✅人類はなぜ服を着るようになったか?
✅なにからそれがわかるのか?
✅人類は衣服を着ることによって絶滅をまぬがれた?
この前おでかけした時に、なんとなく入ったお店で気に入った服を見つけて衝動買いしてしまいました…。
こんな経験をされた方もいるかもしれません。
ファッションのブランドやショップは増え続け、流行も絶えず変化しています。100年前と現在では、同じ洋服といえども全くスタイルが違いますよね。
さらにさかのぼって、こんなことを考えてみた事はありませんか?
「人間はいつから服を着るようになったのだろう?」
そんな疑問に対する答えとして、約7万年前に起きた大きな気候の変動によるものという説があります。
絶滅寸前に追い込まれた人類の起死回生の切り札。
それが「服を着る」という行動でした。
服を着ることによって人類は危機を乗り越え、文明を築くことができたのです。
それを証明しているのはとても小さな生物、シラミなのです。
今回は、そんな意外な衣服の起源についてお話しします。
✅人類はトバ事変で絶滅の危機にあった
約7万年前、現在のインドネシア・スマトラ島のトバ火山が大噴火しました。
この時、あまりにも規模の大きな噴火だったため、大気中にまきあがった大量の火山灰が日光を遮断。
地球の気温は平均5℃低下しました。
これは東京都の年間平均気温が山形県と同じくらいに下がったことを意味します。
この急激な寒冷化はおよそ6000年も続きました。
この間に、この時期まで生存していたホモサピエンス以外の人類は、ネアンデルタール人などを除き絶滅。
私たちホモサピエンスも、総人口が1万人以下にまで激減し、絶滅寸前まで追い込まれたことが遺伝学の研究からわかっています。
この出来事をトバ事変(トバ・カタストロフ)と呼んでいます。
なぜそれが分かるかというと、遺伝学の研究によって、これ以降のホモサピエンスの遺伝子のバリエーションが急に失われていることがわかっているから。
それは、それまで栄えていたホモサピエンスが急激に数を減らし、少数のグループだけが生き延びて、その後再び数を増やしたのではないか。
そう考えれば矛盾なく説明できます。
この現象を「ボトルネック効果」と呼びます。
種の存続がかかった絶体絶命のこの時、人間は服を着るという行動を選びました。
そして、それを選んだ人たちだけが生き残って、次の世代を残すことができた可能性が高いのです。
なぜそれがわかるのか?
それを証明してくれるのが「シラミ」の存在です。
✅アタマジラミとコロモジラミが分かれた
ヒトジラミの分化が、ちょうどトバ事変の時と重なるのです。
ヒトジラミは人にだけ寄生する寄生虫です。
それには2つの亜種があり、髪の毛に寄生するアタマジラミと、衣服に寄生するコロモジラミに分けられます。
近年遺伝子の研究が進み、この2つの亜種が分化したのはおよそ7万年前であることが分かってきました。
ちょうどトバ事変があった頃ですね。
それまで髪の毛にしかいなかったヒトジラミが、人間が衣服を着ることによってその衣服に生活圏を広げたと解釈すれば、この事実はつじつまが合います。
そこで研究者らは、トバ火山の噴火とその後の寒冷化した気候を生き抜くために、ヒトが衣服を着るようになったのではないかと考えるようになったのです。
✅衣服の発明が文明の礎になった
上記二点から言えることは、ヒトが絶滅の危機を乗り切ることができたのは衣服を発明できたから。
服を着ることで急激に寒冷化した環境を生き残る事ができたのです。
その後、紀元前25000年ごろには針と糸によって素材が縫製され、ぴったりと体に密着する衣服が作られるようになり、保温性はさらに上がりました。
人間の活動範囲はより広がり、その範囲はより極地へと広がっていったことでしょう。
そして最終的に、地球上でただ一種生き延びた人類となります。
住む場所や話す言葉は違っていても、今生きている私たちはすべて同じホモサピエンスというひとつの種です。
やがて農耕を発明したことによって人口は大きく増加しました。
本格的な定住生活が始まり、文明の誕生そして現在へと繋がっていきます。
衣服の発明は、その後の文明の誕生につながる画期的な出来事だったのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
普段何気なく着ている衣服にも、こんな歴史があったんですね。
では、また次の記事でお会いしましょう!
おしまい
Wikipedia「トバ・カタストロフ理論」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95%E7%90%86%E8%AB%96
Wikipedia「被服」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E6%9C%8D
Wikipedia「ボトルネック効果」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8A%B9%E6%9E%9C
Wikipedia「ヒトジラミ」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%82%B8%E3%83%A9%E3%83%9F
都道府県格付け研究所
http://grading.jpn.org/SRB02101.html