「食用菊」はマイノリティな食文化
皆様は、「食用菊」を召し上がったことはおありでしょうか。
筆者の家では、秋の食用菊の季節になると必ず食卓にのぼります。
食用菊の料理の画像
しかし、この「菊の花を食する」という習慣は、日本全国にある
という訳でもなく、新潟、東北、北陸地方の一部だけで食べられているようです。
筆者の家では通称「もってのほか」と呼ばれている「延命楽」という紫色の花の品種を主に酢の物やお浸しとして賞味しております。違う地域では、「阿房宮」という黄色い菊の花が賞味されているそうで、そちらも名前がゴージャスなので、そのうち食してみたいと思っております。昔の中国にあった、贅を尽くした宮殿の名前です。
「食用菊」の歴史
ウィキペディアで調べると、「菊の生花を料理して食する」という習慣は、江戸時代から始まったようです。
観賞用の菊の花というのは、ご先祖が大陸から来たものが主流で、貴族の庭などに最初は植えられていたものが、時代を下るにしたがって地方のお金持ちの家などから庶民の趣味としても広がっていった模様です。
ちなみに、中国では菊の花は薬効があるものとして、漢方薬になっており、乾燥したものが1年中売られております。
抗炎症作用や、目の衰えへの効能が知られています。
しかし、中国のお人は少なくとも唐代から近代にいたるまでは生ものに抵抗を示していたので、生食の習慣は日本で始まったものと推測されます。
私が聞いた話では、食用菊と観賞用菊のDNAを比較してみると、ほとんど違いがないそうです。
食用菊の起源についての考察
ここからは私の勝手な推測ですが、生の菊を調理して食する習慣は、「酒の席の盛り上がりの冗談」で始まったのではないか、と思っております。
誰か、東北か北陸か、それとも新潟のお金持ちの家で、「菊を見る宴」が開かれ、「きれいな菊だなあ、食べたらどんな味がするだろう。」などと酔っぱらって言い出したお人がいて、観賞していた菊の花を切ってゆでて食べたらおいしかった、というのがきっかけではないか、とひそかに考えております。
識者や科学者の先生方には怒られるかもしれませんが、食べ始めのきっかけはこんなところではないかと思うのです。
昨今市場で見かける「ジュエルマム」
昨今は、「ジュエルマム」という名前で、食べられる色とりどりの菊の花の詰め合わせが青果店で販売されているのを見かけることも増えてきたので、もしかすると日本全国に菊の花の食習慣が広がるかもしれない、とも考えております。
もしかすると、この「ジュエルマム」は、日本人よりも先に欧米系の旅行者のお人に喜ばれるかもしれない、とも考えております。花を食する習慣は古代ローマ時代から欧州では存在し、花を食するのに抵抗があまりないからです。
むしろ、花を食べるのに抵抗がある、という日本のほかの地域の人の話を聞いた時に驚いた昔のことを覚えております。
どういうきっかけであれ、昨今の菊を栽培している業者様の経営が厳しいようなので、菊の利用法と需要が増えてくれるといいと考えております。
食用菊について
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%A8%E8%8F%8A
ジュエルマムについて