こんにちは。
このコラムでは、パニック障害を体験した筆者が、どうすればパニック障害を克服できるのか、体験談をもとにお話しします。
☑パニック障害を克服したい人
☑身近にパニック障害で苦しんでいる人がいる人
この記事はこんな人に向けて書きました。
少しでも、パニック障害に苦しんでいる人の手助けになればと思います。
「またパニック発作が起きたらどうしよう」
「電車に乗るのがとても辛い。」
「家から出ることを考えただけで不安な気持ちでいっぱいになる。」
その気持ち、よくわかりますよ。
私自身、15年近くそういう不安と戦ってきましたから。
以前は家から出ることを考えただけで死にたくなるくらい、つらい時がありました。そしてそこから目を背けてしまいました。病気と向き合わなかったばかりに、23歳から約10年間、おそらく多くの人がいろいろな体験をして、もっとも人生で輝くであろう時間を棒に振りました。今でも後悔しています。
これを読んでいる皆さんには、そのような思いをしてほしくないのです。
この記事は、15年近くパニック障害で苦しんできた自分の実体験をまじえて、パニック障害と向き合い、克服するための行動・心構えをお伝えしたくて書きました。
私は、30歳くらいからようやく病気と向き合うことを決意して、ここに書いてあることを毎日継続しました。その結果、現在ではひとりで電車や地下鉄などに乗れるようになっています。(バスだけは苦手ですけどね!)
パニック障害を克服するための方法をまとめると以下のようになります。
☑生活リズムをととのえる
☑軽い運動をする
☑食生活をととのえる
☑お酒・コーヒー・タバコをやめる
☑自分なりのストレス発散方法を実践する
☑瞑想(マインドフルネス)を試してみる
☑発作がおさまったら、少しずつ行動範囲を広げる
以下でそれぞれくわしくお話ししていきます。
ただその前に、パニック障害そのものについて軽くふれておきましょう。
パニック障害とは
それは誰が悪いなどというものはありません。もちろんあなた自身にも罪はありません。こうなったのは自分のせいだなどと自分を責めないでください。あなたは悪くありません。
悪いのは病気そのものです。
パニック障害の症状
☑パニック発作
ふいに理由もなく激しい不安の波が襲ってきて、コントロールが利かなくなり、「死ぬかもしれない」と感じられます。動悸、めまい、吐き気なども伴います。たいていは10分程度で収まりますが、体験者から言わせるとその時間はとてつもなく苦痛です。周囲は平然としているのに、自分だけまるで地獄にいるような感覚ですね。
☑予期不安
パニック発作が起きていない時でも、また発作が起きたらどうしようと不安な気持ちになってきます。家にいても落ち着かない、不安で眠れないなどという症状が出てきます。
☑広場恐怖
発作が起きたらどうしようという考えから、電車や車、人ごみなど逃げ場のない場所を避けるようになります。ひどくなると一人で外出する事も困難に。生活にいちじるしい支障が出ます。
☑うつ病、依存症の併発
家から外出できない状況が長く続くと、心身に影響が出ます。パニック障害に一番併発しやすいのはうつ病で、次に各種の依存症です。代表的な依存症はアルコール依存症ですが、ほかにもゲームやインターネットなどにもハマりやすくなり、気付いたら依存症だったというパターンも少なくありません。
私自身もゲームとインターネットが世界の全てになってしまい、そこから抜け出すのは簡単ではありませんでした。
もっと長期間放置していると、人格や行動様式まで変わってしまいます。
ただしこの病気は、早めの薬物療法、心理療法、認知行動療法を受けることによって良くなる病気です。
ぜひこの記事を参考にして、前向きにパニック障害と向き合ってください。
いよいよ本題です。
パニック障害を克服するための方法を8つご紹介します。
▶➀精神科を受診し、処方された薬をきちんと飲む
おかしいと思ったら、とにかく早めに精神科または心療内科を受診してください。その時、やはりパニック障害にくわしい先生がいる病院を選んだほうが良いと思います。今はWEBで調べられると思うので、事前にチェックしておいた方が安心です。
精神科医の診察を受けたら、処方された薬はしっかり飲みつづけましょう。
自分で勝手に分量を減らしたり、飲むのをやめたりするのは危険です。そのようなことはしないでください。
私は現在4種類の薬を飲んでいます。少々面倒ではありますが、発作が起きるよりははるかにましと考えて、毎回忘れずに飲むようにしています。
▶➁規則正しい生活をする
パニック障害を克服するためには、生活のリズムを正し、体内時計をきちんと整えることが大切です。
まず朝きちんと起きること。起きたら朝日をなるべく浴びるようにすると、体内時計がリセットされるので効果的です。
これに気を付けないと、人はだんだん昼夜逆転するようになってくるので気を付けてください。つらいとは思いますが、日中は少しでも外に出て体を動かすようにすると回復も早いです。
