皆様は、「コーヒーを夜飲むと眠れなくなる」「紅茶は利尿作用が強い」「ほうじ茶は比較的体にやさしい」というお話を聴いたことがあるでしょう。
その根拠を、今回は一つずつ解説していきたいと思います。
この記事で取り扱う「お茶」は、お茶の木の葉から茶葉が作られた飲み物とします。
「コーヒー」は、珈琲の種子を砕いて抽出液を飲んで楽しむものです。
コーヒーで眠れなくなる理由
カップとコーヒー豆の画像
コーヒーを飲むと眠れなくなる、という俗説が広まっている理由は、カフェイン濃度が高いから、ということが挙げられます。
大体、100mlで60mg程度となっております。
しかし、同じ100mlを飲めば、抹茶や玉露の方がカフェインの濃度だけでいえば高い、
ということになります。
茶碗に入った抹茶と茶筅の画像
抹茶や玉露は味が濃く、そんなに分量を飲まなくても満足感が得られるため、そういった事態になりにくい、というだけの話です。玉露や抹茶を夜に100ml飲む人はほぼいないため、眠れなくなる、という事態にならないのです。
余談ながら、茶道のお茶会に出席した折に、懐石料理が出たり、菓子を茶を飲む前に食したりするのは、空腹状態でカフェイン濃度が高い抹茶を飲んでお腹を壊す人が、茶道が広まった当時は実に多かったからです。
昔は、お茶を飲める人も機会も限られていたため、日本人の大半のお人のカフェイン耐性が低かった為に起こった現象でしょう。
今の人は、空腹状態でいきなり濃茶を飲んでも無事なのではないかとひそかに考えています。
なお、一部の宗派のイスラム教徒の方々は、コーヒーを飲むと地獄に落ちると信じているようなので、ビジネスでいらした際の接待には、イスラム圏の人が慣れている紅茶が無難です。
砂糖とミルクも添えて出されるとなおよろしいでしょう。多めに入れて飲むのがイスラム圏の方々のお好みです。
紅茶は利尿作用が高い、といわれる理由
カップとポットの画像
紅茶も飲んだ後の利尿作用が高い、と言われております。
実際、緑茶やほうじ茶を飲んだ時よりもお手洗いに行く回数が多くなります。
だからと言って、紅茶に特別に利尿作用が高い成分が入っているかというと違います。
紅茶というのは、コーヒーや玉露よりもむしろカフェイン量は少ない部類の飲み物です。
しかし、「一度に飲む量」が問題なのです。玉露等は、小さい茶碗で飲むため、大体1回に飲む分量が60ml程度です。
しかし、紅茶の茶碗は上品なものでも180ml程度です。
マグカップで気楽に飲むと一度に飲む分量が200mlを超えます。このため、カフェインの摂取量が多くなります。
そのため、利尿作用が目立ちやすい、という事があるのです。
紅茶がヨーロッパにて広まった理由
ヨーロッパに紅茶が伝わった当時は、「嗜好飲料」ではなく、「薬」という位置づけでした。
効能を期待して、長時間煮出して飲んで胃を壊す人もいました。
そのため、一緒に何か食べ物を摂るか、ミルクを入れて飲むように、という注意が広がったのです。
それが、「午後の紅茶」の習慣につながったとも言えます。
実験的にコーヒーと同じ濃度に紅茶を淹れると、紅茶でもコーヒーと同じような色になります。
当然カフェイン量も多くなるので、この記述は事実でしょう。
また、「紅茶は心臓に悪い」と昔のヨーロッパの一部の人は信じていたそうです。
それでも紅茶やコーヒーが嗜好飲料として広まったのには理由があります。
それまでのヨーロッパでは、安全で安価である程度おいしい飲み物は「お酒」しかありませんでした。
そのため、アルコール中毒でいろいろな社会問題が起こっていたからです。
なお、ヨーロッパのコーカソイド系の人は、モンゴロイド系統の人たちよりもカフェイン耐性が低い傾向があります。
技術の進歩で「カフェインレス」の紅茶やコーヒーができました。
また、南アフリカからノンカフェインのルイボスティーが昨今出回るようになりました。
そちらもヨーロッパでは人気を博しております。
ほうじ茶が体に優しい」理由
お茶と赤福の画像
ほうじ茶は、体に優しい飲み物、と多くの人は考えています。
特に病気の時や夜になってからはほうじ茶を飲む人が多いものです。
この考え方はある程度正しく、ほうじ茶はカフェインが少ない飲み物です。
したがって、眠りを妨げる効果は少ないと言えます。
カフェインは加熱すると空気中に逃げる性質があります。
それでほうじ茶はカフェインが少ないのです。
火にかけている時に、「ピラジン」ができていて、これは人をリラックスさせ、血流をよくする効果があるといわれています。
もっとも、カフェインがないわけではないので、病中に大量に飲むのは控えましょう。
もっとも、一度に茶碗で15杯以上も飲まなければ大丈夫でしょう。
茶碗とポットの画像
これらの様々なお茶やコーヒーの特性を頭に入れて、楽しんでいただきたいと思います。
参考URL
菱和園のページ
https://www.hishiwaen.com/blogs/teacolumn/amount-of-caffeine-in-tea-and-recommended-daily-intake
ユーグレナのページの健康コラム