冥王星が惑星から除外された
2006年8月24日の国際天文学連合(IAU)総会で冥王星は惑星から除外され、準惑星となりました。
太陽系の惑星の定義としては、「太陽の周りを回り」「十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち」「その軌道近くから他の天体を排除した」天体のことです。
冥王星は次の点で他の惑星と違っています。
- 他の惑星はほぼ同じ平面上をほぼ円に近い楕円軌道で公転しているのに対し、冥王星は17度も傾いた軌道を持ち、一部が海王星の軌道の内側に入るほど軌道が円から歪んでいる。
- 半径が1195キロメートルしかなく、次に小さい水星の半分以下しかない。
冥王星が惑星から降格された理由は、発見された2003 UB313と呼ばれる天体のためです。「エリス」と呼ばれるその天体は、冥王星より3倍遠くに位置しているが、大きさは冥王星よりごくわずかに小さいだけです。当初、エリスはIAUの会議で正式に惑星の地位を獲得すると考えられていました。
しかし、他にも冥王星と同じくらいのサイズと思われる天体が21世紀初めにいくつか発見され、冥王星が惑星なら、それらも惑星になってしまいます。IAUは惑星の数を少なく保つために、冥王星を降格させました。
探査機を冥王星へ
ところで、NASAは2006年1月に探査機ニュー・ホライズンズを冥王星に向かって打ち上げていました。ニュー・ホライズンズは、2015年7月14日に冥王星を通過しました。探査機は冥王星が地質学的に活発であり、火山活動的にも、構造学的にも活発であることを映し出しました。
地球より太陽から40倍も遠い冥王星に、独自の複雑な大気、地表に有機化合物、地殻に巨大な断層があることが明らかになりました。そこは、氷からなる広大な平原や山脈、砂丘、「氷の火山」もある驚くべき地質学的複雑性を持つ場所でした。
冥王星で発見されたこの様々な豊かさを考えると、ニュー・ホライズンの接近飛行の後であればIAUも冥王星を惑星から降格させたかどうか、わからないのではないでしょうか。
筆者としては、冥王星の写真を見ると、遠い宇宙への興味と同時に暗黒の怖さも感じて宇宙の神秘を感じました。「氷の火山」があるということで内部には熱源があるはずでNASAの探査の続報を期待しています。