自然環境を利用した時計
人類最古の時計は日時計です。紀元前5000年頃です。最初は地面にまっすぐ立てた棒、やがて石の柱を使って太陽光が地面に落とす影の位置や長さで時刻を知りました。
次に太陽が出ていないときにも使える時計として水時計が作られました。容器から一定の速さで水が流れ出すように工夫し水面の高さで時間がわかります。紀元前1400年頃です。
6世紀頃、燃焼時計が作られました。ローソク時計、ランプ時計等があり、一部には照明を兼ねる利便性がありました。
14世紀頃には砂時計が活用されました。砂時計は揺れや温度変化に強いため、何世紀もの間船の上で時間を計る手段として使われました。20秒に1秒の誤差です。
機械式時計の登場
13世紀後半からは最初の機械式時計が作られ始めました。北イタリアから南ドイツに至る地域で作られ、50秒に1秒の誤差です。15世紀には携帯できる時計が作られました。これは金属製の動力ゼンマイの動きを動力源とするものです。
16世紀には、振り子の等時性を利用した振り子時計が作られました。同じ長さの振り子が揺れる周期は振り子の重さや振れ幅によらず一定になる、という事を振り子の等時性といいます。振り子の揺れた回数を数えそれに振り子の周期をかければ時間を計ることができます。誤差は5分に1秒です。
クオーツ時計から電波時計へ
1927年にはクオーツ時計がアメリカのマリソンという人物によって発明されました。クオーツとは水晶のことで、水晶は一定の電圧をかけると振動します。その振動をIC(電子回路)によって1秒ごとの電気信号に変え、その電気信号で歯車を回して時計の針を動かし正確な時を刻みます。一般的なクオーツ時計の誤差は1ヵ月で15~30秒程度でクオーツ時計に時刻の修正機能がついたものが電波時計です。電波時計内部には電波受信機が組み込まれ、日本国内2か所の電波局からの標準電波を受信しています。電波時計の誤差は、10万年に1秒の誤差と言われています。
人は時間を正確に刻むために何千年も努力し続けてきたが、それほど時間を正確に知ることが人間の生活にとって大切なことなのだろう、と思いました。
次世代の時計として「光格子時計」が開発されていますが、それはいずれ改めて書きたいと思います。