コラム 大人の英語学習における語彙力の重要性

年齢を重ねてから英語の勉強に興味を持つ人は多いのですが、力の入れ所を見誤り、上達を感じられないまま学習を終えてしまう人も少なくありません。そのような結果を避けるためにも、これから英語学習をはじめようとする人で、特に大人の学習者の場合には事前に確認してもらいたいことがあります。

先ずは、今の自分が何を苦手としているのか、何が原因で英語ができないのかを最初に把握しましょう。基礎が固まっていないのであれば、中学の教科書や参考書からはじめることも大切です。むしろ土台が不安定なまま中上級レベルの学習を進めていくのは危険です。大人の場合は特に急がば回れの精神を大切にしましょう。

たまに分厚い英文法書を片手に勉強を始める人もいますが、ほとんどの人が中学から高校までの勉強で文法の基礎は出来ているはずです。今のあなたが英検準2級の英文が簡単に感じられるのであれば、高校までの基礎文法は備わっています。その上で英検2級の英文が難しく感じられて、読むのを躊躇ってしまうのであれば単なる語彙力不足です。この段階で立ち止まっている人は高所トレーニングとして”自分にとってやや難しく感じられるが、頑張れば読めるレベル”の英文(例えば英検2級のリーディング)に取り組みながら少しずつ語彙力をつけて行くと良いでしょう。

英語を話す際に適切な単語を使うことができなければコミュニケーションは成り立たないので、英会話の習得を目指している社会人にとっても語彙力増強は最優先事項となります。その際、単語の使い方を知らなければ発信できないので、出来れば例文の中で「型」として覚えておくことも大切です。「英作文は英借文である」と言われる所以がここにあります。我々は英語ネイティブではありませんので、自然な英語を自ら思い付き発信することは不可能です。既に一般化している表現を丸ごとインプットして必要に応じてアウトプットする以外の方法はないのです。

例えば、昇進出来て感激している、とても興奮していることを伝えたいときに、

I’m thrilled to get promoted!

I feel ecstatic about the promotion!

どちらの表現を使うこともできますが、単純にthrilleやecstaticという単語だけを知っていたとしても英文の中でどう使えば良いのか、瞬時に判断することは難しいはずです。

apprehensive(懸念する、恐れる)を単語一覧で暗記するだけよりも、

She seemed apprehensive about the upcoming exam.

(彼女は来る試験を不安に思っているようだ)

と例文と共に確認した方が学習効率が良いことは言うまでもありません。

このことは 読解力の向上においても同様です。十分な語彙力、例えばネイティブの中学生レベルにあたる2万語を例文と共に認識語彙として習得しておけば、未知の単語に出会ったとしても文脈から推測することができます。

The novel was replete with vivid descriptions of the countryside.

(その小説は、田舎の生き生きとした描写で満ちていた)

replete with ~に満ちた、~を十分備えた

The professor’s discourse was so abstruse that few students could follow.

(その教授の講義は非常に難解で、ほとんどの学生が理解できなかった)

discourse 公演、論文

abstruse 難解な

so~that… ~すぎて…

I’m proficient in using various programming languages.

(様々なプログラミング言語を使いこなせます)

be proficient in  ~に堪能な、熟達した

She was articulate in presenting her ideas during the meeting.

(彼女は会議中に自分の考えを明確に述べることができた。)

articulate 理路整然と述べる、はっきり述べる

こんな感じで単語を知っているかどうかでちょっと難しそうな英文も読み取れるわけです。最後の例文であれば、articulateはここでは形容詞として使われているな、と見て取れるかなど、最低限の文法知識も問われます。

以下に英会話や日常の英文読解で最低限必要となる文法事項をまとめておきます。

動詞の時制 (Verb Tenses)

現在時制 (Present Simple): 日常の習慣や普遍的事実を表す。

I play tennis every Sunday. (私は毎週日曜日にテニスをします。)

過去時制 (Past Simple): 過去の出来事や状況を表す。

She visited Paris last summer. (彼女は去年の夏にパリを訪れました。)

未来時制 (Future Simple): 将来の出来事や計画を表す。

We will meet at 6 PM tomorrow. (私たちは明日午後6時に会います。)

助動詞 (Modal Verbs)

can, could, may, might, must, shall, should, will, wouldなどの助動詞は、許可、可能性、義務、意思などを表す。

You must wear a seatbelt in the car. (車の中ではシートベルトを着用しなければなりません。)

She can speak three languages fluently. (彼女は3か国語を流暢に話せます。)

名詞 (Nouns)

単数形と複数形: 単数形と複数形の使い分け。

This book is interesting. (この本は面白い。)

These books are interesting. (これらの本は面白い。)

形容詞 (Adjectives)

形容詞の比較級と最上級: 比較や最上級を表す形容詞の変化。

She is taller than her sister. (彼女は妹より背が高いです。)

This is the cheapest option. (これが最も安い選択肢です。)

副詞 (Adverbs)

副詞は動詞、形容詞、他の副詞を修飾する。

He runs very fast. (彼はとても速く走ります。)

*very→fast

前置詞 (Prepositions)

前置詞は位置や関係を示す。

The cat is on the table. (猫はテーブルの上にいます。)

She lives in New York. (彼女はニューヨークに住んでいます。)

関係詞 (Relative Clauses)

関係代名詞 (who, which, that) を使って情報を修飾する。

The book that I bought is very interesting. (私が買った本はとても面白いです。)

間接話法と直接話法 (Direct and Indirect Speech):

人々の発言や考えを伝える方法。

直接話法

 He said, “I am going to the market.”

間接話法

 He said that he was going to the market.

あなたが大学受験を目指すのでもなければ、実用的な英会話で必須の文法事項はこのぐらいです。問題はやはり語彙力です。熟語や句動詞なども使いこなせると実用面でも苦労しなくなります。これはもうスポーツに近いものがありますので、日々のトレーニングで瞬発力を鍛えて行く他ありません。

引き続きこのブログでは語彙力の強化を目指していきます。

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青山曜

過去には経済やお金に関するコラムを中心に書いていました。現在は英語学習系の記事やコラムを執筆中です。一緒に楽しく勉強して行きましょう!

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