皆様に於かれましては、結構な頻度でカレーライスを食しておられることと思います。
カレーライスの来歴
カレーライスも日本の家庭料理としてすっかり根付いておりますが、
もともとは海外から入ってきた料理でした。
カレーという料理はインドからの直輸入というわけではなく、
インドに駐留していたイングランドの軍隊のえらい人が、イングランド風のシチューにカレー粉を入れて作った「欧風カレー」が日本では最初に定着しました。
明治時代の文献に載っている、確認されている「最古の日本語のカレー」のレシピを見てみました。
そこには、「ネギとカエルの肉」を入れる、と書いてあるそうです。
これは、フランス系の人から教わったレシピなのかな、と勝手に推測しております。
イングランド系の人にはカエルを食する習慣がなく、当時のヨーロッパでのえらい人のお抱えシェフは、フランス人のことが多かったからです。
フランスでは、高級なレストランでカエル料理が出ることが珍しくはありません。
欧風カレーはシチューの伝統から煮込み料理のカテゴリーですが、インド風カレーはどちらかというと炒め料理になります。
カレーライスの画像
日本のカレーの多様性
インド風カレーもたまに食すると美味しいものですが、
皆様の家庭のお味は、おそらく欧風カレー日本ヴァージョンのような感じのものが多いのではないでしょうか。
日本の各家庭に違ったレシピのカレーライスがあり、それが面白いところでもあり、新婚夫婦のもめごとの種になることもあったりします。
感性の問題はなかなか譲歩できないものです。
カレールーを使うか、カレー粉から炒めて作るかでもめ事になったりもするようですが、
カレールーのおかげで、カレーを作るのが飛躍的に簡単になり、日本の定番料理と化したのは厳然たる事実でしょう。
インドの家庭でのカレー調理事情
実際、カレーの本場インドでも、忙しいキャリアウーマンの間ではカレールーで作るカレーが簡単にできる。
と重宝されていています。
そのお姑様が「我が家の伝統のスパイスの配合が途絶える」と嘆いておられるという話です。
スパイスの画像
この記事を書いている筆者本人は、カレーの隠し味にバルサミコ酢とソースを少々入れる流儀です。
そうすると、味に深みがでるように思っております。
カレーをめぐる洗濯機事情
日本からインドに輸出している某メーカーの「洗濯機」には、「カレーモード」という機能がついていて、カレーの色がついた衣服をきれいに洗える仕様になっているそうです。
日本国内の洗濯機にも、このモードがあったらいいのに、とたまに思います。
洗濯機の画像
日本独自のカレー料理
カレーうどん、カレーそば、カレーパンは完全に日本において「創作」された、世界のどこにもない料理です。この組み合わせを最初に考えた人の想像力はすごいと思います。パスタにカレーをかけてもセモリナ粉の食感が合わない感じがありますし、パスタの本場イタリアでは、食べ物に保守的で結構厳しいルールがあるので、「カレーパスタ」や「カレーピッツァ」をおいてあるお店は、イタリアではあと1世紀はできないと思います。チョコレートで和えたパスタは定番でありますが・・
カレーパンの画像
日本でインドカレー店に起こった変化
それから、日本のインド料理店で出てくる「ナン」はかなり大きなものです。
これは日本独特のもので、
「日本のお客様へのサービス」から大きくなっていったものです。
本場インドでは小さいものがレストランでのみ出てまいります。
インドの家庭では、
大概「チャパティ」や、「プーリ」というものがカレーの付け合わせとして食べられています。
そして、こういう小麦粉料理は北インドのものです。
南インドでは長粒種のお米の付け合わせで食べられているものです。
ナンを添えたインド風カレーの画像
食に対するいろいろな意味での制約が日本ではあまりない傾向があるので、
いろいろな国の料理が楽しめます。(ある程度「日本風」に翻訳したお味である場合が多いですが。)
いろいろな国の食文化を楽しめることを感謝しつつ、
今日の食事をいただくことにいたしましょう。
カレーそばの画像
参考にしたサイト
欧風カレーの始まり
明治時代のカレーのレシピ
カレーモードの洗濯機