ジャージ・コジンスキーという作家の「庭師 ただそこにいるだけの人」を読みましたので紹介します。この小説の主人公、庭師の男はずっとTVと庭にしか関りがなかったのですが、家の主人が亡くなった後に、家を追い出されてあれよあれよという間に、物語を起こしていく話でした。そんな「庭師 ただそこにいるだけの人」の感想などを書いていくので興味がある方は読んで下さい。
ジャージ・コジンスキーの人生は壮絶
ジャージ・コジンスキーは1933年生まれでポーランド生まれのユダヤ人です。両親はロシア革命時の亡命ユダヤ人です。そんなジャージ・コジンスキーですが両親と生き別れて孤児として育ちます。過酷な経験から、5年間口が聞けなくなってしまった過去があります。戦後になって両親と再会したジャージ・コジンスキーは身体障害者の学校に入ります。その学校では優秀な成績でした。ウッジ大学に入り歴史と政治学を学ぶのでした。ソビエト留学まで果たしますが、当時の共産主義体制を嫌い、その後アメリカへ文無しで渡ります。アメリカでは、アルバイトをいくつか掛け持ちして辞書片手に古典の英文学を読みました。それと同時に4本映画を観ました。そんな猛勉強の末に奨学金を得るのでした。そんなジャージ・コジンスキーですが1991年に自らの命を絶ってしまいます。
「庭師 ただそこにいるだけの人」を読んだ感想
主人公のチャンスは生まれつき頭に障害がありました。
彼の脳の柔らかい土、思考が芽生える大地は最初から傷ついていた。
飛鳥新社「庭師 ただそこにいるだけの人」 著ジャージ・コジンスキー 訳高橋 啓 p14
のですが、チャンスはずっとTVを見て育っていたので、TVから学んだそれなりの一般常識もあるし、色々な知識も持ち合わせています。本を見ると分かりますが、対人スキルも高い人間ですし容姿端麗なのできっと全てが良い印象として映った事でしょう。庭仕事をしてきた人間で、すべての事象を庭の仕事と関連付けて喋る様子はユーモアがあり楽しめて読めました。アメリカはたくさんのチャンネルがあると聞きますから色んな番組を見て知識を付けたのでしょうね。
まとめ
「庭師 ただそこにいるだけの人」の本は可愛らしいクワガタとゾウムシみたいな絵がのっている本です。表紙が可愛いのですね。内容もユーモアがあって、楽しい本でした。きっと著者のジャージ・コジンスキーも楽しい人生を送ってきたのだろうと思うのですが、そうではなくて孤児になったり、口が聞けなくなったりして大変な過去があると分かりました。両親がユダヤ人なので、ユダヤ人はどんな時でもユーモアを忘れない民族性があると何かの本で読んだことがありますが、ジャージ・コジンスキー自身もそのユーモアを忘れずに生きた事でしょう。しかし、ジャージ・コジンスキーは最後に自死を選びます。やはり幼少期のトラウマを癒すのは大変な事だと思いました。自死の原因はなにか分かりませんが・・・。私が思うに幼少期の大変な過去が原因かと思っています。