食べ物の名前の変化の話

歴史と地域によって変化した食べ物の名前

皆様は、食べ物の「名前」について考えたことはありますか。

かぼちゃ、トウモロコシ、とうがらし、ほうれん草、等などのことです。

今の日本ではこのように呼ばれておりますが、

原産地の現在の言葉では、ラカウィティ(ケチュア語)サラ(ケチュア語)ウチュ(ケチュア語)エスフェナジ(ペルシャ語)のようになっております。

まったく日本人には想像がつかないほど、現地での呼び名とは名前が変わってしまっております。

かぼちゃの名前の由来

かぼちゃは、今の現地のケチュア語では「ラカウィティ」と呼ばれているようです。

大航海時代に、中南米から世界中に伝播した作物になります。日本に入る前、ヨーロッパやアジアに普及し、そこからいろいろなルートで日本に入ってまいりました。

カンボジアから持ち込まれた品種が、訛って「かぼちゃ」と呼ばれるようになったそうです。そのほか、「ちょうせん」「なんきん」「ぼうぶら」「とうなす」等という呼び方もあります。「ちょうせん」「なんきん」は、入ってきた所の地名、「ぼうぶら」はポルトガル語の瓜、「とうなす」は、南蛮渡来のナス、という意味のようです。

円形のざるに乗った典型的な形のカボチャの画像です。

かぼちゃの画像

なお、かぼちゃには、上の写真のような形のかぼちゃと、ラグビーボール型のかぼちゃ、ペポカボチャのような形のものにおおざっぱに分けられます。

時期と場所によっては「トンガ産のかぼちゃ」も市場に出回りますが、これは日本のビジネスマンが持ち込んで現地の人が栽培を始めたものだそうです。

ラグビーボール型のかぼちゃを2つに切った画像です。

ラグビーボール型のかぼちゃの画像

トウモロコシの名前の由来

「トウモロコシ」は、文字通り「中国からきたもろこし(穀物)」という意味になります。原産地の中南米地帯のケチュア語では、「サラ」と言います。

漢字では、「玉蜀黍」と書きます。中国語では、「玉米」ユーミーというようです。英語の「コーン」は、ラテン語の「穀物全般」の意味の単語の使いまわしということになるでしょうか。

今、市場に出回っている品種のトウモロコシは、人間が採取して種を蒔かないと発芽できず、そのまま死んでしまいます。大昔に「テオシント」という植物を原種の一つとして、8000年近くかけて改良して現在の品種にいたる、と考えられています。しかし、この説ができたのは最近で、それまでの間、植物学者たちは「トウモロコシの原種」を探して、中南米の田舎の村や原生林を走り回っていたようです。自分たちの実験用の畑に植わっている雑草で、草むしりに追われていた「テオシント」が原種の可能性がある、と知った時は、相当ショックだったと思います。

日本には、江戸時代に入ってきた作物だそうです。

日本の方言としては、「とーきび」「とーみぎ」「ぎみ」「なんば」その他があるようです。

一粒だけ色が違うトウモロコシの実の表面の画像です。

トウモロコシの画像

とうがらしの名前の由来

唐辛子は、「舶来の(唐物の)辛子」という意味になります。

南米アマゾニアの熱帯雨林地方原産で、1万年近くの栽培歴があるそうです。現地に近いケチュア語では、「ウチュ」となります。

いろいろな日本への渡来経路の説がありますが、

安土桃山時代から江戸時代にかけて入ってきたのは確かなようです。

面白いもので、唐辛子というのは育った土地で辛さや味が微妙に違ってきます。

なぜか、日本産の唐辛子は、他のアジアの地域より辛い唐辛子ができる傾向があります。

キムチの素を国産の一味唐辛子で作った時には、とても辛いものに仕上がり、食べてみてひどい目に遭いました。

ちなみに、辛いと評判のハバネロは、中南米産だそうです。ハバナの唐辛子がなまってハバネロになったという説もあります。

京都でもハバネロを育てている所があるそうですが、現地より辛くなっているものか、試してみたいような、辛いのが苦手なので怖いような気がいたします。

いくつもの赤い唐辛子がたくさんある画像です。

唐辛子の画像

ほうれん草の名前の由来

ほうれん草は、全部漢字で書くと、「菠薐草」となります。

これは、唐の時代の発音では「ポーリン」と発音し、当時のペルシャの国名、民族名になります。実際の当時のネイティブペルシャ人の発音では「パールサ」なのだそうですが・・・

原産地は文字通りの「ペルシャ」で、大体今のイランに相当する地域になります。

現在のペルシャ語では、この作物のことを「エスフェナジ」と呼んでおります。英語では「スピナッチ」と呼ばれているので、大体の発音が伝わっているようです。

なお、余談ながら、今のイランのお人に「イラン人ですか。」というより、「ペルシャの人ですか。」と言った方が喜ばれます。

シュウ酸が多く含まれる作物なので、毎日食べるのはお勧めできませんが、栄養豊かなので、機会を見つけて料理して食べられるとよろしいでしょう。

畑に生えている状態のほうれん草1株の画像です。

ほうれん草の画像

海外に伝わった日本の作物や食物の名前

ちなみに、日本の「みかん」は、「サツマ」や、「テレビオレンジ」と英語圏では呼ばれております。薩摩地域から苗木がもたらされたためと、テレビを見ながら簡単に皮が剥けるかんきつだからということだそうです。

そしてなぜか、日本の「カニかまぼこ」は、「スリミ」と呼ばれております。どこで誤解があったのか、私では調べ切れておりません。タラのすり身が原料なのは確かですが。

複数のかにかまぼこが積みあがった画像です。

カニかまぼこの画像

このように、わたってきた経路、原産地、事情によって、作物等の名前は変わってしまうものです。

日本の作物が海外に輸出された場合、これからどのように地元の人に呼ばれて、食卓に並ぶものか、ある意味では楽しみです。

ヨーロッパ式にテーブルセッティングをした食卓の画像です。

食卓の画像

参考資料

かぼちゃの名前の由来

トウモロコシの名前の由来

唐辛子の名前の由来

ほうれん草の名前の由来

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モーニング

朝が弱く、空気が読めないキャラクターです。食べ物についてのコラムを中心に書かせて頂きたいと思います。 好きな事は、読書と料理、菓子作りです。

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