LATER SEQUELS SERIES #09
2023年10月 後年になって続編orリメイクが作られたシリーズ 愛及屋烏
蒼穹のファフナー(2004年・第一期)
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT(2005年・前日譚)
蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH(2010年・劇場版)
蒼穹のファフナー EXODUS(2015年・第二期)
蒼穹のファフナー THE BEYOND(2019年・第三期 OVA)
蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE(2023年 スピンオフ OVA)
Continuation from last page. 09-5 https://no-value.jp/column/46031/
蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH
命を持ったフェストゥム
人になりたかった…
そう皆城総士という名の人間に
だから俺はここへ来たんだ
2004年に放映されたTVアニメ『蒼穹のファフナー』の続編にあたる作品。本編約88分。
略称は「HAE」「天地」等。
アニメシリーズでは『蒼穹のファフナー』から6年、その前日談となるTVSP『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』から実に5年ぶりに制作された完全新作となっている。
アニメーション制作はTVシリーズ引き続き『劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』や『ブレイク ブレイド』などで有名なXEBECが担当。
脚本には『マルドゥック・スクランブル』や『シュピーゲルシリーズ』などでお馴染みの冲方丁、キャラクターデザインは『スクライド』や『鉄のラインバレル』などでお馴染みの平井久司がそれぞれ担当し、主要制作陣は続投している。
ただし監督は羽原信義から上記2人が携わった『ヒロイック・エイジ』で監督を務めた鈴木利正に変更となった。
劇場作品としての体制や技術的な進歩もあって、TVシリーズから作品のクオリティもUP。
平井デザインのキャラクターや美しい空と海の背景など、映像面もかなり美麗になっている。
また本作からファフナー等のメカニックやフェストゥムはCGモデルを織り交ぜて描かれるようになり、複雑な形状のファフナーたちはダイナミックなアクションを、フェストゥムは神秘的・金属質な体表を魅せてくれる。
楽曲は引き続きangelaが提供している。
イメージソングの『FORTUNES』は一騎視点、『理解と破壊へのプレリュード』はフェストゥム(操)視点、そして主題歌の『蒼穹』は総士視点の歌だと思われる。
また挿入歌として『さよならの時くらい微笑んで』も提供した。
あらすじ・3
西暦2148年、30年以上に渡った人類と地球外生命体・フェストゥムの戦いは北極での決戦によって、一時の終わりを迎えた。
その最後の戦いの最中、竜宮島の面々は島から攫われた皆城総士を救出し、人類に味方するフェストゥムのコア解放を目的とする「蒼穹作戦」を展開。
作戦は成功し、コアと総士の救出は果たされたが、フェストゥムに同化された総士は真壁一騎に「必ず竜宮島に戻る」という誓いを遺して結晶化し、フェストゥムの「無」へと消えていってしまった……
あれから一年あまりの時が過ぎた2150年。
平和を取り戻し再び楽園として、人々の平穏な営みが戻った竜宮島。
一騎もまた、決戦時の同化現象により、視力をほぼ失いながらも治療により僅かに回復し、甲洋の実家だった喫茶店「楽園」の店員、というかシェフとして穏やかな日々を過ごしていた。
しかし盆踊りの夜、突如一隻の輸送船が島へと打ち揚げられる。
船の中には一人の少年が眠っていた。
その船に続くように島に襲来したのは、皆が待ち望んだ総士ではなく奇怪な空、そして黄金の質問者だった。
奪われた平和を取り戻すべく、一騎を始めとした島の人々は再びフェストゥムに立ち向かう。
スパロボUXでの活躍
一期と劇場版と共に堂々参戦。ファン待望の声つきである。
採用BGMも五曲と豊富。
Shangri-La(一期OP)、Separation[pf](一期ED)、ナイトヘーレ開門(劇伴BGM)、マークザイン(劇伴BGM)、蒼穹(劇場版主題歌)と劇伴以外の三曲がangelaによる楽曲。
ファフナーのアニメ本編では死者・脱落者等の犠牲が出るとEDのSeparation[pf]が二番で流れるトラウマ仕様になっているが、スパロボでもファフナーシナリオで犠牲が出るとSeparation[pf]が流れる。
『K』同様日本消滅はなかったことになっているが、今回はフェストゥムの出現事例や日本人の受胎喪失なども過去に起きていたと言及されている。
プロローグにてTV版第1話「楽園~はじまり」再現に始まり、第1部・第2部をフルに使って原作の主要なエピソードが再現されている(しかもほとんどが共通ルート)。
DVE(ボイス入り演出)も非常に多く『K』の悪夢的な展開の反省もあってか非常に優遇された扱いとなっている。自軍加入も特別遅いということはなく、もちろん条件を満たせば各死亡イベントの回避も可能(うまくいけば1周目の時点でファフナーパイロット全員を生還させることもできる)。
キャラクターごとに凄まじい理由づけがされることで生存する(そして3人共復帰時に味方の窮地に駆けつけるという熱い展開を辿っており、劇場版主題歌「蒼穹」の歌詞「大丈夫、必ずそこへ帰る」を体現している)。
その中の驚愕のクロスオーバーは『UX』の作品を象徴するかのようなものになっている。
今作は人類間の戦争こそ無いものの、地球連邦政府との対立やテロ組織である加藤機関との戦いが描かれる為、『K』の様に「人とは戦わない」という事は無く、それにキャラクター達が苦悩するイベントが多々あり、その辺りは他作品のキャラクターや彼らに出来た先輩が導いてくれる。
ただし、逆にTV版の完結が第2部終盤であるため、劇場版展開の開始(=後輩組の参戦)が第3部冒頭と遅れに遅れる事になってしまった。
クロスオーバー面では『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』との関わりがあるが、なんとファフナーの設定を共有する形をとり、日系の島国と共通点の多いオーブ(SEED国家)がアーカディアン・プロジェクトの支持者であり、MSが対フェストゥム用の兵器であることがプロローグからいきなり明かされる。
実際、VPS装甲やビームシールドの存在がゲーム的にフェストゥムに噛み合う。
面々とはプロローグから絡んでおり、両作ともキャラクターデザインが平井氏なのも合わさり同一作品のように見えるとユーザーからも評されるほど溶け込んでいる。
特にSEED覚醒状態のシン・アスカの見た目が同化現象のそれと酷似している。
ニコニコ動画に『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の第2クールED「LIFE GOES ON」と本作の映像を合わせたMADが投稿されていた。
非常に出来が良く、評価も高く冲方氏も視聴した逸話あるが、後に『UX』でEDでありながら戦闘BGMとして採用され、全く同じクロスオーバーをするとは当時、誰も想像していなかっただろう。
原作者の冲方丁氏のテーマである「選択の先にある他者と己という存在の確立」も存分に発揮されているので、非常に満足のいく出来になっている。
劇場版以降のテーマの一つである『異種との対話』が劇場版ガンダムOOやマクロスFシリーズと良クロスオーバーを生んでいる。
特にガンダムOOは主人公の刹那・F・セイエイの声優が宮野真守になったキッカケが前日譚のファフナーROLでの好演であると縁がある。
『スパロボK』における(特に通常EDでの)酷な扱いへの面当てか、一部では「ファフナーシリーズは『UX』がスパロボ初参戦作品」などと言われている。
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