欧米のお菓子や料理で、「揚げ物」が多い理由

洋風の料理といえば

洋風のお菓子や料理といえば、皆様は何を思い浮かべられますか。

トンカツやエビフライ、フィッシュアンドチップス、等は典型的な「揚げ物」です。

丸い網の上にとんかつが乗っていて、キャベツが付け合わせになっている画像です。

とんかつの画像

また、一昔前には「ピロシキ」というロシアの料理も結構人気があるものでした。これは、豚肉や春雨を入れた肉餡を、小麦粉の生地で包んで揚げた料理になります。今でも、古くからのパンのお店やお菓子のお店で、作っている所があります。

今のロシアの家庭では、オーブンで焼いた「焼きピロシキ」が主流です。

しかし、昔に日本に伝わってきたピロシキのレシピは、揚げ物仕立てがメジャーです。

ロシア家庭風の、オーブンで焼いたピロシキの画像です。

ピロシキの画像

なお、日本のように「春雨」が肉餡に入っているピロシキは、現在のロシアでは見かけられません。

なぜなら、帝政ロシアが崩壊した時、貴族の専有だった高価な春雨が入った

ピロシキのレシピを持っている料理人は、ロシアの地から亡命してしまったからです。

また、ドーナッツやギリシャのルクマデス、ポーランドのポーンチキという気取らないお菓子も、

生地を揚げて作るものになります。

白い皿に乗っている、一部に粉砂糖がかかったドーナツの画像です。

ドーナツの画像

また、ヨーロッパのカーニバルの時期のお菓子は、

「メルベイユ」や「ビューニュ」等、揚げ菓子が焼き菓子に劣らず多いものです。

フランスの地方でカーニバルの時に食される「メルベイユ」という揚げ菓子の画像です。

カーニバルのお菓子 フランスの「メルベイユ」の画像

ヨーロッパ料理に「揚げ物」が多い理由 油の入手が簡単

皆様は、昔からの日本料理では「揚げ物」がほとんどと言っていいほど無いのに

(余談ながら、「さつま揚げ」「天婦羅」は、南欧から入ってきた料理を日本風にアレンジしてできた料理です。揚げ物が多い「精進料理」は、中国伝来の料理が発展したものです。)、西洋では「揚げ物」の種類が多いのを不思議に思われたことはありませんか。

その理由の一つが、「油が比較的簡単に手に入ったから」という事があります。

日本では油は「貴重品」

日本では、「油」といえば菜種油やゴマ油等の植物油が主体でした。

植物を栽培し、種子を集めて精密な機械で絞る、という方法をとらないと入手できないものったのです。

その理由で高価なものでした。戦国時代から「油屋」が有力者だったほどです。

(例、戦国武将の「斎藤道三」様は、お父上が「山崎屋」という油を扱う大きなお店のご主人様でした。)

アブラナの黄色い花が一面に咲いている菜の花畑の画像です。

菜の花畑の画像

しかし、ヨーロッパでは事情がまったく違いました。

ヨーロッパでは獣肉食が盛んだったというか、獣肉を食べないと生きていけない状況の自然環境という事情があるため、大きな家等では月に一度は家で食べるために豚や牛等を解体していました。

そその時、解体した動物の脂肪を加熱して溶かすことによって、日本よりは比較的簡単に「揚げ物に使える油」を手に入れる事ができたのです。

今の日本でも、「おいしい」と評判のとんかつ屋さんは、大概「ラードを溶かした油」でとんかつを揚げているそうです。オリーブオイルも、菜種よりは比較的簡単に油を採ることができました。また、牛乳の上に浮いてくるクリームを攪拌すれば、バターになりました。

茶色の皿にのせてある、豚の脂、ラードの画像です。

ラードの画像

ヨーロッパで「揚げ物」が多い理由 お手軽

また、「手頃にできる料理法だった」という側面もありました。「焼き菓子」はオーブンのない家では作るのが難しいものですが、(前にも書いた通り、オーブンがヨーロッパの一般家庭に普及したのは比較的新しく、それ以前は、大きな家に据え付けてある「オーブンを使う権利」を売り買いしたり、村に一つのパン焼き窯を共有していたりしたのです。)

「揚げ物」なら、油と鍋とを火にかけて生地を入れて揚げれば作る事ができました。

それゆえ、ロシアの農家等では、「揚げピロシキ」の類が、農作業の合間の昼食として重宝されていたものです。

中華鍋の中で、油で揚げ物を作っている画像になります。

揚げ物料理の画像

ヨーロッパで「揚げ物」が多い理由 宗教

また、「宗教」という側面もあります。

宗教上の祝祭日に、「お金持ちだけがお祝いの料理を食べられて、一般市民は食べられない」等という事態が長く続けば、しまいに一般市民が怒ってその宗教から脱退するのではないか、と、初期の、ある程度の数の信者を獲得したばかりの頃のキリスト教関係者は考えたようです。

そこで、身分や収入に関係なく、オーブンがなくても比較的安価に作れる「揚げ菓子」をキリスト教の祝祭日に食するように、という運動があり、今にいたります。

そういう理由で、ヨーロッパの「カーニバルの時期のお菓子」は、揚げ菓子が大半です。

イタリアのヴェネツィアで行われる、カーニバルの仮面をつけた人の画像です。

ヴェネツィアのカーニバルの仮面の画像

食べ物のヴォリュームアップ

カーニバルの時期が終わると、欧州では宗教上肉を食べられない時期になりました。

しかし、魚は食べてもいいことになっていました。

ですが、肉が常食の人たちには魚の淡白さが物足りない、ということがあったようです。

その時期にも衣をつけて揚げた魚類を食べて、物足りなさをカバーしていました。

このように、食事という毎日行う事の中にも、地域や時代の文化的背景があるものです。

食事を楽しみ、他の人の食事の背景も尊重しつつ、暮らしていきたいものです。

漆塗りのお椀に盛られた、天丼の画像です。

天丼の画像

ボリュームある食事をしたいという願望から、日本人は「天丼」を開発しました。

その天丼の画像を最後に掲載させていただきます。

参考にしたサイトのURL

ウィキペディア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8F%9A%E3%81%92%E7%89%A9

毎日新聞のサイト

https://mainichi.jp/articles/20161203/gnw/00m/040/008000c

イタリアのカーニバルのお菓子のサイト

https://luitalia.com/carnival_sweets/

ヨーロッパのカーニバルのお菓子のサイト

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モーニング

朝が弱く、空気が読めないキャラクターです。食べ物についてのコラムを中心に書かせて頂きたいと思います。 好きな事は、読書と料理、菓子作りです。

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