食事も毎日、なるべく同じ時間に摂るようにするのが望ましいです。
▶③適度な運動をする
パニック障害は脳が自律神経を乱すことで起こる病気です。
適度な運動は自律神経をととのえてくれます。
自分にできる範囲でかまわないので日常生活に運動を取り入れてみてください。
私は、自立訓練の施設で毎週木曜日におこなわれるスポーツに参加していました。ストレスの発散という観点からもおすすめです。
そこまでいかなくても、近所をウォーキングする程度でもかまいません。大切なのは、毎日少しずつ継続する事だと思います。
▶④食生活を整える
食事は一日三食きちんと食べてください。
特に朝食が大事です。朝ご飯を食べることによって、胃や腸の調子がととのえられます。
私は発作に悩まされていたころ、昼前に起きて朝食兼昼食を食べるという一日二食の生活でした。これはもちろん良くないです。
甘いものを食べると少し不安がやわらぐこともあるかと思いますが、パニック障害の人は欲求をコントロールするのが苦手です。強い不安がストレスとなり、特定のものや行動にハマりやすくなっているからです。
糖分は取り過ぎると糖尿病などの発症につながります。身体にも悪影響が出ますので、少量をこころがけましょう。
▶⑤アルコール・カフェイン・タバコをひかえる
ご存じの方もいると思いますが、お酒、カフェイン、タバコはパニック障害にはよくありません。
このうちもっとも気を付けたいのはカフェインです。カフェインには脳を覚醒させる効果がありますが、パニック障害にはこれがマイナスに働きます。
コーヒーに多量に含まれるので、パニック障害の人はコーヒーを飲まないでください。
緑茶や紅茶、烏龍茶にもコーヒーほどではありませんがカフェインが含まれているので、避けた方がいいと思います。
水分の補給には、麦茶や各社から出ているカフェインゼロのお茶などをおすすめします。
アルコールは依存症のリスクがある点からもおすすめはできません。お酒はなるべく飲まない方が良いと思います。どうしても飲みたい場合は曜日や時間をきちんと決めるとよいと思います。
▶⑥ストレスを適切に発散する
ストレスがたまってくると、うつ病を発症するリスクが上がる他、物や人に当たるなど、自分の行動を制御できなくなります。
自分の場合は、仲の良い友達と遊ぶ、カラオケで好きな歌を歌う、趣味の競馬を楽しむというふうにストレスを発散しています。
これは個人によって違っていいと思います。
イラストを描く。映画を観るなどでもかまいません。恋人といて心が休まるのであればそれでもよいでしょう。
自分の心が満たされるものを見つけて、楽しんでください。
▶⑦マインドフルネス瞑想の実践
最近はマインドフルネス瞑想法がメジャーになってきたので、ぜひ調べて実践してみてください。それを毎日続けることが大切です。
私はカウンセラーにすすめられた自律訓練法を十数年間つづけています。一日10分程度で、少し気持ちが安らぐのを実感できますよ。
▶⑧少しずつ行動範囲を広げる
発作がおさまってきたら、少しずつ行ける場所、できる事を増やしていってみます。最初のうちは信頼・安心できる人に付き添ってもらったほうが良いでしょう。
家から出られない人は、近所の散歩でもいいので少しずつ家から出る時間を増やしてみるのがいいと思います。この時、頓服薬を持ち歩くと少し安心です。
お守りのような物があるなら、ぜひ一緒に持ち歩いてください。
私はパワーストーンのようなものとして、大好きな勾玉のアクセサリーを身に付けて外出しています。
パニック障害と向き合ううえで、「発作が起きても大丈夫。なんとかなる」という考え方もとても大切です。予期不安はたまに感じるけれども、日常生活に支障なければ大丈夫、と思うと少し気が楽になりますよ。今の私がまさにそういう状況です。
逆に、無理に治そうと思うとつらくなるので思いつめないようにしましょう。
「私は障害と無理なくお付き合いしていくんだ。」くらいの認識でいると人生が楽になります。
どうか不安を恐れないでください。不安をありのままに受け止めてあげてください。
最後に私から、これを読んでいるあなたへ、そして将来の自分へささやかな贈り物があります。
もし予期不安やパニック発作が襲ってきたら、心の中でこう叫んでみてください。
「怖いものなんてない。」
「大丈夫!きっとなんとかなる!」
忘れないでください。
あなたは大丈夫です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
少しでもあなたの未来が明るくなることを祈っています。
おわり
参考文献
患者のための最新医学 パニック障害 正しい知識とケア 改訂版
坪井康次 監修 高橋書店 刊 2021年
Wikipedia 「パニック障害」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E9%9A%9C%E5%AE%B3