競馬ファンの皆さん、こんにちは。
今回は2023年5月28日に行われた日本ダービーで起きた悲劇的な出来事についてお話ししなければなりません。
個人的にはあまりに衝撃的で、思い出したくはないエピソードです。しかし、今後も競馬に関する記事を書いていく以上、この話題を避けて通ることはできないと思いましたので、今回取り上げさせていただきました。
その出来事とは、2番人気に支持されたスキルヴィングがレース後に急性心不全で死亡してしまったことです。
この記事では、この出来事に対する競馬界からの反応や、個人的な思いについて書いていこうと思います。
日本ダービーの後、スキルヴィングは急性心不全で死亡した
スキルヴィングは父キタサンブラック、母ロスヴァイセという血統の良血馬で、前哨戦の青葉賞を優勝してダービーに挑んだ期待の3歳馬。
新馬戦こそ2着に敗れたものの、そこから3連勝と快進撃を続けていたこと、鞍上がルメール騎手ということもあって2番人気に推されていました。
レースでは中団を追走していましたが、直線に入るとまったく反応がなくなり、結局17着でゴール。その後、異変を感じたルメール騎手が下馬すると、力なく1コーナーの内ラチにもたれるように倒れ込んでしまいました。
その様子はTV中継にも映りましたが、ルメール騎手が懸命にスキルヴィングの頭を撫でている姿は非常にショッキングなものでした。
スキルヴィングは馬運車に運ばれましたが、まもなく急性心不全で死んだことがJRAから発表されました。おそらくレース中にすでに心臓に異変が起きていたものと思われます。
競馬界やSNSからはさまざまな反応があった
この悲しいニュースに、競馬界からは悲しみと驚きの声が多く上がりました。
スキルヴィングに騎乗したルメール騎手は、「直線で全然反応しなかった。ゴール後はふらふらだったので早めに止めたが…。とても楽しみにしていた馬なだけに、とても悲しい。残念です」と愛馬の死を悼むコメントを出しました。
管理する木村哲也調教師は「期待の大きな馬で、ダービーだけでなく、その先もと思っていたのでとても残念です。胸が苦しいですが、天国で幸せにすごしてくれることを心から願っています」と哀悼の思いを伝えています。
SNS上でも「スキルヴィング」というワードがトレンド入りし、
「夢を見させてくれてありがとう」
「苦しかったのに、ゴールするまで頑張ってルメール騎手が下馬するまで耐えた姿に心を打たれた」
「最後まで頑張って走り切ってくれた彼が、天国でめいっぱい幸せに過ごせますように。どうか安らかに」
などとスキルヴィングを悼む声が相次ぎました。
いっぽうで
「競馬こそ最悪の動物虐待だ」
「馬がかわいそうすぎる」
といった意見も見受けられました。
私の見解は、「きれいごとでは済まされない」
ここからは私の個人的な見解です。
まず、本来ならば競馬の祭典である日本ダービーでこのようなことが起こってしまったこと、非常に残念です。
そして、こうした事態を防げなかったことは、日本ダービーのみならず、日本競馬史に残る汚点だと言わざるをえません。一部のSNS等では今回の件を美化するような傾向が見られますが、決して美談や感動的なエピソードとしてとらえて終わりにしてはいけない問題です。
例えていうなら、学校の部活中に生徒が心不全を発症して亡くなったようなもの。その場合、当然学校側の管理責任が厳しく追及されるでしょう。今回起こったことは、まさにそうしたことなのです。
競馬に否定的な意見に対しても、重く受け止めていかなければならないでしょう。日本ダービーを祭り上げて浮かれていたことを、私も含めて競馬ファンは反省しなければならないのではないでしょうか?
競走馬にとってレースとは命がけのものなのです。現に競走馬がレース中に心不全を起こすケースは、年間平均4.9頭。脚部の故障はもっと多く、毎週のように発生しています。そのことに対して、もっと注意や関心が払われなければならないと思います。
近年では、タイムを縮めるために調教技術がより高度になったり、高い栄養価の食べ物を与えたりといったことが行われているそうです。こうしたことが、競走馬の心臓や脚に負担をかけているのかもしれません。
「競争に勝たねばならない」というのは人間側のエゴです。今の日本競馬界はあまりにも人本位になっているのではないのでしょうか。
競馬は人間と馬の共生のスポーツであるべきです。まず競走馬の命を大切にすることが、競馬の未来にもつながると思います。
おわりに
今年の日本ダービーはタスティエーラが優勝し、レーン騎手は69年ぶりにテン乗り(その馬にレースで初めて騎乗すること)制覇の偉業を達成。本来ならば祝福すべき快挙ですが、スキルヴィングの死亡という悲劇的な出来事が影を落としました。
競馬は人間と馬との絆や感動を生む素晴らしいイベントですが、同時に危険や悲しみも伴うことを改めて思い知らされました。
これからは全頭の無事を願いつつ、競馬を楽しみたいと思います。
私は、スキルヴィングの悲劇を決して忘れません。
☆参考サイト
スキルヴィング (Skilfing)の血統表 | 競走馬データ – netkeiba.com
【日本ダービー】レース直後に2番人気「スキルヴィング」急死の衝撃 関係者からは「綺麗事で終わらせるな」の声ーデイリー新潮
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