今回は、ジャマイカの音楽についてご紹介したいと思います。
ジャマイカ音楽を聴くうえでまず捉えておきたいのが、ナイヤビンギです。
・ナイヤビンギって?
ラスタファリズムという宗教的思想運動の集会の事をナイヤビンギと言います。その集会は、ガンジャを吸う、太鼓を叩いて歌う、話し合うというスタイルで行われていました。その集会で歌われた音楽はナイヤビンギ音楽またはそのままナイヤビンギといいます。
ケテ・ドラムという複数の太鼓によるアンサンブルにチャントと呼ばれる讃美歌が乗せられたもので、ケナ・ドラムには低音部を担当するベース、中音部を担当するフンデ、高音部を担当するリピーターがあります。
ここで、ナイヤビンギ聴いてみて下さい。
Camp Fire NYAHBINGHI CHANT | Roots Reggae 24th Fes. | 2018-07-21 20:18
・ラスタファリ運動
アフリカから強制的に連れ去られ奴隷としての生活を余儀なくされた黒人たちのアフリカ回帰運動の事をラスタファリ運動といいます。
聖書にある「エジプトから王が到来し、エチオピアは、神に向かって手を差し伸べる」など、黒人と聖書の結びつきを18世紀の黒人説教師たちは訴えました。
19世紀に欧米では、聖書から有色人種を排除する目的で、聖書の登場人物の人種を証明する運動が科学者の間で起こりましたが、研究の過程で古代エジプト人と古代エチオピア人が黒人で、同一の人種であったという説が浮上しました。その説はエチオピアニズムといって、黒人の祖先が人類文明の起源を作ったという考えられ、世界中の黒人の尊厳に影響を与えました。
・ジャマイカの音楽の歴史
まず、ジャマイカ民謡のメント、メントにジャズやR&Bの要素をいれたスカ、スカをゆっくりにしたロックステディと進んでいき、ロックステディの特徴であるR&Bの影響での1拍目と3泊目にあったアクセントをアメリカ音楽の要素を排する目的で3拍目だけに強調したアクセントを置く、ルーツレゲエが誕生します。ボブマーリーに代表されるルーツレゲエは、 ナイヤビンギで歌われたラスタファリ思想が歌われていて、曲調もアフリカ的です。
ここで、ボブマーリーの名曲をお聞きください。
Bob Marley – Get Up, Stand Up (Live at Munich, 1980)
・ジャマイカ音楽のサウンドシステム文化がその後に与えた影響
ジャマイカ音楽の特徴として見逃せないのが、ラスタファリ思想や演奏のスタイルの他に巨大なスピーカーを積み上げた移動式の音響施設「サウンドシステム」です。
そのサウンドシステムが置かれた場所で発展した音楽がダブです。ヒップホップやジャングルなどの音楽ジャンルやリミックスなどの音楽技法に影響を与えました。
ここでダブの有名なミュージシャン、キングタビーの曲をお聞きください。
・まとめ
ルーツレゲエは時代とともに衰退し、その後のレゲエで歌われる内容は、下ネタや恋愛の歌などポップなものになり、よりサウンド重視になったダンスホールレゲエが主流になっていきました。
思想を含むジャマイカの音楽表現が世界に与えた影響は凄まじく、その先進性や独自性に感服せざるを得ません。
(参考資料:【分野別音楽史】#10 ジャマイカ音楽とレゲエの歴史 https://note.com/junjunjunpiano/n/nd505807afab3)