今回は、エチオピアの音楽が日本の音楽に似ているというお話をしたいと思います。
・エチオピア音楽
まず最初にエチオピアの音楽を聴いてみましょう。
エチオピア正教会の音楽 at Menelik ii Memorial Church 1971
こちらはエチオピアの教会音楽ですが、なんだか日本の雅楽や祭りばやしと似ていませんか?
そしてこちらはエチオピアのポップスです。
Fikremariam Gebru – Gefa Gefa | ገፋ ገፋ – New Ethiopian Music 2018 (Official Video)
アレンジはリズミカルで少し違いますが、メロディーラインがまるで演歌です。
日本人観光客がエチオピアに行くと驚かされるのが、街中に流れるエチオピアの音楽が、まるで日本の民謡や演歌のようだ!ということなんだそうです。
・5音音階
では、どういうところが共通点なのでしょう。
私たちが普段耳に馴染みのある、JPOPやロックのほとんどは、西洋音楽の理論から12音の音階を使って作られています。
〈図1〉
図1のように1オクターブに音が12個あるわけです。
〈図2〉
ところが、エチオピア音楽と日本の音楽はヨナ抜き音階といって、図2の赤丸で示したように、白鍵7音のうちの4番目の「ファ」の音と、7番目の「シ」の音がない、5音で音階が出来ています。
もともと持っている音階が同じなので、自然と似てくるのでしょう。
日本だけではなく、中国や韓国といった東アジアの伝統音楽では、この5音音階を使っています。
もともと日本で5音音階が使われているのは中国からの影響で、中国古代の学説に五行説(万物は木・火・土・金・水の5つの元素から成り立つ)という考え方があり、5という数を大事にしていたということで、音楽にもその考え方が反映されているのだそうです。
・遠く離れたエチオピアがなぜ5音音階なの?
話は少し飛びますが、西洋のグレゴリオ聖歌とインド音楽は音楽の基本の仕組みがとても似ているのだそうです。西洋の古楽を演奏するなら、クラシックを勉強するよりインド音楽を学んだほうが近道だと言う人もいるくらいです。西洋とインドは遠く離れていますが、インド・ヨーロッパ語族というように、もともとヨーロッパ人とインド人の祖先は一緒だったということで、音楽の仕組みが似ていても不思議ではありません。
ところが調べても、エチオピアと日本には共通の民族的なつながりはないようで、地理的にも遠く古代に影響を与えあったとも考えづらいです。
おそらくエチオピア音楽と日本の音楽が似ているのは、「たまたま遠い地で同じようなことを思いついた人たちがいた」ということではないでしょうか?
そう考えると、なんだかエチオピアの人たち親近感を感じます。
最後に、メロディーラインだけでなくこぶしまで演歌のようなエチオピアの音楽がありましたので、そちらを聴いていただいて今回は終わりにしたいと思います。