今回は、ブラジルのサンパウロ州とリオ・デ・ジャネイロ州の北東に隣接する州、ミナス・ジェライス州のミナス音楽をご紹介します。
ブラジルというと、サンバやボサノヴァが有名ですが、それとはまた趣の異なった音楽で、教会音楽の影響がみられたり、今風にいえば「エモい」と表現できるような抒情性がある音楽です。
では、ミナス音楽とはどういったものなのでしょうか?
ここで、概要をご紹介したいと思います。
【ミナス音楽とは?】
1970年代初頭、ミルトン・ナシメントがクルビ・ダ・エスキーナ(街角クラブ)と呼ばれる音楽コミュニティーを作りました。ミナスの音楽家やミナス音楽に共鳴した他地域の音楽家が集まるコミュニティでした。
1972年、ロー・ボルジェス、トニーニョ・オルタ、ミルトン・ナシメントでその名も「Club Da Esquina」というアルバムを発表し、高く評価されました。
1974年 ウェイン・ショーターのアルバム「ネイティヴ・ダンサー」にミルトンがゲスト参加。その後も、 ジョージ・デューク、サラ・ボーン、ポール・サイモンと共演し、世界的に評価されていきます。
1998年 ミルトンが「NASCIMENTO」でグラミーのワールドミュージック賞受賞しました。
また、ミルトンの成功から同じミナスのトニーニョ・オルタも注目を集め、アメリカでも活動していました。
パット・メセニーはトニーニョ・オルタの影響を受けており、1980年「トニーニョ・オルタ」というアルバムで実際に共演しています。
その後、ミナス音楽はさらに発展し、2000年代初頭 になると、「へシクロ・ジェラル(Reciclo Geral)」というミナス第一新世代が生まれます。構成メン バーは、マケリー・カ(Makely Ka) 、クリストフ・シルヴァ(Kristoff Silva)、パブロ・カストロ( Pabro・Castro)、レオポルヂーナ(Leopoldina)、セルジオ・ペレレ(Sergio Perere)などです。
そして2000年代後半 ミナスジェライス連邦大学の音楽部(UDMF)の出身者を中心に第二新世代が 生まれました。その世代の構成メンバーがアンシャンドリ・アンドレス(Alexandre Andres)、アントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)、ハファエル・マルチニ(Rafael Martini)で、現在日本でも人気でよく聴かれています。
【まとめ】
筆者がミナス音楽に興味を持ったのは、もともと色々な国の音楽を聴くのが好きで、世界の多様な音楽を紹介している音楽情報誌「ラティーナ」のweb版を定期購読していて、そこで、アントニオ・ロウレイロのインタビューを読んだのがきっかけです。アントニオ・ロウレイロの抒情的な音楽をいっぺんで気に入り、一時期は毎日のように聴いていました。
アントニオ・ロウレイロは日本でも人気で、京都音楽博覧会に出演したりもしています。本国ブラジルの次に日本でよく聴かれているのだそうです。
もし興味を持って頂けたなら一度聴いてみてはいかがでしょうか?