我が家の主婦は主夫である。夫が家事の大半を占める料理全般を請け負ってくれているのだ。私は全く料理をしない。私たちは結婚して今年で10年になるのだが、その間私が作った料理は、カレーライス2回、シチューが1回、そして麻婆豆腐だけである。しかし夫も障害者であるし、作業所にも通っているので、大変だろうと思い、月、水、金は宅配弁当をとっているのだが、残りの火、木、土、日、祝日は夫の腕の見せ所である。なぜそのようになったかというと、夫は昔、和食屋に勤めていた事があり、料理、そして買い物を全く苦にしない。この事を世間一般の主婦の方々に話すと必ず羨ましがられる。すると私は、うれしさと同時に恥ずかしさを覚え、照れながらこう反応する。「私が釣ったんです!」
私が39歳の冬、私は夫にこう話した。「もうすぐ40歳になるから結婚したい!」すると夫は「70歳になったら結婚してやる」と答えた。夫はバツイチだ。慎重になるのも解らなくはないが、もっと断り方があるだろう。私は腹が立った。そして反撃した。「じゃあ私は北海道に移住する!」そうして各方面に電話をし始めた。その姿を見て、夫は驚き、そして言った。「わかった、結婚する」
私が鯛を釣り上げた瞬間だ。