今回は、アフリカの伝統楽器の「kora(コラ)」についてまとめたいと思います。
・koraのルーツ
西アフリカのギニア、マリ、コートジボアール、ガンビア、ブルキナファソ、セネガルなどの国に居住する部族のマンディカ族がルーツの楽器です。
日本ではコラと発音されることが多いアフリカ人の正しい発音では「コールァ」となるようです。
以前ご紹介したことのある、中東の楽器「ウード」がギターのルーツであるという説と、koraがギターのルーツであるという説があるようです。
ウードがヨーロッパで発展してリュートになりますが、koraを説明するときにはリュート型の撥弦楽器という説明がなされていることから、ウードと koraは似た構造をもつ楽器で、どちらが先に生まれたのかははっきりしていないようです。
ここでkoraの演奏を聴いてみましょう。
・マンディカ族
次にマンディカ族についてご説明します。
マンディカ族とは、西アフリカのマンデ系に属し、サハラ交易を支配したマリ帝国の人々の子孫です。サハラ交易は、サハラ砂漠をまたいで中東から西アフリカにかけて行われたと言われており、生物学的にも文化的にもそれらの民族間で影響を与えあったと考えられます。
現在マンディカは100万人を超え、ブルキナファス、コートジボアール、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、セネガル、シエラレオナなどの西アフリカの国々に定住している。彼らはまた西アフリカのほとんどの国に少数暮らしています。
koraは現在、マンディカ俗のいるたくさんの国々で親しまれている楽器のようです。
そんなマンディカ族がかつて繁栄させたマリ帝国について詳しくはこちらの動画をご覧ください。
・koraを演奏する職業「グリオ(griot)」
コラを演奏するのは「グリオ(griot)」と呼ばれる世襲制の職業音楽家です。マンディカ語では、ジャリ(jali)と呼ばれます。グリオは単に楽器の演奏をする音楽家ではなく、歴史上の英雄譚、遠方の情報、各家の系譜、生活教訓などをメロディーに乗せて人々に伝える本来の目的としている社会的役割をもつ職業で、文字のなかった時代には彼らの重要性は高く、その知識量の豊富さから王の側近などに抜擢されることもあったようです。
そのため、グリオに対して人々から畏敬の念を持たれており、その彼らの楽器はとても神聖なものとされています。かつては一般人は触れることすら許されなかったということです。現在になっても、西アフリカの一般の人々がグリオの楽器に手を出すことは少数であるということです。
グリオの楽器にはコラの他にもいろいろあります。
弦楽器のンゴニ、ボロン、太鼓のサバール、タバラ、木琴の一種であるバラフォンなどが知られるています。世襲制のグリオのそれぞれの家系で扱う楽器が決まっており、コラの家系はコラ、バラフォンの家系はバラフォンの演奏方法を肉親から引き継いでいったということです。
・まとめ
koraはコラまたはコールァと呼ばれる西アフリカを中心に親しまれている伝統楽器です。
マンディカ族というマリ帝国を気づいた民族にルーツがある楽器です。
世襲制の職業音楽家、グリオだけが演奏できる神聖な楽器でした。
koraの演奏家にはアメリカなどでも知られている人もおり、アフリカ楽器の中では比較的目に触れる機会が多いかもしれません。
最後に、アメリカの人気音楽番組「Tyny Desk Concert」に出演した時の「seckou keita」のkoraの演奏を聴いて頂き今回は終了させて頂きます。