今回は、パンパイプをご紹介します。
・パンパイプって?
パンパイプはまたの名をパンフルートと呼ばれていて、ギリシャ神話の牧神パーンが吹いたということからその名がついた楽器です。
木簡楽器の一種で、一端が閉じられた長さ・太さの異なる数本の管を、端をそろえて長さの順に束ねて作られた縦笛です。
エアリードで、口を「う」の形にして吹くと音が鳴ります。
・世界各国に存在する
パンパイプと同じ仕組みの楽器は世界各国にあり、その国によって呼ばれ方が変わっています。
古代ギリシャの時代から存在していたそうで、その後のヨーロッパの国々では忘れ去られていたようです。しかし、ルーマニアでは「ナイ」という名前で民族楽器として親しまれていました。20世紀にはルーマニア国立音楽大学で正課として取り入れられることで、名演奏家が誕生した歴史もあるようです。
また、南米アンデスに伝わっているものは「サンポーニャ」と呼ばれ、フォルクローレと呼ばれるアンデスの民族音楽で現在でも盛んに演奏されているようです。
サンポーニャの他のパンパイプと異なった特徴としては、元々は2人が1組になって、一方がドミソ…と束ねた楽器、他方がレファラ…と束ねた楽器を持ち、各人が自分の担当する音階を交互に吹鳴させて、あたかも一つの楽器で一曲を奏でているかのように旋律を織り成すという「コンテスタード」という奏法で演奏されていたということがあげられます。
そして、中国にもシルクロードを通って伝わり、奈良時代に日本に伝来し、排簫(はいしょう)と呼ばれていました。正倉院宝物墨絵弾弓に描かれた散楽図には排簫を演奏する楽人が描かれていましたが、近年になって正倉院に残されていた残骸を参考に復元されるまで、雅楽の世界からはいつしか姿を消していたということで、あまり知られていません。
ラオスやタイには、円筒状のパンパイプがあり、「Wot」と呼ばれてイーサーン地方の民族音楽に使われています。
・パンパイプの演奏
ここで、ルーマニアのナイの演奏と、南米アンデスのサンポーニャの演奏を聞き比べてみましょう。
Leo Rojas – Der einsame Hirte (Videoclip)
名前は違えど、音色がそっくりですよね。
いろんな国で演奏されている楽器なだけあって、澄んだ純粋な音色だと思いました。
皆さんはどう感じましたか?
・まとめ
日本にはシルクロードを通って伝わったようですが、南米アンデスのサンポーニャは、インカ帝国時代のお墓から出土しているようで、15世紀にスペインが統治する前から存在しており、ヨーロッパから伝わったのではなく同じような楽器が違う文明でも開発されていたようです。
前に別の記事でもお話しましたが、遠く離れた地域に同じような文化が存在するのってなんだか不思議でロマンを感じてしまいました。