【あらすじ】まんがで読破シリーズのドストエフスキーの悪霊を読んだ

今回はまんがで読破の悪霊を読んだので、あらすじ等を書いていきたいと思います。まんがで読破の悪霊はニコライという人物がキーパーソンになっています。組織の暴走、事件、自殺。かなり暗い話でしたが大変興味深く読めたので紹介したいと思います。

悪霊の登場人物

ニコライ・スタブローギン

頭脳明晰で美青年。カリスマ性を持ち、周囲の人間に強い影響力を与える。最後は自殺する。

ピョートル・ベルホベンスキー

革命組織を指導しロシアに動乱を起こそうとする野心家。ニコライに惹かれている。

イワン・シャートフ

革命組織の印刷工。ニコライの影響から愛国心を持つようになる。最後はピョートルに銃で撃たれ死ぬ。

アレクセイ・キリーロフ

シャートフの親友。ニコライの影響から無神論者となった後、自殺により神になれるという思想をもつ。最後はピョートルに利用されて自殺する。

五人組

ピョートルの組織にいるメンバー。リプーチン、ビルギンスキー、エルケリ、シガリョフ、リャムシン

まんがで読破の悪霊のあらすじ

物語が始める以前にニコライは、異常な振る舞いを見せて周囲を困らせます。

その異常な振る舞いの結果、決闘をして人を殺してしまいます。そして、裁判にかけられますが、自ら精神鑑定を希望します。その結果、精神異常が認められます。判決は、罪に問えないと無罪。

それ以降、ニコライには二つの目が向けられます。憎悪、侮辱と畏敬、羨望。その後、ニコライに影響されたピョートルやピョートルの組織を中心として事件が起きます。

最後は回想シーンで、ニコライは軍務についたばかり時に下宿先の夫婦の娘と関係を持つ。関係を持つ直前に、ニコライは恐怖心をその娘から持ちます。なぜ恐怖心を持ったかと言うと、その娘の微笑みだったそうです。しかし、その数日後に娘は自殺してしまう。

ニコライは悪意を持って関係を持ったが、その娘はその悪意に対して愛情で応えていた。

娘の遺書には、

神様 私はあなたを裏切り 罪を犯しました お許しください

引用:イーストプレス 

と書いてあった。それから、ニコライは異常な振る舞いを見せる。

常識を侮辱し、人々を侮辱し、法を侮辱し、神を侮辱した 

引用:イーストプレス

ニコライがそのような行動をとっていた理由は、娘の幻影から逃れる為だったようです。

最後にニコライは、

悪意に対して善意で返す…僕は彼女のようになれなかった…僕は敗者だ。

引用:イーストプレス

と遺書を残し自殺して、まんがで読破の悪霊は終わります。

ピョートルの企みを見抜くニコライの指摘

ピョートルには目的がありました。それは組織の結束です。そして近所の住人には誕生日パーティーと偽り、組織の会合を開きます。

そして、ピョートルは組織の目的で政治的暗殺が行われた場合、警察に密告するか、しないか、と五人組に問いかけます。もちろん、全員NOです。

そして、印刷工のシャートフに問いかけます。君はどうする?と。そして、シャートフはその場から立ち去ります。

ニコライもその場から立ち去りますが、ピョートルがニコライを追ってきて二人で話します。その内容はピョートルがニコライに、君は王となるんだと言います。しかし、ニコライはピョートルの目論見を見抜いて言うのです。

君が必要なのはシャートフの血だろう。

君はまんまとシャートフを裏切者に仕立て上げた。五人は彼を完全に疑っている。次に君はイワンを殺すつもりなんだ。五人組と君でイワンを殺して裏切者は殺されるという恐怖心を与える。さらに殺人の罪を犯す事でより強い結束を生む。それが狙いだ!違うか? 

