こんにちは、きんいろ旅程です。
みなさんは歴史に興味はあるでしょうか?
最近は歴史や考古学に多くの人が興味を持ち、遺跡の見学ツアーなども大人気ですよね?かくいう私も学生のころから歴史が好きで、大学では考古学を専攻していました。
昔のことを研究する学問として歴史学と考古学があるのは、みなさんなんとなくご存じかと思いますが、歴史学と考古学の違いとはなにか、わかりますか?
イメージとしては大昔のことを調べるのが考古学で、それ以降のことを研究するのが歴史学という風に認識されていたりするかもしれませんが、それは少し違います。
ふたつの学問は、昔の出来事の真相や生活の実態を明らかにするという最終目的は同じなのですが、そのための研究方法(アプローチ)は大きく違っているのです。
今回は歴史への興味や関心を深めてもらうために、歴史学と考古学の違いについてお話していきます。それぞれの学問の違いを知って、より歴史の探求を楽しんでみてください。
それではさっそくいってみましょう!
歴史学は文献史料から研究する学問
歴史学は、主に「書かれたもの」である文献史料が研究対象であり、そこから歴史的な事実や歴史像を描き出してゆきます。文献が存在しない時代や地域については、歴史学では研究できません。
歴史学では、文献の読解や分析を行い、論文や書籍などにまとめます。重要なのは歴史学における歴史は不変ではなく、研究者の解釈によって変わるものだということ。新たな文献が発見されたり、学会での議論が深まったりすることで、定説が覆されることもあります。
歴史学研究の流れ
歴史学では主に以下のように研究を進めていきます。
→自分の問題意識や関心に従って、過去の時代や地域、人物や事件などを研究対象として決定。
→自分のテーマに関係する先行研究を探して読み、その内容や論点、参考文献などを把握。
→テーマに関係する史料を探して読み、その性格や真贋、信頼性などを検証(史料批判)
→史料を問題意識に従って読解し、自分の主張や考察を論理的に展開して論文を執筆。
以上が歴史学の概要です。
文献から歴史を研究していくのが、歴史学なのですね!
考古学は出土した遺跡や遺物から研究する学問
いっぽう考古学は、「出土したもの」である遺跡や遺物が研究対象であり、その時代の生活や文化を解き明かしてゆきます。文字が発明されていない古代や先史時代の研究に強みを持ちます。
ただし、歴史時代に考古学は必要ないかといわれるとそんなことはありません。文献史料がある時代でも、考古学による研究は盛んにおこなわれています。文献には残されていない事実が、遺跡・遺物から分かることもあるからです。
遺跡の調査や発掘を行い、出土したものの特定や分類を行うのが考古学といえるでしょう。また、遺跡や遺物の修復法や保存法など、文化財としての調査や保全の技術についても考古学の範疇です。
考古学研究の流れ
考古学による研究はだいたい以下のように行われます。
→遺跡の発掘調査をおこない、遺跡や遺物といった考古資料を発見し、記録・採集。
→発掘された遺物の形態や材料などの特徴を精査。
→遺物の特徴によって分類された型式を、時間的な変遷や地域的な比較を行って、その遺物が時間的、場所的にどのような位置にあるのかを解明(型式学的研究法)。また、遺物を含む土層や遺構の上下関係などを調べて、遺物の年代を相対的に決定する層位学的研究法をもちいて年代を特定。
→発掘調査や遺物分析、型式学的研究法や層位学的研究法などによって得られたデータや知見をもとに、自分の主張や考察を論文化。
以上が考古学研究の一連の流れです。
遺跡・遺物から過去に迫っていくのが考古学!
歴史学と考古学の違いを表にまとめると以下のようになります。
歴史学 | 考古学 | |
研究対象 | 文献史料 | 遺跡や遺物 |
研究方法 | 文献の読解や分析 | 遺跡の調査や発掘 |
研究時代 | 文字のある時代 | 文字のない時代も含む |
どちらも過去の歴史を知るために必要な学問
二つの学問は、それぞれ異なる研究対象や研究方法を持つ学問分野であり、どちらがより正確な情報を提供できるか一概には言えません。
歴史学と考古学には、それぞれに強みと弱みがあるからです。
歴史学は、言語的な資料によって詳細な情報や主観的な感情を伝えることができますが、そうした言語的な資料は偏りや欠落があることが多く、また解釈に主観が入り込む可能性がありますよね。
考古学は、物質的な資料によって客観的な情報や普遍的な現象を伝えることができますが、物質的な資料は限られた範囲でしか発見されず、また推測に必要な根拠が不足することもあります。
なので、歴史学と考古学は、おたがいに補完的な関係にあるといえるでしょう。
歴史学は、考古学の資料によって事実が裏付けられたりすることで、より正確で豊かな歴史像を描くことができます。いっぽうで考古学は、歴史学の資料によって検証されることで、より正確で深い歴史像を描くことができるのではないでしょうか。
歴史学と考古学は、お互い支えあうパートナーのようなものだと個人的には思います。
おわりに 歴史探求にはどちらの学問も大事!
今回は歴史学と考古学の違いについて取り上げてみましたが、いかがでしたか?
- 歴史学=文献史料から過去を研究する
- 考古学=出土した遺跡、遺物から過去を研究する
ということがおわかりいただけたかと思います。
また、どちらがより正確ということもなく、双方がお互いをカバーしあって過去の出来事の真実や生活の様子を再現するという目的を達成する必要があることもお伝えしました。
これから歴史を楽しむときには、今日お話ししたことを頭の片隅に置いておいてもらえればうれしいです。また大学の歴史学科を選ぶ際は、この違いに十分注意してくださいね。その大学で考古学が学べるかどうかチェックすることをお忘れなく。
あなたの歴史探求がより充実したものになりますように。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
では、また次回!
☆参考サイト
考古学の探求 | 広島大学
考古学 – Wikipedia
歴史学 – Wikipedia
歴史学研究法 – Wikipedia
型式学的研究法 – Wikipedia
層位学的研究法 – Wikipedia