餃子のはなし上

あなたが初めて習得した「おふくろの味」とはなんでしょうか。味噌汁、カレー、肉じゃが、などあげられるでしょう。私もそういったオーソドックスなものにチャレンジし、習得してきたものです。その中で初習得という栄えある名誉に輝いた一品はーーー餃子

そう、餃子です。

なぜ簡単なカレーなどではなく餃子なのか。好物だったので進んで他の料理よりも手伝いや調理の回数が多かったからです。「好きこそものの上手なれ」このことわざの通りです。

わたしの胃袋をがっつりつかんで離さない餃子は以下の材料で作ることができます。

(餃子の皮90枚)

・豚ひき肉300グラム

ニラ 一束 みじん切り

・ショウガ、ニンニク 適量

・玉ねぎ 1個 みじん切り

味噌 味噌汁4人前よりやや多め コクを出す

・コショウ、ごま油少々

これらを混ぜ、包み、あとは煮るなり焼くなりします。

こちらのレシピは少々古い歴史がありまして、事の起こりは中華料理の本場、中国。かつて存在した満州という国に、ある夫婦が仕事をもとめて日本からはるばるやってきました。そこで奥さんが現地の仕事先の人か、近所の人に餃子のレシピを教わりました。終戦と共に帰国する際にそのレシピを持って帰ってきたという話が残っています。(筆者の曾祖母のはなしです)よほど日本人好みの味だったのか、海と人種と世代を超えて、ちゃっかり令和の我が家の食卓でも愛され続けています。そして、なんでもない日のごちそうとして、我が家の白米とビールを一気に消滅させています。

まあ、一口に餃子と言いましても日本中で古くから愛されておりますから、その分種類、テリトリーはたくさんあります。宇都宮から始まり浜松が日本一を名乗るようになり、全国の中華料理屋、ラーメン屋、居酒屋。果てはギョーザ専門店なんかも出てきて語りつくせません。また、コロナ渦のご時世で冷凍食品の需要の高まりにより、人気チェーン店の冷凍餃子が登場したりもしています。他にも全国で餃子イベントが日本各地で開催され、東京オリンピックで味の素さんが選手向けの餃子を制作し提供するなど、世はまさに餃子が群雄割拠する時代になっています。

書いていて、「なんで日本人ってこんなに餃子に執着しているのだろう」と、不思議に思うほどです。

お店のものも、冷凍餃子もどれも美味しく甲乙つけがたいものです。しかしどうしてだか、私はどれを食べても「何かが足りない」と思わざるを得ません。いつもいつも、

「コクと肉のうまみがたりない」

そう、どこのお店にもどの冷凍餃子にもなじみの「ニラ」と「味噌」が入っていないのです。豚肉にアクセントを加える、あの独特の青臭さを醸し出す「ニラ」。それが入っていなかったり、あってもほんのひとつまみにも満たないのです。代わりに入っているのが「キャベツ」。キャベツはいけません。中華料理にヨーロッパ原産の野菜を入れるなんて理解に苦しみます。正直に言って、餃子とこの野菜は相性が悪いです。熱せられることで生じるキャベツの水分は、肉のうまみを薄れさせ水っぽくさせてしまいます。さらに肉汁をお皿にこぼして残さずうまみを堪能するのを邪魔します。それにしてもなぜ冒涜的なことが許されているのか、真偽はともかくなんでも教えてくれるウィキペディアさんに聞いてみましたがこれといった答えは見つかりませんでした。

ですがちょっと面白い記述があったので引用しておきます。

日本の餃子は薄目の皮を使い、挽肉キャベツニンニクニラを入れるのがポピュラーである。中国の東北部を除く西の餃子ではキャベツではなく白菜を使い、ニンニクを入れることはない、という点で異なっている。中国東北部(満州)では豚が育ちにくく羊肉が主だが、日本に餃子が伝わった当時は満州の製法で豚肉ではなく羊肉を使用していた(羊肉の臭みを取る為にニンニクを用いたとの説もある)。豚肉がメインで使用されるようになってからも、風味の良いニンニクが餃子とも相性がよく好まれたため、今日も多く使用され続けている。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%83%E5%AD%90

さらに深刻な欠点が数多存在する餃子にあります。

味噌」が入っていないのです。豚肉のうまみを最大限に引き出し、料理にコクを与える味噌がどの餃子にも入っていないのです。トッピングとして味噌ベースのソースをかけている専門店はありますが、餡に味噌を入れている餃子は我が家の餃子以外に現在確認出来ていません。ちなみにウィキペディアもくまなく探してみましたが、どうやら本場中国でも味噌を入れるレシピが存在しないようです。一体どういうことなのでしょうか。伝えられる途中でレシピが日本人好みにアレンジされたのでしょうか、ネット検索にも引っかからない地域の独自のレシピを教えられたのか謎が深まります。

ここまで読みまして、「そこまで文句をいうなら自分で作ってみたらどうなんだ。」という方もいらっしゃると思います。めちゃめちゃ作っていますので写真付きでまた長々とお伝えできればと思います。

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まんぼ

着物を着てどこかに行ったり、何か書いたり、喫茶店に行くのが趣味です。 ハムスターと暮らしています。 エッセイなどを投稿していきたいです。

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