時代とともに変わる料理や食材の価値
皆様は、筆者が数日前に書いた、「ウナギのかば焼きはファストフードだった」という記事を覚えておられるでしょうか。
それが、だんだんと時代を経るにつれて高級料理としてアップグレードしていった感があります。
逆に、時代と共に価格とステイタス感が下がった食材について書いてみたいと思います。
それは、「砂糖」です。
黒砂糖の画像
昔は薬だった砂糖
日本にはもともと砂糖のとれるサトウキビや甜菜が自生しておらず、インド原産のサトウキビから採れる砂糖が中国経由で渡来してきたものが日本最初の砂糖になります。
奈良時代や天平時代の文献には、「黒砂糖を食べるとあらゆる病気が治り、来世での幸せも手に入る」と書いてあるそうです。
当時は薬用で、特権階級の人々だけが口にできる食べ物でした。
生産量が増えて価格低下
しかし、日本でもサトウキビが栽培されるようになる江戸時代になると、一気に価格が下がり、和菓子の材料に頻繁に使用されるようになります。
まさか、その頃の江戸時代の庶民の方々は、お団子を食べると来世が保障されるとは思っていなかった事でしょう。
世界的に見ても、昔は砂糖は貴重品だった歴史があるのですが、大航海時代以降、サトウキビの栽培が気候の合うたくさんの地域で行われるようになると値段が下がり、薬から調味料へと変遷していきました。
王侯貴族の貴重な薬品から、庶民の調味料へ変わっていき、食品としてのステイタスはかなり下がったと言えるかもしれません。
しかし、人類全体にとっては、美味しいお菓子が気楽に食べられるようになったので、有難い変化とも言えます。
また、昨今サトウキビで作った砂糖アレルギーの人の為に、甜菜糖を使ったお菓子や、甜菜糖の袋もスーパーで見かけるようになってきました。
これも、良い事だと思います。
経済に影響するようになった砂糖
しかし、砂糖大量生産が過ぎて値崩れし、国家の経済がおかしくなる、等という事態がおこるようにもなってきたので、何らかの国際的な方策が必要なのではないか、とも思います。
今日も帰ると筆者の家では、砂糖を使ったおやつが待っている事でしょう。
砂糖の歴史