アメリカの嗜好飲料事情
今、アメリカの代表的な嗜好飲料といえば、
コーヒーが思い浮かびます。
カップに入ったコーヒーの画像
しかし、アメリカに最初に上陸して
定住したということになっている欧米人は、
メイフラワー号の乗員たちで、「紅茶を愛飲する人々」でした。
それがなぜ、コーヒーを愛飲する人が多くなったのか、
ということについて、今回は考察してみたいと思います。
カップに入ったコーヒーの画像
(尤も、北欧のヴァイキングの人たちがそれ以前にアメリカに上陸していたようなのですが、
いろいろあって定住はしなかった模様です。そのころの北欧人は茶の類を飲まなかった(お酒しかありませんでした。)ので、ここでは話題から省きます。)
「ボストン茶会事件」について
アメリカへの移民の方々がコーヒーを飲むようになったのは、
英国への反発心と、独立戦争の遠因になった歴史的事件「ボストン茶会事件」が大きいのではないか、と考えられます。
1700年の末頃、英国は財政状態をよくするために、輸出する紅茶や砂糖にかなり高い関税をかけました。
それに腹を立てた一部のアメリカの移民のお人が、ネイティブアメリカンに変装して、英国からのお茶の積み荷をボストンの港で全部捨ててしまう、という事件を起こしたのです。
茶こしに入った紅茶の葉の画像
個人的には別に変装などしなくてもいいと思うのですが・・・
また、当時のボストン港の魚への悪影響も気になります。
「茶会事件」以後のアメリカの歴史の動き
間を端折ってかなり要約した表現をすると、
それがきっかけとなって、英国とアメリカの関係が悪化し、
ついにアメリカ独立戦争にいたる事態となり、
現在のアメリカ合衆国がある状態となっております。
広がりを見せた紅茶不買運動
このような状況だったので、紅茶不買運動が広がり、
税金が安く、英国の干渉を受けずに飲めるコーヒーが広がった、
という説が有力です。
ちなみに、アメリカンコーヒーと呼ばれる薄目でミルクや砂糖を入れて飲むコーヒーは、
当時、紅茶の味が懐かしかった移民の方々が、
紅茶の味に似せるためにそのような淹れ方をしていた模様です。
紙コップに入ったコーヒーの画像
今は、スターバックスやブルーボトルコーヒーのように、
ヨーロッパ基準からして「普通の」濃さで、質の良いコーヒーが流行し始めているようです。
コーヒー豆とコーヒーの画像
第2次世界大戦の影響
それと、第2次世界大戦の折、兵役が終わったアメリカ兵の方々が、イタリアに留学するケースが多く、そこで「おいしいコーヒー」を覚えた、
また、イタリアからの移民の方々もその後の時代に多く入ってきて、慣れているコーヒーを消費するようになった、という要因も大きいように思っております。
ヨーロッパでコーヒー文化が一般的な理由
そもそも論で申しますと、何故ヨーロッパではコーヒー文化になり、
英国では紅茶文化になったか、ということにもたどり着きます。
欧州大陸では、水質がコーヒーに向いていて、紅茶にあまり向いていない、ということもあり、
また、紅茶は当時は中国からの輸入品だったので、高価で簡単には飲めなかったのです。
英国で紅茶文化が広がった理由
英国では、ポルトガルからいらした王妃様が持参金としてインド紅茶の産地を持ってきた、
その事から喫茶の習慣が貴族階級から庶民に広がった、という事もあり、
水質も紅茶の方がおいしく淹れられる特性があった、という事です。
ティーカップに入った紅茶の画像
それ以外にも、それまでは安全な飲み物が「お酒」しかなかったので、
飲みすぎてもアルコール中毒で人格や家庭崩壊しないお茶が広がった、という理由もありました。
(英国人のそれまでのお酒の消費量は欧州一番でした。)
日本でコーヒーが愛飲されるようになった背景
第2次世界大戦ののち、アメリカの進駐軍があちこちに駐留した日本国内でも、
コーヒーの方がわりにメジャーな飲み物となり、
日本の町中の喫茶店といえば、
コーヒー専門店の方が多い状況となっております。
筆者が在住している街でも、納得できる味の紅茶を出すお店が2軒しか無く、
他はすべてフランチャイズのコーヒー店か、
コーヒー専門の喫茶店という状況になっております。
筆者はコーヒーを自発的に飲む程度には好まないので、この事態に結構困っております。
もう少し紅茶の専門店が増えてほしいものです。
どちらかというと、日本の水質は軟水の所が多いので、
お茶や紅茶の方が簡単に美味しく淹れられると思うのですが・・・・
ボストン茶会事件について