昭和歌謡に魅せられて~『極悪女王』もレコードデビュー? 歌う《美しき戦士》たち。

Netflixの特濃ドラマ『極悪女王』が話題になっているが(Netflixのドラマは、いつも特濃だが)、昭和の女子プロレスの世界にヒールとして足跡を残した主人公のダンプ松本(演:ゆりやんレトリィバァ)をめぐる人々。

レコードを出し、リングで歌い、アイドルのように芸能雑誌にも載った、女子プロレスラーたち。

その流れを、ざっと時系列順に追いかけてみたいと思う。

マッハ文朱(ふみあけ)

(歌手志望だったが、『スター誕生!』決戦大会で山口百恵に敗れる、という屈辱を味わっている。1974年、全日本女子プロレスにてリングデビュー。「リングで歌う女子プロレスラー」のはしり。75年のデビュー曲「花を咲かそう」は演歌っぽい曲だったがヒット。その後徐々にポップス寄りの曲を歌うようになった。76年のプロレス引退までにシングル2枚、アルバム1枚をリリース。タレント転向後もソウル歌謡の傑作「必殺勉強野郎」など、数多くのシングルを出している。特撮ファンには80年の映画『宇宙怪獣ガメラ』でもおなじみ)

ビューティ・ペア

(ジャッキー佐藤・マキ上田。1976~79年に活動。歌手としてのデビュー・シングル「かけめぐる青春」が大ヒット、東映で主演映画が制作・公開されるなど一大ブームを呼んだ。78年までにシングル6枚、アルバムもリリース。歌詞の主語は「私」、述語は「あなた」→後期になって「お前」が登場する。79年の「負けた方が引退」マッチの結果、先に引退したマキは、スーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』、映画『仮面ライダースーパー1』に敵の幹部役で出演、ソロでレコードも出した後に芸能界を引退。残されたジャッキーもソロで3枚レコードを出したが鳴かず飛ばずで、早々にプロレス界から姿を消した。1999年、41歳で死去)

クラッシュ・ギャルズ

(長与千種・ライオネス飛鳥。1984~89年。レスラーとしてのタッグチームとしては2000年にも一時再結成したが、レコード発売、テレビ出演などの芸能活動は早い時期の数年間のみ。それでもシングルはシブがき隊に近い曲調の「炎の聖書(バイブル)」など6枚、アルバムも数多くリリース。ダンプ松本らと共に、ドラマ『毎度おさわがせします』などにも出演。それまでと違い、男性ファンも多かった。ちなみに「炎の聖書」の歌詞の主語は「俺」である)

他に「ミミ」としてタレント・歌手・モデルとして活動した後に女子プロ入りしたミミ萩原、

完全にアイドル的な売り出し方で男性ファンの支持を集めたキューティー鈴木、

といったあたりが人気者だった。

こういったベビーフェイス系のほか、

デビル雅美、

ジャガー横田、

といったあたりのヒール系レスラーもレコードを出している(なぜか演歌寄りの楽曲が多い)。

そして『極悪女王』・ダンプ松本は、シングルではなく12インチ(30センチ)ミニアルバム『極悪』をリリース。

歌、というか、ハードなメタル・サウンドをバックに、がなっている。

『極悪女王』のオープニングで流れるのは、その収録曲「ダンプ The Heel」を、ダンプ松本その人を熱演した、ゆりやんレトリィバァがカバーしたものである。

また、その人物が主役のビデオゲームが発売されたことをひとつの人気のバロメーターと考えるなら、ダンプ松本、キューティー鈴木はそれぞれビデオゲームが発売された。

クラッシュ・ギャルズ引退後、全日本女子プロレスには冬の時代が到来するが、そんな中でもアジャコング、ブル中野、北斗晶といったレスラーたちが激闘を続けた。

長年の放漫経営が祟って2005年に完全解散、会社としても消滅したものの、歴代レスラーたちの勇姿は永遠のものである。(文中敬称略・了)

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しんのすけ1965

昭和歌謡などの音楽以外にも、さまざまに興味を持っています。そういったあたりも、どしどし出していけたらいいなぁ………なんて、思っております。

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