今回は、カーヌーンという楽器をご紹介します。
カーヌーンは、アラブの古典音楽で使われる調弦楽器です。
日本の琴のように爪弾いて演奏します。
・アラブ音楽と微分音
アラブ音楽の特徴は微分音(マイクロトーナル)です。
西洋音楽の音律は12音の平均律ですが、アラブ音楽はなんと53音もあります。
西洋音楽では半音ずつ音が高低するのですが、アラブ音楽ではさらに細かく4分の1音や8分の1音に分けられています。四分音といったりクォーターフラットといったりします。
現在ではアラブ音楽も53律では細かすぎるため24律が使われることが多いようです。
文章で説明してもなかなか分かりづらいと思いますので、わかりやすい微分音のドレミの歌の動画がありましたので、聴いてみてください。
西洋音楽の12音の音に慣れている私たちからすると、ちょっと気持ち悪いような音痴のような感じに聴こえるかもしれません。
しかし、アラブ音楽では大昔からこの微分音を用いた音楽が作られていて、自然に美しく表現する知恵があるため、微分音なのにとても聴きやすいです。
ここで、アラビア琴カーヌーンの日本人奏者、増田真吾さんの演奏を聴いてみましょう。
先ほどのドレミの歌に比べて聴きやすいだけではなく、むしろカッコいい魅力のある音楽だと思います。
・カーヌーンの仕組み
カーヌーンの弦は1音につき3本の弦を爪弾いて音を出します。日本の琴の演奏の時と同じように爪をつけて演奏します。
ピアノやチェンバロの中の弦と同じ仕組みで、カーヌーンがヨーロッパに渡って進化して作られたのがピアノやチェンバロであるということです。
写真で見るとわかるのですが、向かって右側に沢山レバーのようなものが付いていて、弦の長さを調節し、半音や微分音を鳴らす仕組みになっています。
レバーを操作しながら弦を爪弾く手捌きもカーヌーン演奏を見る上での見どころだと思います。
・まとめ
最近はジャズの世界でも微分音が注目されていて、アラブ音楽やアラブ楽器を微分音を学ぶために演奏してみる人もいるようです。
グラミー賞を取ったアメリカのシンガーソングライターのベッカ・スティーヴンスはアラブ楽器、カーヌーンとウードとクラリネットという編成のバンド、The Secret Trio とも共演しています。
最後に、カーヌーンの音の魅力が堪能できる、ベッカ・スティーヴンス&ザ・シークレットトリオの演奏を聴いていただいて、今回は終わりにしたいと思います。