「アルテミス計画」とは、「アポロ計画」以来、約半世紀ぶりに人類を月面に送り込み、月での持続的な人類活動の構築を目指すものです。月の周回軌道には有人の中継宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設します。これはアメリカ航空宇宙局(NASA)が主導するもので欧州、日本、カナダ、韓国、UAEなど34ヵ国が国際パートナーとなっています。
月に行く目的の一つは、月の南極付近に氷の状態で豊富に存在すると見込まれている水資源や重要鉱物の開発です。例えば、核融合を起こす「ヘリウム3」が豊富にあると見られ、その量は地球上で使用する現在のエネルギー資源の数千年分に相当するとの見方もあります。さらに女性や国際パートナー国の宇宙飛行士に活躍の機会を与えたり、将来の火星到達の足掛かりとする等の目的があります。
現在の計画としては、2026年9月に最初の女性を月面に着陸させ、2029年に月面探査車による月面活動を行うことになっています。
日本の最大の技術協力としては、日本の自動車メーカーと協力して開発した、有人与圧ローバー(愛称:ルナクルーザー)の提供を予定しています。このローバーの中では、飛行士が宇宙服を着ずに寝泊まりしながら月面を走り回ることが出来ます。このローバーの提供などの技術協力が功を奏したのか、2024年4月の日米首脳会談において、日本人宇宙飛行士2人が月面着陸を果たすことが決定されました。
現在は米国一国で宇宙開発を行う時代ではなく、国際的な協力のもと宇宙開発を進めていく時代になっています。しかし、中国、ロシアなど米国と相容れない国は独自に宇宙開発を進めており、ここでも政治的な摩擦が表れています。