所変われば体質と味覚も変わる?

美味しいと思えない料理

皆様は、世界のあちこちの料理を食べてみて、「あれ?」と思った経験はございませんか。

熟練したシェフが作った美味しいはずの料理が、今一つ感覚に合わない。

こういう経験があるお方も少なからずおられると思います。

例えば、フランスパンが美味しいと思えない人が結構おられます。これは、フランス人と日本人の唾液の分泌量が結構違うという事が大きいのではないか、と筆者は考えております。

大雑把に申しますと、欧米系のお方は、日本人より唾液分泌量が多い為、ケーキやパンに要求する水分量が日本人よりも少ないようなのです。

筆者がザッハトルテが今一つ苦手な理由も、その辺にあるのではないかと考えております。筆者はメッテルニヒ様より唾液の分量が少ないのでしょう。

ザッハトルテの画像

ザッハトルテの画像

体質と状況次第で変わる味覚

また、この手の事象は、同じ国内でも起こっております。

メイクアウィッシュという団体の主催で、重病のお子様が1日ホテルの社長になるという企画があり、ホテルのシェフが自信を持って出した料理を「しょっぱいね」と言ってシェフがショックを受けていた表情が印象に残っております。

病気であまり動けない子供と、厨房で走り回って働いている大人のシェフでは、塩分の必要量が決定的に違う為、美味しい塩味の加減も違うのですが、そこのところをシェフは失念していた模様です。

過去の文献にも、同じような現象が書いてあります。
或る京料理の名人の日記に「織田信長は味音痴でしょうもない」というような事が書いてあったそうです。
まず、織田信長様の育った文化圏は出汁文化ではなく味噌文化で、少し濃いめの味付けが一般的な上、織田信長様は京都の一般市民や貴族の方々とは運動量が比較にならない程多いので、京都の普通の料理人が作った料理では塩味が薄くて物足りなかったのでしょう。作り直しを命じられてへそを曲げた料理人がその事を日記に書いたようです。

情報量が多い現在なら、その辺を計算して料理を作れたのですが、昔の情報流通が少なすぎて、多様な価値観という概念もなかった頃なので、仕方がないと思います。

限界がある胃袋と感性の許容量

また、欧州各地のお菓子は、日本人からすると分量がかなり多く、また、甘みも強いので、海外旅行に行ったお人がノックアウトされてしまうケースも少なくないようです。

これは、料理に砂糖を使う習慣がないので、デザートに甘みを求める傾向が強く、また、食べる分量も日本人よりかなり多い、というのがネックになっているようです。

これからは、多様な価値観を知ることができ、また、それぞれの価値観や感覚を重んじなければいけない、という考え方が主流となってくると思いますので、その点を念頭において、食事に臨んだ方がよろしいかと存じます。

とはいえ、いまだに「バーデナーノッケン」は個人的にまったく美味しいと思えない筆者ですが。まだまだ了見が狭い人間なので、修行が必要なようです。

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モーニング

朝が弱く、空気が読めないキャラクターです。食べ物についてのコラムを中心に書かせて頂きたいと思います。 好きな事は、読書と料理、菓子作りです。

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