近
2026年8月20日、ロシア海軍の太平洋艦隊は、実効支配を続ける北方領土の周辺海域で敵艦船を想定したミサイル発射の軍事演習を実施しました。この演習では、択捉島沿岸の地対艦ミサイルシステム「バスチオン」や潜水艦などから巡航ミサイルが発射され、オホーツク海の標的に命中したとされています。
今回のミサイル発射は日本への直接的な攻撃ではありませんが、同年8月13日にロシアのプーチン大統領が択捉島を初めて訪問したことに対し、日本政府が強く抗議した直後に行われました。このため、ロシア側が軍事力を誇示して日本を強くけん制・威圧する狙いがあるとみられています。
日本政府は、ロシア側が事前に通告してきた演習計画に対し、外交ルートを通じて「到底受け入れられない」と強く抗議していましたが、ロシア側は演習を強行しました。ウクライナ情勢以降、北方領土の軍事拠点化を進めるロシアとの緊張がさらに高まっています。
最悪の結末
北方領土問題を巡る「最悪の事態」とは、日本とロシアの間で軍事衝突が勃発し、日本の安全保障や国民生活が崩壊することです。
具体的には、周辺海域での偶発的な衝突から本格的な戦争へ発展し、北方領土に配備されたロシアの長距離ミサイルによる北海道攻撃や、本土への上陸侵攻が行われるシナリオが懸念されます。さらにロシアは極東地域に核弾頭搭載可能な兵器を配備しており、衝突の深刻化に伴い核兵器による威嚇や使用に踏み切るリスクも排除できません。
最も致命的なのは、ロシアが緊密な関係にある中国や北朝鮮と連動するケースです。東シナ海や日本海、オホーツク海で同時に軍事行動が起きれば、日本は複数方面からの同時脅威に晒され、防衛能力を超える国家存亡の危機(二正面作戦以上の状況)を迎えます。
また、周辺海域が戦闘地帯化すれば重要な貿易ルートや漁場が閉ざされ、食料やエネルギーの輸入がストップするなど、経済や生活の完全な破綻を招きます。
まとめ
かつて1万7,000人以上の日本人が暮らしながらも、終戦直後にソ連によって強制退去させられた北方領土。現在もロシアによる実効支配が続き、現地ではロシア国籍の住民約1万8,400人が暮らしています。ロシアの学校教育では「大戦の結果、合法的に獲得した領土」と徹底して教えられており、日本側の主張との溝は深まるばかりです。
さらに近年、この地域は単なる「外交問題」から「軍事の最前線」へと変貌を遂げています。プーチン大統領の択捉島訪問や、それに続くミサイル発射演習など、ロシア側は軍事的な威圧を強めています。万が一、この地を発端とした軍事衝突が起き、さらに中国や北朝鮮と連動するような「最悪の事態」に発展すれば、それは日本の国家存亡の危機へと直結しかねません。
私たちの固有の領土を守り、そして北東アジアの平和を維持するために、日本はどのようにロシアと向き合い、防衛力を高めていくべきなのか。歴史の重みを知ると同時に、いま目の前にあるリアルな国防の危機として、私たちはこの問題に目を向け続ける必要があります。
