「ピロシキ」の変遷

「小さいピローグ」、農家の昼食

皆様は、「ピロシキ」というと、どのようなものを思い浮かべられますか。

筆者の家人が作ってくれたピロシキは、発酵させたパン生地に

春雨とゆで卵の入った中身を包んで、油であげたものでした。

しかし、今、発祥の地ロシアでは、このようなピロシキは珍しい、

というか、ほぼ見られないものになっているようです。

「ピロシキ」とは、「小さいピローグ」というのがもともとの意味でした。

かごに入ったピロシキの画像

ピロシキの画像

畑仕事等の昼食時に、大きな中身入りパンであるピローグを切り分け、

目上の人から順番にとっていって食する、

というのがロシアのマナーだったようなのですが、

それでは手間がかかるので、最初から小さく小分けに作り、

個々にとれるように作られたのがピロシキの始まりだったようです。

油で揚げられた物が主だったのは、オーブンが普及しておらず、

加熱手段が鍋に入れた油で揚げる、という方法が手軽だったのと、

カロリーがいる畑仕事だったから、という2つの理由があった模様です。

いろいろなタイプのピロシキ

ピロシキはロシアという国の地域や階級によっていろいろな種類がありました。

油で揚げてパン生地で具だくさんに大きく作るのはシベリスキーと呼ばれ、

北の地域の様式でした。

そして、貴族階級の人々がお茶の時間に楽しんでいたのは、

パイ生地で包み、小さく作って、

肉と交易でしか入手できない貴重品だった中国の春雨(ビズィーガ)を入れた

上品でかわいいものでした。

しかし、革命が起きて、春雨入りピロシキを楽しんでいた階級の人々と、

そのお抱えの料理人たちはほぼ海外に亡命し、ロシアの地に残ったのは、

春雨なしの肉の中身や甘いジャムやリンゴを入れて

パン生地に包んで作るピロシキでした。

現在のピロシキの状況

そして、現在のロシアのお方によると、

ほぼすべての家庭にオーブンがある状況になっている為、

オーブンで焼いたピロシキの方が多いのだそうです。

食べ物に保守的なロシアの地でも、

これだけのピロシキの変化があるのですから、

わりに新しもの好きの日本人の作っていく

これからの日本料理や、

食文化はどのように変化していくのか、筆者はある意味楽しみにしております。

ピロシキについて

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%AD

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モーニング

朝が弱く、空気が読めないキャラクターです。食べ物についてのコラムを中心に書かせて頂きたいと思います。 好きな事は、読書と料理、菓子作りです。

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