今回はアルメニアの楽器のドゥドゥクという楽器をご紹介したいと思います。
ドゥドゥクとは?
アルメニアという国は、コーカサス山岳地帯にある国で、世界で始めてキリスト教を国教にした国で、ノアの方舟が漂着したとされるアララト山がある国でもあります。
ドゥドゥクは、日本の楽器、篳篥(ひちりき)に似た木管楽器で、杏の木が原料で作られた楽器でリードの部分はアシで出来たダブルリードの楽器です。
木管楽器はリードと呼ばれる木の薄い板を息で震わせて音を出すのですが、クラリネットやサックスはリードが一枚で、オーボエやファゴットは二枚の木の板を同時に震わせて音を出します。それがダブルリードです。ダブルリードの楽器の方がシングルリードの楽器より音を出すのが難しいと言われています。
ドゥドゥクは世界一悲しい音色を持った楽器、人間の歌声に一番近い音色、などと評されていて、アルメニア聖歌の演奏に用いられることもある楽器です。
『アルメニアンダンス』
ここでドゥドゥクの演奏を聴いてみましょう。
この曲はアルメニアの民謡などを引用して作曲されたアメリカ人作曲家アルフレッドリードの作品で、吹奏楽でよく演奏される曲なので、吹奏楽部だった人にはなじみのある曲です。
普段この曲はクラリネットやサックスなどのいわゆる吹奏楽部で用いられる楽器で演奏されていますが、こちらの動画ではアルメニアのドゥドゥクで演奏していて、独特なアルメニア音楽の雰囲気がより醸し出されているのではないでしょうか?
ドゥドゥク演奏の本格的なかたち
次に本格的なアルメニアのドゥドゥクの演奏をご紹介します。
通常二人で演奏されるものが多く、1人の奏者が鼻で息を吸いながら口では吐く「循環呼吸」という管楽器の奏法を用いて、呼吸による無音時間を排した「ドローン(通奏低音のようなもの)」を演奏し、もう一人の奏者がメロディや即興演奏を演奏します。
聴いてみましょう。
Armenian Meditation Music │ Armenian Duduk │ 3 Hour Secluded Monastery
すごく厳粛な雰囲気で、少し怖いような感じもしますが、動画のタイトルにMeditationとあるように、瞑想のための演奏なのかもしれません。
このようなアルメニアのドゥドゥクとその音楽は、2008年にUNESCOの無形文化遺産に登録された貴重なもののようです。
また、映画音楽では、「グラディエーター」、「ロシアハウス」などさまざまな映画でドゥドゥクの演奏が用いられていて、映画を見ているうちに知らず知らずのうちにドゥドゥクの演奏を聴いているということがあるようです。
【まとめ】
世界にはさまざまな民族楽器があり、今回はわたしがたまたま興味があったアルメニアの伝統楽器をご紹介しました。
遠く離れた、文化の違うアルメニアの楽器が日本の雅楽で使われる篳篥と造りが似ているというのがなんだか不思議でした。
今後もまた日本で一般的にはあまり知られていない楽器をご紹介できたらと思います。
お楽しみに!