英国の食と家政の有名人
皆様の中には、英国の「ビートン夫人」について聞いた事がおありの人がおられるかと存じます。
英国のヴィクトリア時代の人でありながら、この人の編纂した本は「ビートン夫人の家政読本」として、今でも英国では重版され、書店に並んでいる、という事です。
最初に筆者がこの話を聞いたとき、「英国というのは、なんだか怖そうな文化圏だな」と思ったのを今でも鮮明に覚えております。
英語の料理本の画像
何故そう思ったのかと申しますと、日本でいえば、明治大正時代の料理本のレシピが、そのまま作られている、という事を意味するように思えたからです。今の日本なら、調理器具から食材まで違うので、まずこの時代の料理を再現する事は難しいでしょうし、日本人の嗜好もかなり変わっているような気がするので、果たして美味しいと思うかどうか疑問です。
英国の人というのは、そこまで極端に食というものに保守的なのかと、怖くなったのです。
とはいえ、もっと年を取ってから、欧米の人は私どもよりも全般的に食に保守的な傾向があり、特に英国人は食に興味があまりない人も多い、という事を知ってから、恐怖は軽減されましたが・・・
編纂者「ビートン夫人」
「ビートン夫人の家政読本」には、たくさんのおいしそうなレシピがイラスト付きで掲載されておりますが、ほとんどは他の料理本や家政について書かれた本の引用だそうです。
ですから、ビートン夫人は料理本の作者というより、編纂者と言った方が正しいのでしょう。
このビートン夫人というお方は、自分が結婚して家政を切りまわす役割になった時、そういった事の「教科書」があれば非常に役立つだろう、と思い立ち、御夫君とともにこの本を出版された模様です。
残念な夭折
残念な事に、40代でビートン夫人は亡くなってしまわれましたが、このお方が50代、60代まで生きておられたら、どんな本を書いていたのか、見てみたかったと思います。
ビートン夫人について