人間は誰でも新しいことに挑戦すると必ず失敗します。
そこで、「失敗学」というのがあります。同じ失敗を繰り返さないためにはどうすればよいか、そして、その知識を社会に広めるにはどうするかを考える学問です。
失敗には「良い失敗」と「悪い失敗」があります。「良い失敗」とは、これまで誰も経験したことがない、人類が新たな知見を得る際に、付随して発生する失敗のことです。「悪い失敗」とは、過去に発生した事故を再現したような失敗のことです。
失敗の原因分析としては「誰が悪かったか」ではなく「なぜこうなったか」を考えることが重要です。
失敗学の具体的な例として1985年8月12日の御巣鷹山の日航ジャンボ機の墜落を挙げたいと思います。これは日本航空機が群馬県上野村御巣鷹山に衝突し、乗員乗客524名のうち520名が死亡した世界最大規模の航空機事故です。
事故の直接的原因は、機体後部圧力隔壁の破壊であり、事故の経過として7年前に尻餅事故の際の圧力隔壁の修理ミスがあったことなどが調査され、対策、知識化、背景、後日談、よもやま話が失敗学会の失敗知識データベースの「失敗百選一覧」に詳細にまとめられています。
工学的要素ばかりではなく、人間的な側面、人間の組織の問題なども含めて総合的に分析し問題の再発を防止します。
失敗から学習し2度と同じ失敗をしないようにする、ということは誰しもが考えることで「失敗学」という学問がもっと一般的になってもいいのではないか、と思いました。