春ですね。この写真は自宅の庭に咲く紅梅です。日本の春といえば桜ですが平安時代より前の日本では春の訪れを感じさせる花は梅で古くから親しまれてきました。
梅は、花を愛でるばかりでなく、食品としても日本人の身近に存在しています。我が家でも梅の花が終わると、実を漬け込んで梅干や梅酒にして味わうことが習慣になっています。
梅の花は冬の寒さや厳しさはこれからだというときにつぼみを付け、他の木々たちが「まだ寒い、寒い」といっているときに花を咲かせます。冷たく厳しい冬、降り積もる雪の中でも、寒さ に耐えて花を咲かせるのが梅の花です。
梅の花は凜として美しく、香りも清らかです。寒い冬に咲く梅の花には、 身も心も引きしまるような強さを感じる美しさがあります。
耐雪梅花麗(たいせつばいかうるわし) という言葉があります。私は梅を見るとこれを必ず思い浮かべます。日本の英雄で敬愛している西郷隆盛が親戚の子供に送った漢詩の一句です。
これは初春の雪の冷たさを、耐え忍んだ梅の花が麗しく咲いて芳香を放つように困難を耐えて乗り越えれば、大きく見事な成長が待っている。人間というものは、辛いことや苦しいことを 耐え忍んでこそ大成するという意味です。
梅の花は、寒い冬を耐え忍ぶことで、春になれば一番麗しく咲きます。辛く 苦しい時期を乗り越えてこそ、希望の春がやってくるという事になるでしょう。
しかし私はこれまで履き違えていましたが、 苦しい時期を乗り切るという事は、頑張り過ぎるくらい無理をするという事ではありません。 自分を必要以上に痛めつける事が正しい頑張りとは言えません。ただひたすら、限界を超えてまで頑張りすぎるという事が大切なのではありません。余裕や遊びが必要です。何も考えず思い切って 体を休ませるという事も自分と向き合うことにつながります。
梅の花全般の花言葉は、「上品」「高潔」「忍耐」「忠実」です。由来は、梅の花の最盛期が2月とまだ寒さが厳しい時期のため、寒風が吹く中、凛と咲きほこる梅の姿からつけられました。また、「忍耐」もその情景から由来しています。また、「忠実」の花言葉は、平安時代の貴族・菅原道真に由来しています。
学問の神様とされる菅原道真は、その才を疎まれ、九州の太宰府に左遷されます。この時、道真の元へ大切に育ててきた梅の木が飛んできたという伝説が残されています。これにちなんで、「忠実」という花言葉がつけられました。
西洋では、「Keep your promise(約束を守る)」「fidelity(忠実)」「beauty and longevity(美と長寿)」の花言葉があります。
松、竹、梅は「歳寒の三友(さいかんのさんゆう)」と呼ばれ、寒さに耐える植物とされてきました。松竹梅は、宋代より始まった中国の文人画で好まれる画題のひとつです。
日本では「松竹梅」と言えば、おめでたいものとして慶事などに使われます。松・竹・梅の順番ですが、日本ではまず平安時代に常緑樹の松が不老長寿を思わせるおめでたいものとされ、その後室町時代に、節目にそって真っ直ぐ伸びる竹が縁起のいいものとされました。
さらに江戸時代になると、冬に花を咲かす梅が新春を彩るめでたい花として定着しました。つまり、縁起のいいおめでたいものとして、その時系列が「松竹梅」となったため、本来の意味ではこの3つに序列はありません。
ちなみに写真には我が家の紅梅と同じ庭に松や竹が納まっており、我ながら縁起が良いとご機嫌になりました(笑)
梅の実が本格的に食されだしたのは鎌倉時代以降と言われています。現在、私たちが食べる食品の多くは、インスタント食品や、米、パン、肉や魚、卵など、酸性食品が多くなっています。
逆にアルカリ性はというと、野菜や果物、海藻などになりますが、人間が健康でいる為には体液(血液や細胞液)を弱アルカリ性に保つ必要があります。梅干しはアルカリ性食品の王様とも言えます。
また梅干しに含まれる、クエン酸やベンズアルデヒドには微生物の繁殖を抑える効果があります。また、梅干しがすっぱいのは、クエン酸のせいですが、クエン酸は疲労の原因となる乳酸の蓄積を防ぎ、カルシウムの吸収を良くしたりと、良い事づくしです。
桜も素敵ですが梅も同じくらい素晴らしいです。それではまた!