中国古典に出てくる「不老不死の薬」
皆様の中には、「仙丹」というものを、古代中国の貴顕の方々が服用していたのをご存じのお方がおられるかと思います。
始皇帝様も服用していた模様です。
錠剤の画像
飲むと不老長寿になり、仙人になれるというお薬というふれこみでしたが、内容は水銀と黄金等を加熱してつくったものだったので、無益なばかりか危険なものでした。
筆者のような現在の素人だとしても、親戚が飲もうとしていたら止めるでしょう。
ところが当時は、不変なものを服用すれば不変になる、というような迷信があり、これをえらい人たちが元気になろうとせっせと服用していたそうです。
そして、結局内臓を悪くして早死にする結果となっていたようです。
「散歩」という言葉の語源
皆様になじみ深い「散歩」という言葉も、実は、「仙丹」を服用した後に効果をよくするために歩く、という意味だったという説もあります。
危ないものを飲んで直後に運動すれば、さらに体に悪かったと思います。
しかし、実際に服用していた人たちが良いと信じて「仙丹」を服用して早死にしてお墓に入ってしまったわけですが、後世の考古学者にとっては意外な福音となりました。
「仙丹」の意外な効用
水銀製剤を飲んでくれていたおかげで遺体が腐らずに残り、その後の詳細な調査が可能になったのです。
日本でも結構有名な「馬王堆漢墓」の墓の女主人様もその一人でした。
こんな危ない思想と薬がどこから来たのだろうと、筆者は長年不思議でしたが、数年前にテレビを見ていたら、インド医学の薬の作り方という番組があり、その中に、「ラサ・シンドゥーラ」という水銀を加熱して作る薬があったのを偶然見る機会がありました。
この薬を作る概念が、中国にわたって仙丹という思想につながったのではないか、と考えておりますが、実証する資料はありません。
どなたかの研究を待ちたいものです。
仙丹について
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8C%AC%E4%B8%B9%E8%A1%93
馬王堆漢墓について
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E7%8E%8B%E5%A0%86%E6%BC%A2%E5%A2%93