日本のエネルギー
2022年現在、日本のエネルギー割合は火力発電が70%以上、太陽光などの再生可能エネルギーが約22%、原子力が約6%となっています。最近では、地球の温暖化を防ぐために二酸化炭素の発生を抑えなければならないことから再生可能エネルギーや原子力発電に注目が集まってきています。
ここでは原子力発電所の発電の原理について調べてみました。
原子力発電の原理
水を沸かして蒸気に変えて、蒸気の力でタービン(羽根車)を回して発電するという原理は原子力発電も火力発電も同じです。ただ、水を沸かすために化石燃料(石炭、石油など)を燃やすのが火力発電で、原子炉の中のウランの核分裂の際の熱を利用するのが原子力発電です。ウランは原子番号92の原子で天然のウランには原子核の中の中性子の数の違いによって、ウラン235とウラン238が存在します。(原子番号などは下の補足参照)
ウラン235は核分裂しやすく、天然ウランの中には0.7%存在します。残りはウラン238が占め、核分裂しにくいです。それはウラン238に中性子がぶつかっても、ウラン238はその中性子を吸収してプルトニウム239に変わる性質を持っているからです。(プルトニウムの原子番号は94です。)
ウラン235の原子核に中性子がぶつかると陽子と中性子を結びつける力が不安定となり核分裂が起きます。この時膨大な熱エネルギーが発生し、同時に2~3個の中性子が放出されます。この時放出された中性子がまた他のウラン235を核分裂させ、核分裂の連鎖反応が起きます。
わずかな量のウランで大量のエネルギーを生み出し、一度燃料を入れると少なくとも一年連続運転できます。核分裂のエネルギーが大きいためで、ウラン235が1グラムで石油2000リットル分のエネルギーを生み出します。
原子力発電所の構造
原子炉内の中性子の数を調節して発電のエネルギーを調節する役割をするのが制御棒です。制御棒はホウ素、カドミウムなど中性子をよく吸収する物質で作られ核分裂の割合をコントロールします。
原子炉はマンガン、モリブデン、ニッケルを約1%ずつ含む合金からできている原子炉容器で囲まれ、原子炉の中には、燃料としてのウランと水、制御棒が入っています。原子炉で作られた蒸気が、タービンと発電機のある別の建物に送られ発電します。
タービンを回し終えた蒸気は、海水が循環する復水器で冷やされ再び原子炉へ送られます。大量の海水を必要とするため現在の原子力発電所は海の近くに建てられています。
エネルギー問題を解決できるか?
原子力発電は二酸化炭素など温室効果ガスを排出しませんが、大地震の時の津波などの災害の際に大きな被害を起こすので近隣住民の心配の種となっています。安全にエネルギー問題を解決する方法を考え出すことは困難のようです。
核分裂の発見から原爆の開発につながる話や、燃料デブリなど現在のニュースでも扱われる話は次稿以降で扱っていきたいと思います。
(補足)
原子番号=(原子核内の陽子の数)
質量数=(陽子の数)+(中性子の数)
陽子の質量と中性子の質量はほぼ等しい。
原子核は陽子と中性子から構成されている。