引用:イーストプレス

ニコライは、ピョートルの目論見を見抜いたのは凄い事ですね。ロシアでは昔、実際にそのような事件があったそうです。その事件を背景にして悪霊は書かれたそうです。それにしても、ニコライは人によっては魅力的な人物に映るかもしれませんね。しかし、ニコライのような人が実際、身近にいたら大変でしょうけどね。

五人組の1人が言う社会構造の在り方について

五人組の一人、シガリョフが言います。

現在の社会構造の創始者たる人々は、すべてが人間という不可解な動物を理解できずに自己矛盾に陥った愚者たちであり、問題は我々の社会にまったく無益な思想ともはや崩壊するしかない構造を生んだ事です。私の提案する社会構造においても、無制限の自由は無制限の支配によって完成するという矛盾した結論を抱きました。しかし、この無制限の支配こそ…問題の最終的解決をみる完全なる社会構造なのです!

引用:イーストプレス

まんがで読破を見ると、一同ポカンとしたシーンがあります。そして、続けてシガリョフが言うのです。

その言葉を簡単に要約すると、一割の人間に権利や金を支配させて、あとの九割の人間は奴隷状態にさせるという考えです。しかし、その一割の人間に支配させあとの九割を家畜状態にさせるにはすぐにできないので、徐々に時間をかけて何世代にかけてやっていくべきだと言います。衣食住、労働奉仕、そして人間の原始的な欲求のみ幸福を見出す存在にして自ら幸福だと感じる状態にして九割の人間を幸福な奴隷状態にさせるのだ、と説きます。

私はこの考え方を面白いと思いました。と言うのは、今はひと握りの金持ちが富を独占しているからです。ある意味、シガリョフが言う考えに沿った世の中になっているかもしれませんね。

悪意に対して善意で返す 私は彼女のようになれなかった ニコライ自殺

ニコライは以前に、精神異常者を装い裁判で無罪を勝ち取りました。そうして、世間と法を欺きました。しかし、それは自分自身をも欺いていたのです。なぜなら、物語が始める以前に、ある少女と関係を持ちました。その少女はまだ幼かったのですが、ニコライの思いつきで下劣な考えの悪戯に対して愛情で返してました。その愛情に対してニコライは恐怖を抱きました。しかし、その後少女は自殺してしまいます。遺書には、一文だけ書いてあり、その内容とは、

「神さま 私はあなたを裏切り 罪を犯しました お許しください」

引用:イーストプレス

とだけ書いてありました。

それから、ニコライは異常な振る舞いを見せるのです。それは少女から感じた恐怖の正体を確かめる行動だったのです。

常識を侮辱し

人々を侮辱し

法を侮辱し

神を侮辱した 

引用:イーストプレス

ニコライの異常な振る舞いに世間の人はニコライを侮辱しました。しかし、ニコライはその答えに納得しません。あの少女から感じた恐怖を再び感じる事ができないからです。なぜニコライは少女から恐怖を感じたかと言えば、少女がニコライの侮辱に対して愛情で応えていたからです。悪意に対して善意で返していたのですね。 そう、

彼女のほほ笑みは僕への赦しだったのだ…

引用:イーストプレス

とニコライが気付きます。そして、その恐怖の正体にも気付きます。その答えは良心の呵責だったのです。

悪意に対して善意で返す…僕は彼女のようにはなれなかった…僕は敗者だ 

引用:イーストプレス

そして、ニコライは自殺したのでした。

まとめ

まんがで読破の悪霊はどうでしたか?あらすじとニコライの簡単な紹介等で終わってしまいましたが、大変興味をそそられる内容ですね。まんがでこの内容の濃さなので、実際の活字を読んだらまた別な味わいと深さがあるのではないでしょうか?私はドストエフスキー作品に興味が湧いたので、本屋では機会があれば買い、図書館ではドストエフスキー作品を読みたいと思います。しかし、活字を読むのは疲れるので当分先になりそうですが(汗)

ニコライという魅力的な人物を中心とした物語でバッドエンドの小説みたいですが、きっとその先には、深い含蓄があるかと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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仙台の人

図書館にある、まんがで読破シリーズを全て読みたいと考えています。

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